日を追うごとに初モノが増え

雪解け直後でも、土が温められるとたちまちのうちに野の草たちが芽を出します。

我が家前の河川敷はこちらのお定まりの散策コース。先日、一日前にはまったく姿がなかったのに翌日には芽をだしていたのがコゴミ。写真のコゴミはまだふよふよした株で、コゴミの格付けとしてはCクラスですが、春一番の野の香りを味わうにはこれで充分です。

この山菜は生長の早いことで知られており、村人からは「一夜コゴミ」などとも呼ばれます。芽を出したと思ったらたった一夜で採り頃、食べ頃を過ぎてしまうというほどに生長が早いためそんな呼び名がついたというわけです。

そばにあるカンゾウの芽とあわせ初モノをまたいただきました。これからは、豪雪の村だからこその良質の山菜が次から次へと食卓にあがる季節です。

せんてい枝や被害木のかたづけ最終盤

今冬の豪雪で大きな被害をうけた県南地方の果樹地帯。

まもなくおとずれる開花の時期を前に一回目の防除作業を終えなければならないようで、横手市増田町や平鹿町醍醐方面のりんご園では被害木や剪定(せんてい)枝のかたづけ作業が懸命におこなわれています。かたづけには、果樹農家以外の方々の手伝いも方々でみられ、我が家も身内で高齢の専業農家へ少しの応援です。

村のお米「あきたこまち」やトマトのおいしさがとくに優れていると評価されるのと同じで、平鹿地方や湯沢雄地方のりんごやさくらんぼも味がよく贈答用としてとてもよろこばれています。おいしさが評判の果樹産地ですので、豪雪被害で営農をあきらめる方がでないよう願いたいものです。

▼おととい、村内をまわる時にながめた村の名峰・東山と、そこから流れる大深沢が成瀬川に注ぐ春の風景です。

晴れといってもまだ4月半ば、気温がそんなに高くならないので雪解け水は夕方になっても黒い濁流とはならず笹濁りのまま。ヒラ(底雪崩)の落ちる県境の日向斜面は雪がなくなりましたが、ブナの森は今も厚い雪に覆われています。

同じ日、我が家そばの成瀬川と合居川合流点からながめたサンサゲェ(三界山)と権四郎森(南本内岳)方面です。こちらも、頂上付近の西向き斜面や日向斜面は雪がなくなっています。しかし、沢筋やブナの森は厚い積雪でまだ冬の山といっておいた方がよいのかもしれません。

山好きの人々にとってはこの雪が好都合。登山道に頼らず雪上を自由に歩ける春山シーズンのはじまりです。今冬は積雪が比較的多かったので、春山雪上歩きの期間も平年より長めにとることができるでしょう。

▼5月半ばに都内で予定していた議長会の全国研修が、新型コロナ禍の再拡大により先日急きょ中止の連絡が入りました。

全体へのワクチン接種が終わるまでは、今年も行事の中止や規模縮小があらゆる分野で続くと思われます。

群生のチヂザグラ(イワウチワ)開花

ブナの森に群生のチヂザグラ(土桜・イワウチワ)がいっせいに咲き始めました。

日曜日、あんまりお天気がよいので「そろそろ、深山入り口のイワウチワも咲き始める頃」と、沼ノ又渓谷国有林沿いの斜面に向かいました。

豪雪の冬だったので国道にはまだ雪がいっぱい。渓谷に落ちたヒラ(底雪崩)の量も平年よりやや多めで、渓流にはヒラでできた厚い雪橋がいくつも見られます。

この季節、午前中なら雪解け水がまだ多くないので、雪の橋を渡らなくても谷に倒れた「枯れ木の橋」などを伝って川を越えることができます。上をよく確かめ雪崩のこない場所を選んで急斜面に上がると、群生していたイワウチワが雪解けにあわせ満開状態です。

