冬囲い始める

これからは、県境峠越えの道路に積雪がいつあってもおかしくない季節。栗駒国定公園の山々で落葉がほぼ終わるそんな季節になれば、村の人々は少しずつ冬支度を始めます。

我が家も、住家をはじめ一部農作業小屋の冬囲いをきのうはじめました。秋野菜の収穫や鯉を放している雪消し池の掃除などがあって作業小屋への出入りがあり、すべての建物を冬囲いで閉じることはまだできませんが、まもなくの降雪を思えば「天気のよいやれる時に一つずつ仕事を済ませておかねば」という訳です。

そんな作業をしながら家のまわりでふとヤブをみたら、晩生のアケビの実がおいしそうに熟れてまだ口を開かずに生っていました。晩秋のアケビの実を見ると、自分が小学生の頃、近所の遊び仲間たちと休日にアケビ採りやヤマブドウ採りに向かった頃を思い出します。

草木の葉が落ち始めると林や藪の中がすっきりし、遅くに実を熟したアケビは遠くからもよく見えたもの。晩生のアケビは甘みがすこぶる濃く、昔の童たちにとっても人気があったもの。この時期になるとヤマブドウもよく熟れて甘みがいっそう増し、これも童たちはよくめざしたものです。秋たけなわも山へ、ヤブの中へ。晩秋はもっと盛んに山へ、ヤブの中へが昔の私らの一日でした。

家のまわりの藪の中にもうひとつ目に入ったのは、腐った樹の根元に出ていたモッコラモダシ(ナラタケの仲間)。ナラタケの仲間ではもっとも粘りが少なく、味もほかのナラタケ仲間よりやや落ちますが、ひとつの根元で大量に採れることから人気のあるキノコです。

この株はもう老菌の域に入っていますが、それでもモッコラモダシ特有の黄色で、一箇所大量発生の典型的な姿はまだ保たれています。早速、おでんの具や味噌汁で歯ごたえのある食感を楽しみました。