見事な飾り彫りの社二つをもつ小集落

CIMG0197-1CIMG0199-1CIMG0196-1先日の通りすがり、なんとなく肴沢の二つの神社が気になり境内に足を向けました。

そばにありながら「彫りものの飾りがなかなかのもの」というその実物をながめたことが一度もなく、いつか立ち寄ってみたいと思っていたからです。ところが、その時写したカードをどこかにしまい忘れ、「もう一度」と今朝また立ち寄ったらもう社は固く冬囲いされ彫刻は見えません。春の芽吹きのときにでも、見事な中身をご紹介いたします。

そんなに大きな集落ではないのですが、見事な飾り彫りで造られた社を二つももつ肴沢集落。村郷土誌によれば、この地区の南方前山沢、元山沢目一帯は、県内有数の金、銀、重晶石のやま(戦後バリュウムの需要増で重晶石は昭和25年頃国内最大のやま)として藩政時代から戦後まで時々の閉・休山をはさみながらも栄え、多いときには600人(大正年代)もの人々が働いたと記します。肴沢はその前山や元山鉱山の根城となった集落。だからでしょう、八坂神社と山神社は、そういう特異な歴史をうかがわせるつくりです。

本題からはなれますが、肴沢については村郷土誌がつたえるなかに私の興味を引いた別のことも記されています。それは鉱山の精錬に用いた動力源のこと。

郷土誌は「用水について、選鉱に供する水は選鉱所を遡ること三0間の渓谷から木樋を以て之を導き、また精錬用水は南方五町余の渓谷から山腹に沿い、木樋を以て導き、供用した。」と記します。私が注目したのはそれに続く以下の部分「さらにこの用水を利用して上射水車二台を設置した。一は径二三尺七馬力、他は径一八尺五馬力で、鉱業所内の諸器械を運転する原動力となった。」これで一日三千貫(約11㌧)の鉱石を選鉱したというのです。上射水車とはどういうものかわかりませんが、小型水力発電で必要な動力をまかなったということに注目です。

境内に立てば、やまが盛りだった往時の人々の声と姿が、すぐそばに聞こえ、見えるような覚えにとらわれます。当方の亡き祖父の日記にも、昭和の頃、自分や家族が肴沢の鉱山(カネやま)で鉱石運びや木炭扱いの作業などにあたったことが記されています。亡き父も若い頃、部落の人々と同じようにカネやまに働いたことがあると聞きました。

▼村のパンフレットでも紹介されていますが、ほかにも、平良や下田の部落の社など、飾り彫り物で名の通った社が村にはまだまだあります。

部落も家々も豪雪の冬へ備えて

6日、県南地区農業委員会会長会で大仙市へ。

農業委員会法が改正となり来年4月から都道府県農業会議が「都道府県農業委員会ネットワーク機構」へ移行、非営利型の一般社団法人組織へと衣替えする。この日の会議は、そのための一部体制案を準備するもの。

秋田県のネットワーク機構には、これまでの構成員に加えて団体会員に25市町村が入り、他に金融関連の団体もひとつ新たに加わることが新組織の(案)として計画されています。他に、組織機構としてはこれまでにない「理事会」や「常設審議委員会」なども設置されます。

TPPへの的確な判断対応もある、組織の改変もあるということで、全国農業会議所、都道府県県農業会議は、かってない重要課題を背負いながらの活動がつづきます。

▼7日は自宅のエドカギ(井戸掻き・池の泥上げ)。主に雪消し用につかう二つある池に1年間溜まった泥を掻き上げる作業で、冬を越すには欠かせぬしごと。

毎年、童がこの日を楽しみにしています。今年は入学しているので、なるべくなら休日を待とうということで、土曜日に決行。

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CIMG0100-1童の目的は毎度のことながらエド(池)に棲む鯉などの魚。童の力ではもちあげられないほどに目方のかかる鯉が、網の中で銀鱗を光らせて暴れると、「重~い」と網を地に下ろすほど。池ではイワナ、カジカ、ドジョウもよく育ち、今年は、おまけに冬眠遅れのカエルまでおでましで童は大喜び。

こちらが子どもの頃も、ほかの手伝い仕事は難儀だった記憶だけが強いのですが、「エドカギ」だけは同じ手伝いでも心が躍る楽しい日でした。童も「今度は何が出てくるか」と目をキラキラです。

CIMG0118-1CIMG0157-1CIMG0153-1CIMG0167-1この日もどうにか小春ぎみのおだやかさ。頭上でクォークォーの音がするので見上げたら、奥羽の脊梁を越えて宮城・蕪栗沼か伊豆沼あたりをめざす雁でしょう、50ほどの群れが成瀬川筋に南東へむかいました。作業を終えて川岸へむかい、流木の大きなブナでナメコをいただいたり、早くもユギノシタキノゴ(エノキタケ)と出会ったり、渕遊びをしたりと、あとわずかしか間がない積雪前の川原散策を楽しみました。