雪が解けたばかりでつぼみ状態や、まだ厚い雪に押さえられている群落もあり、ブナの森ではこれから次々と開花リレーがつづきます。

国有林入り口のフクジュソウも咲き始め、カタクリやキクザクイチゲとともに可憐な小花たちの谷を舞台とした花競演がいよいよ始まりです。

渓流の岸辺によこたわる枯れ木にユギノシタキノゴ(雪の下きのこ・エノキタケ)が少し出ていました。初モノをさっそく味噌汁で楽しみました。我が家の冬の食卓では、山菜やキノコは塩蔵や瓶詰めモノが多かったのですが、雪消とともに、エノキタケも山菜も旬の生モノ食へと切り替えの季節入りです。

わらび座創立70周年公演開幕

創立70周年をむかえたわらび座の劇場公演シーズンが10日開幕。

マスク、手指消毒はもちろんのこと、検温や1座席を空ける座席配置など、新型コロナ対策を徹底するなかでの観劇です。

昨年につづいて4月から11月まで劇場公演のメインとなるのは、この日も演じられたミュージカル空!空!空!。NHKの連続テレビ小説「雲のじゅうたん」を思い出させる県出身の女性飛行士・及位ヤエの偉業をとりあげたミュージカルです。

この日は70周年記念の開幕特別公演としてのセレモニーも。劇団の山川社長のあいさつに続き、堀井副知事と秋田商工会議所・三浦会頭の来賓挨拶もありました。

昨年は行けませんでしたので、劇場で生の観劇は2年ぶり。人の暮らしのなかで、文化・芸術がどれだけ大切なものであるかを感じた一日でした。

ところで、劇場ができる前のわらび座公演といえば、全国でも県内でも学校の体育館を会場にしての現地公演が多く、度々行われた小さな班編成での公演は別にして、村での大きな公演としては私の記憶では2回は行われているはずです。

そのうちの一回目は何十年も前のこと。おぼろげな記憶ですが、確か青年達などによる実行委員会方式で開催が計画されたものでした。会場確保に苦労しながらやっと開催にこぎつけ、椿川の体育館がいっぱいの観客でうめられた時のことを時々思い出します。

魚も冬ごもり終える

イワナ、ヤマメなど渓流釣りが解禁となり、村内の所々で太公望の姿が見られます。雪解けが盛んの初春は、成瀬川本流よりも支流での釣果が多いようで、雪上の足跡を見れば釣り人は支流に集中していることがわかります。

成瀬川漁業協同組合の総会資料によれば、毎年行われている放流事業で今年もイワナ2万尾、体験放流イワナ2千尾、イワナの成魚100㎏、ヤマメ3万尾、鮎(県内産)300㎏、鯉(羽後町産)80㎏、サクラマス1万尾の放流を計画。成瀬川やその支流は大型のヤマメをはじめ形のよい渓流魚が釣れるということで、釣り情報誌でも全国に紹介されているようです。

渓流魚の動きにあわせてエド(池)の鯉もようやくエゴ(隠れ場所)から出て活動を始めました。

池のそばではチヂザグラ(土桜・イワウチワ)も花を見せ始めました。鯉も回遊の動きが見え始め、イワウチワも咲き、日向斜面や沢筋の水辺には生きものたちの春一番のごちそうとなるウドザグ(ハナウド)も一面に見られるようになりました。もうクマたちも「食べ物がある」と悟り次々と冬ごもりを解きはじめたでしょう。

冬ごもりを終えたクマはまず越冬穴のそばで少し体を解し、食べ物がありそうな雪消の場所に移動します。しかし、今冬に生まれたばかりの子グマ(ワカゴ・若子)をもつ母グマや、昨年に生まれた子グマ(フルゴ・古子)をもつ母グマは、穴から完全に離れるのは遅く、とくにワカゴ持ちは5月半ば頃まで穴の周囲から離れないものです。

▼この季節特有の稀な寒気が南下、朝はなごり雪が降り、まわりは一時の白い世界へと戻りました。ほとんどの方々が夏用タイヤに取り替えたでしょうが、村の4月ではこんなことが時々あります。朝に道路をやや白くした雪はもうなくなりましたが、標高の高い所での今日明日はスリップ事故に要注意です。

