サモダシあっての納豆汁

CIMG1909-1CIMG1907-1山、川、海、たんぼや畑には、山菜、きのこ、木の実、魚介、野菜・果物、お米と、それぞれおいしいものがたくさんあり、それを採ったり栽培したりを生業としている方もおれば、お米以外なら趣味としてそれらに手をかけたり足をむけたりする方もいる。

生業、趣味の区別なく、食べ物を採り育てるわたしらのような者にとって、自分の採って(獲って)きた食材が食卓にあがったとき、それを「おいしい」と言われた時のうれしさはたまらない。

とくに、童たちに「おいしい」といわれると、ごちそうをつくった妻も、食材を採ってきたこちらも、「ささやかな幸せ」を感ずることがよくある。

わが家では、童に「おいしい」といわれる冬の代表格は、きのこと山菜のはいった「味噌汁」と「納豆汁」。

きのこでとくに好まれるのはサモダシ(ナラタケの仲間)、エノキタケ、ナメコ、シメジ類とマイタケ。山菜ならワラビやゼンマイ。なので、サモダシとワラビが入ってこそ本命とされる村の納豆汁が出ると、童はおかわりを何べんも。

そんなとき、こちらは「ようし、来年も、まだ、キノゴ、えっぺぇ、採って来るがらな」と希望が湧きたつ。おそらく妻は妻で「ようし、まだ、納豆汁、こひゃで、けるがらなぁ(つくって、やるからな)」と、うれしさをじんわりと感じているにちがいない。「ありがとう」は社会でも家庭でもおたがいによく交わされる心あたたまることばだが、童に料理を「おいしい」といわれたときの言葉も、これは世のお母さん、あるいは料理人の方にとっては、お世辞ぬきの言葉でもあるのでほんとうれしいことなのだろう。

と、そういうことで、たっぷりと塩蔵されているわが家のサモダシとワラビは、童の「おいしい」と、私らの「よろこび」のために、この冬何度も何度も塩出しされ、納豆汁のお鍋に入っています。