CIMG0185-1CIMG0186-1▼8日は部落全体の秋作業。4つの地区に大きくわかれるわが部落。わが東村集落は、遠藤堰・用水路沿いの草を刈ったり、城下公園の花木や遊具を囲い、伸びた草を刈ったり、泥を上げたり落ち葉などの掃除と、やることはあれもこれもといっぱい。郷社などの冬囲いも済み、部落は、冬を越す支度をこれで整えました。

ふたたび地区要望にこたえる会議

おととい、そしてきのうと、ポカポカのうれしい日和が続きました。積雪前の11月にこういうお天気がおとずれてくれると、雪国人は「今のうちに、ありったけの陽射しを浴びておこう」という気になってきます。

議会事務局提供
議会事務局提供

きのうは部落・自治会長に集まっていただく村主催の会議が行われ、議会として同席しました。春に村と議会でおこなう13地区から要望を寄せていただく会議が開かれています。その会議に続いて秋までの検討状況や変化などをそれぞれの地区代表に伝えるのが秋の会議の主な目的です。

当日集まった11人の地区の責任者の方々へ、ひとつひとつていねいに対応策や考えがしめされ、意見交換がひとりひとりと交わされます。小回りがきき目配りが細かく行き届く村の政治、つまり地方自治のひとつの典型的な姿は、たとえば村と議会と住民によって長年積み重ねられているこういう要望とりまとめ活動と会議などにもみることができます。

こちらも当事者のうちの一人ですから、全国や県内の地方自治のそれぞれの姿にふれる機会が多くあり、他をみて村の到達を時々比較します。こういうしくみを村と議会がつづけてきていますから、あらゆる雪対策、村道や水路改良整備の推進、簡易水道設備の統合更新をはじめとする水対策、最近では全集落の街灯LED化切り替え推進をめざすなどの生活環境整備の徹底、加えて教育、医療・福祉政策、農業、商工業むけなどの産業振興支援策などが前進。「東成瀬はよくやっている」といわれるように、おそらく県内各市町村に遅れをとらない到達に村の自治はあるはずです。

市町村は住民の自治の力によってうごかされますから、小さいわが村はわが村なりの特徴をいかして独自の自治の道を走り続けます。どこの市町村とも同じように「より暮らしやすい地域づくりをめざし」てです。

CIMG0083-1▼今冬に焚く薪入れ作業をようやく終えました。これからは池の泥上げ、家屋や作業小屋、農機具格納庫の冬囲いと、合間合間をみて、ひとつずつ、少しずつ、冬を越す支度をととのえる日が雪の降る時まで続きます。

CIMG0082-1作業中、「あっ、きれいだごど」と妻の声。名は知りませんがある野草の穂をみてのこと。雪が下りてくる前の晩秋、初冬の野は、深山から里まで、来年にのぞみをつなぐ草木が今年最後のわびしげな美を一隅一隅で見せる時でもあります。

成瀬ダムで行政懇談会と現場視察

CIMG0023-1CIMG0029-1きのうは村議会の行政懇談会がおこなわれました。懇談会は毎年開催しているもの。成瀬ダム事業について、小松所長さんをはじめとする成瀬ダム工事事務所幹部職員のみなさんをお招きしての村議会恒例の研修です。

懇談会は、あらかじめ準備した全体の研修課題(事業概要、今後の事業工程、工事事務所の建設計画等)についての質問や、個別質問(赤滝神社関連、成瀬川の流量等、伐採木の処分等、原石採取候補地、コア倉庫新築等)へもふくめて説明をうけ、質疑応答が交わされました。

会議後はダム事業現場を視察。昨年までは北ノ俣沢方面や成瀬川の右岸(東側)からながめる工事現場でしたが、今年ははじめて赤川を越えてつくられた工事用道路に入り、対岸の西側から事業範囲全体をながめました。多忙のなか、長い時間を割いていただきました工事事務所の所長をはじめみなさんには心から感謝です。

あらためて、ダムの堤体積が1200万㎥に及ぶロックフィルダムの規模の大きさを実感しました。世の中、たいがいのことにいえることかもしれませんが、立つ位置をかえることによって思考も一定の変化をみせるものです。

規模も質もちがいますが、地図上で、日本からアジア大陸やアメリカ大陸側をながめるのと、反対に大陸側から日本を眺めるのとでは、日本へのとらえ方がかなりちがう感覚、思考になるのと少し似ています。存在は人の意識をある程度決定するともいわれます。それほど大仰ぎみたことではないにしろ、「それは、どの位置、立場からみた考えか」ということには大事なことが含まれているものです。

TPP対応へ緊急決議の県農業委員大会

2日~3日、県農業委員大会などがあり、種苗交換会が行われている鹿角市にいた。

59回目を数える大会は、来年4月1日に施行される改正農業委員会等に関する法律制定後の会議であり、また10月5日のTPP交渉の大筋合意直後の大会でもあった。それだけに、農業者の利益代表機関として活動する農業委員が集う全県の大会は、すばやくこれに対応、「TPP合意に対する緊急要請」を他議案と独立させ緊急決議した。

