タケノコもやはり早い

CIMG9908-1CIMG9910-1予想したように、いつもの年より一週間以上早く今年のタケノコ採りシーズンがはじまっています。

いま顔を出しているタケノコは、同じタケ藪でも主に季節風が強くあたり積雪が少ない西むきの山や雪崩れ跡で、品質でいえばB、C級。まれにBに近いAクラスもみられますが、Aや特Aはたいがい風で雪が多く運ばれる東むきの窪地や斜面、土深の箇所に多く、それら高級品は月半ば近くに最盛期となるでしょう。

冬や春に雪の山を歩くこちらは、タケノコが早く顔を出す雪の少ない箇所がだいたいわかります。土曜日の昼近く、山の様子を見ながら通いなれた村内国有林のタケノコ山に入ったら、もう早朝から出かけてきたのでしょう先客さんの車が幾台かあります。

こちらが入る山にはどなたもおらず、タケノコはもう伸びすぎたのがあるほど。この時期にこんなにタケノコの成長がすすんでいるのは何年ぶりでしょうか、めずらしい年です。

栗駒山麓・須川温泉周辺のタケノコ山へもすでに県外の方々の車がみられます。ということは、なければよいのですが、タケノコの発生にあわせて今年のタケノコ採り遭難は例年より早くはじまる可能性もあるということ。それを裏づけるようにすでに県内のタケノコ山では各地で遭難がおき始めていますから、捜索・救助にあたる関係機関の方々の緊張と難儀の日々が続きます。

このシーズンになると毎年同じようなことを記しています。山をある程度知っているつもりの当方も、霧が濃く風の強い日のタケ藪に入ったら、まわりはみんな同じようなブナと笹の海、自分がどこにいるのかわからなくなります。それが平地だとなおさらで、ちょうど吹雪の山のホワイトアウトと同じ状況におかれます。地形の特徴をつかんでいればなんとか藪から脱けられますが、霧がなくても、笹の海は遭難の巣のようなところなのです。

いったん「しまった、迷った」と思ったら、人は冷静さをなかなか保てず、正常な判断ができないまま焦って歩きまわり、結局戻るべき地点とはまったく別方向に向かうことがあります。最悪の例は、やぶ漕ぎに疲れてしまい、笹やぶを避けようとして笹のない沢に入り下ってしまうことで、深山ですから、沢の途中にはほとんどの場合下りられない滝があり、それを迂回しようとして崖から転落したり、疲れてしまい、往くも戻るもできない深い淵や崖に阻まれ立ち往生もあります。ブナの葉が厚く、丈のある笹藪の中にうずくまってしまうとヘリからもなかなか発見されにくく、時に最悪のケースがおきるのです。

タケノコ山は、この時期のクマが主食を摂るところ。クマにも個性、気性、気質のちがいがあり、不運となる出会いがないとは限りません。何年か前に、村でもタケノコ山でクマに襲われたケースがありました。みなさん、タケノコ山のこわさを知らない初めての方も要注意ですが、「オレは、ベテランだから、だいじょうぶ」が、最も危険です。要注意を。