国有地売却問題をめぐり、公文書改ざんを強要された財務省職員が自ら命を絶ったことは多くの国民に衝撃を与えた。
報道機関の世論調査でも、国民の多くがこの問題の真相解明がまだなされていないことを指摘している。公文書管理の在り方をふくめこの件の真実を国民に明らかにすることは公務に就くものの務めといえるだろう。
去る7月には、自ら命を絶たれた職員の妻の方と、この国有地売却問題の取材中にNHK記者を退職したジャーナリストの共著による「私は真実が知りたい」(文藝春秋)が上梓された。
報道よりも事の内容をより正確につかめるだろうと思い、先日その著書を詳しく読んだ。
この著書、真実解明をより詳しく求める方々にはぜひ読んでいただきたいが、とりわけお勧めしたいのは公務員の方々へである。
公文書を改ざんするということ事態、人としてあってはならないことだが、それが国家の中枢ともいうべき財務省において上司の強要によって行われたという事実はとてつもなく重い。
公務員はすべて同じだろうが、村職員の場合も就任時に「宣誓書」に著名してからでなければ職務を行えないという条例がある。宣誓書に掲げられる公務員精神に則って仕事をしている人間が、文書改ざんを上から強要された時どんな心境におかれるか。「森友」改ざん問題では、自ら命を絶った職員は遺した手記の中でその経緯を明らかにしている。
ごく普通のまじめな公務員が、公文書改ざんを上から命じられ、なぜ自ら命を絶つところまで追い詰められたのか、その事実・経緯はこの著書で報道よりもかなり詳しく知ることができる。二度とこのようなことを起こさせないためにも、また事の真相を解明させるためにもぜひ多くの方々に読んでいただきたい著書である。「公務とは何か」を深く問いかける著書でもあると思うから。