最良のクマ冬眠穴

秋に山入をするブナとミズナラの森。私の注目は、趣味とするキノコや草花はもちろんのこと、それに加えて森の生きものたちのうごきも関心の的となります。

「クマタカやイヌワシがいないか」と空を見上げ、地上ではクマの冬ごもり穴の有無や様子などに目をこらします。

現在、ほぼ確実にクマが越冬用に使っているだろう穴をいくつか知っています。それらの中には、こちらが秋の山入りの際に決まって通るルートにある穴もあります。

クマの越冬穴の構造は、岩穴、土穴、木の根元にできた木穴、木が傾き、その重みで根株が盛り上がって空洞になった根穴(土穴)などがあり、木穴はさらに「タカドウ(高洞)」と呼ぶ幹の高い位置に空いた穴もあります。

先日の山入りで目にしたのは「根穴」。斜面のブナの幹が傾き、その重さで根がもちあげられ土ごと盛り上がって根株が空洞となった構造の穴です。

穴の入り口や中をのぞいたら、それはまことにきれいになっていて、クマが毎年使っている穴であることが一目瞭然です。この穴ではまだクマの写真を撮ったことがありません。いつか、冬ごもりの季節に少し遠くから穴周囲の様子を観察してみたいと思っていますが、この谷は入り口が雪崩常襲地帯なのでなかなか向かう機会がありません。

▼それとは別のことですが、先日、我が家の脇にある畑にクマの足跡がありました。それは、長年クマ狩りをしてきた私の目にも「これは大グマ」とわかる大きな足跡です。秋の今の季節ですからおそらく120㌔以上はある大きなオス熊と思われます。

畑そばの里山ではヤマグリの実りが盛りとなっています。この季節、クマたちがめざすのはこのヤマグリです。深山のクマたちもヤマグリをめざして里山へ集中移動するはずですから、これからの里山歩き、ヤマグリの多いところは要注意です。