雅な「美」と美しい日本語

男子でまだ小学低学年頃までのわが孫にはこれまで「ワラシ・童」という呼びをあてていた。が、同じ年齢層なのに、それが祭りの稚児でしかも女児となるとどうも「ワラシ」言葉をあてるのは似合わない。

CIMG0004-1CIMG0005-1CIMG0003-1CIMG0002-199-1CIMG0002-198-1CIMG0001-1CIMG9985-1なにもなければそんな言葉のあやを感ずることなく過ごしていただろうが、昨日はその「なにも」があった。おとなり湯沢市小野(旧雄勝町)の「小町まつり」で、市女笠(いちめかさ)姿の小町娘に続いておがち保育園年長児たちの稚児行列があり、孫娘もその列に加わったのである。

最近は、才媛の誉れにとどまらず、自分の意思を貫き通した日本史上の希有な女性として脚本され、わらび座のミュージカルでも大好評を博した小野小町。「小町まつり」は、やはり美のくに秋田、それも県南、わけても小町の生地とされる雄勝の小野でしのぶのがふさわしいのか。

こちらが道の駅脇の会場に到着したら、市女笠姿の小町娘が入場する通路前はプロからアマまで混じっているのだろうカメラマンでいっぱい。みなさん、その多くが還暦以上とみえるお歳で、60歳代後半から70歳代が多いのかな。肩や首に下げたカメラもみんなウン10万円クラスの高級モノに見え、そういうカメラを二つも用意している方も幾人かおられた。いかにもカメラマンらしい、その出で立ちと振る舞いをみているのも結構楽しい。

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さて市女笠姿。新しくつくられた「小町の郷公園」の会場ながら、歩く市女笠姿を写真にするには背景(建物や観客)がいろいろと気になり、シャッターチャンスをつかむにはみなさんそれぞれご苦労されたのではないか。あやめ咲く平泉の毛越寺庭園などでなら写真もまたちがった雰囲気となるだろうが。西馬音内盆踊りのように夜の踊り手の美を撮るのとはまたちがい、昼の市女笠姿の美も納得のゆく写真にするにはむずかしいのではないか。私はカメラは別にして、雅な歩き姿に見ほれて時を過ごした。

市女笠の女性たちは、笠のなかではどなたかまったくわからないが、稚児たちもみんな同じ衣装と化粧なのですぐに自分の目当てをさがすのは遠目だとむずかしい。こちらも、カメラのレンズでやっとわが孫らしい姿と認め、幾枚かシャッターを押し続けた。

CIMG9973-1▼きのう午後は、村教育委員会主催の「ちひろ・トーク&コンサート」でおよそ1時間半のすばらしい歌声と心に残る語りを聴かせていただいた。

歌と語りのなかでのちひろさんの言葉つかいの美しさ。久しぶりに美しい日本語に出会えたと感じたひとときであった。

市女笠姿の小町、金子みすゞの詩、いいものは長い時を経ても多様なかたちになって人の心にのこりつづける。