決議内容を一部抜き出しお知らせしたい。決議は『国会決議で関税撤廃の例外を求めた「重要5品目」においても関税が撤廃撤廃されることが判明した。』とし、『今後の農業経営に悪影響が生じることは不可避であり、農業者の不安と苛立ちは募るばかりである。』とのべ、『TPPの合意内容は日本経済はもちろん、農村を始め地域社会の在り方まで左右しかねないことから、国会において、国会決議に沿うものかどうかを徹底的に議論・検証するとともに、国内農産物価格や需要への悪影響を生じさせない国内農業対策が構築されるよう、政府・国会に対して強く要請する。』などを主な柱としている。

質疑のなかでもTPPへの言及があった。二田会長は、緊急決議の上程にいたった経緯をあらためて重視し答え、いつもの剛直闊達な語り口で、県と全国農業会議会長としての見解をまっすぐにのべた。

大会では、恒例の県農業会議会長表彰がおこなわれた。永年勤続農業委員会会長表彰を私も受けることとなり、受賞者を代表して謝辞を申し上げた。謝辞をお受けいただいた二田会長や壇上の県内市長村農業委員会の会長さんたち、それにわが村も含む管内や県南の農業委員のみなさんと長く活動を共にできたことは貴重な体験である。二田会長やみなさんから学んだことは、農業だけにとどまらず人生の糧としての多くがある。

謝辞そのものは、よくつかわれる言葉を並べた短いものだが、申しのべながら対面する二田会長と幾度か目を合わせた。会長には、これまでのご指導、学びを体験させて頂いたことへの感謝の心をそのままにお伝えしたいと念じながらお礼の言葉を読み終えた。

CIMG9997-1CIMG9995-1CIMG0001-1CIMG0006-1CIMG0005-1CIMG0002-1▼種苗交換会では、村の母ちゃんたちの農事組合法人「なるせ加工研究会」の手作り「あめこうじ比内地鶏トマトだれセット」が全国農協中央会会長賞に輝いたほか、村農業委員のトマトやイチゴをはじめ入賞した村の特産物が展示されていた。

CIMG0015-1CIMG0016-1農機具ショーや植木市、物産販売会場は、隣県からも含めていっぱいの人、人、人。花輪の郊外にまだほんの一角だが刈り取られない稲がめずらしく残る市内は、あっちでもこっちでもと、人のうごきのにぎやかな晩秋であった。

CIMG0008-1CIMG0014-1CIMG0010-1CIMG0009-1CIMG0019-1▼鹿角の朝市風景、帰路、車中からの岩手山も載せておきます。

晩秋の林はモミジが映えます

寒気次第では、里への雪がいつ降っても不思議でない11月はじめ。まずはと、車の一台はスノータイヤに履き替えておきました。少々ある花木も、簡単な冬囲いを済ませました。

部落(自治会)の役員会が30日に開かれ、冬にむけた用水路の草刈りや公園などの清掃冬囲い作業を8日に行うことを決めました。11月は、みんな、冬へ冬へと心も体が動きます。

31日は村猟友会の総会へ。カラスやクマの有害駆除、事前調整捕獲、生息調査などの活動に加え、山岳遭難の捜索救助では消防団や捜索隊の一員としてとくに頼りにされているのが山をよく知る会員たち。1日からカモ猟が解禁となっていますが、はたしておいしいカモ鍋はごちそうになれたのでしょうか。

ブナの森深山は木の葉のすべてを落としもう冬山。里が雨なら奥羽の脊梁はいつも雪景色という季節。集落の東、合居川渓谷奥にドーンと座する焼石連峰・三界山も白装束の日が多くなっています。

CIMG9994-1CIMG9998-1CIMG9999-1CIMG0002-1CIMG0007-1CIMG0014-1CIMG0016-1CIMG0017-1人里の林も落葉がだいぶすすみました。こうなると映えるのが比較的遅く色づくモミジやイタヤカエデたち。わが家裏山、車道脇の林は低木が落葉したので見通しが次第によくなり、童と散策するにはちょうどよし。

歩いていたら「あっ、キノコ」と童の声。里山も、深山も、今の林を歩いたらよく出会うのは枯れ木に出るムキタケ。

里は里でも、宅地脇の草むらには、晩生のハタケシメジもモコッモコッと最後のカオを見せています。こんなに遅くなってもいい形で発生をつづけていますから、今年はハタケシメジにとってずいぶん発生条件のよい環境だったようです。童はムキタケは苦手のようですが、ハタケシメジは大好き。自分で採ったキノコを食べられるのですから、山村の童は幸せということでしょうか。

CIMG0019-1CIMG0023-1CIMG0021-1CIMG0026-1CIMG0028-1CIMG0029-1CIMG0034-1CIMG0041-1CIMG0043-1CIMG0046-1CIMG0047-1CIMG0048-1CIMG0051-1CIMG0053-1CIMG0049-1▼1日午前の赤滝です。滝つぼ脇の黄色のモミジがまだ観られるかなと足をむけましたが、もう葉っぱはなし。天気が比較的よかったからでしょうか、本格的な構えのカメラマンさんが二人、滝景色をしばらく写し撮っていました。今年の私の赤滝通いはこれでおしまいです。