干し大根の季節

先日所用で村内を回ったら、雪解けの季節になるとはじまる大根干し風景があちこちで見られました。

たっぷりと貯蔵して冬の間に食べ続けられていた大根ですが、春野菜や山菜が出回るようになると調理につかわれる機会がぐんと減ります。農家は、その大根をむだなく活用するため、今度は春の乾燥した大気と陽射しを利用して干し大根にするというわけです。

秋から春にかけては、おでんや鍋物、漬け物、味噌汁などあらゆる料理に重宝される大根。寒気を利用して冬は凍み大根、最後に春は干し大根として最後まで徹底して利用される大根は、雪国のくらしに欠かせぬ野菜といえます。

▼新年度となれば、村や議会が関係する各期成同盟会の総会や要望活動が始まります。それらの総会を前に、きのうは県南高規格道路同盟会組織の監査があり対応。

東北も全国も新型コロナの勢いがまた急速に拡大しています。昨年度は各組織の多くの活動や要望行動などが縮小や制約を迫られましたが、今年も従来のような活動スタイルができるのか、このコロナ状況下ではわからなくなりました。

▼きのうは雪解け時に恒例の自家用味噌の仕込みも手伝いました。我が家で仕込む量は毎年2斗。麹をたっぷりとつかう特製味噌は、およそ1年熟成させて蓋が開けられます。

家族も少なくなり、狩猟による冬期間ほぼ毎日のノウサギ鍋や初冬と春のクマのドンガ汁(肉つきの骨をぶつ切りした鍋)などがほとんどなくなり、味噌を多くつかう機会がなく、大きな味噌桶も今では半分ほどの量で間に合うようになっています。

入学式

きのうは、午前に小学校、午後に中学校と入学式へ出席。新型コロナ禍なので、感染防止のため卒業式と同じように時間短縮と規模などに配慮された式内容となりました。

小学校は11人、中学校は28人の新入生のみなさんが、担任となる先生方の点呼に元気な声でこたえ新しい生活がスタートしました。楽しい学校生活がおくれること、みなさんのご活躍を心からお祈りして議会からもお祝いの言葉をおくりたいと思います。ご入学おめでとうございます。先生方へは、ご難儀をかけますが、村の宝、子たちをよろしくお願いいたします。

きのうは県内の多くの高等学校でも入学式があったようです。別れの時は早くも過ぎ、学校も職場も新しい出会い、新しい縁、新しい絆が紡がれる日々のはじまりです。子たちと人々にとって、新しくできた偶然とも必然ともいえるその出会いと縁が、それぞれの人生を豊かなものにしてくれるよう願いたいものです。

▼入学式前日の夕方、自宅前で夕日に照らされる雲と霧と雪と林のすてきな風景が一瞬の間みられました。昇る陽とはまたちがって、夕焼け空も独特の輝きがあって心に留まるものです。

ミズバショウも新芽

自宅前、湧水脇のミズバショウが新芽を出しました。

水辺では軟らかな緑のアザミも見られました。ひと株を摘んで味噌汁に浮かべ、初春の香りを楽しみました。

新芽のそばには大きなヒラ(底雪崩)が落ち、樹木をなぎ倒してきた雪塊が厚く重なっています。

こうして雪崩跡の雪の塊を越え歩くと、小学生の頃を思い出します。

およそ60年ほど前、県境沼ノ又沢の国有林で山小屋に泊まってはたらく男たちに食料を背負い上げる女たちがいました。子どもの頃、時々その荷上げに混じって荷を背負い一行とともに歩く途中、大きな雪崩の箇所があり、大岩のような雪塊の上を通り抜けました。それは雪塊といってもまるで氷や岩のように堅い塊で、ヒラの破壊力のすさまじさ怖さがその時から私の体にしみ込んでいます。

成瀬川は朝になっても笹濁りがとれなくなりました。県内でも例年より早く沿岸南部から桜の開花だよりが届き始めました。こうなれば川も、洪水のように荒ぶる黒い雪解け濁流へと様子を変えるのはもう間近のことでしょう。

クマの冬眠明けが早いかも

昔から「ゆぎは(雪は)、降るように、ける(消える)」と言いますが、猛烈に降り積もる時の雪のように、雪は解ける時の早さもあっという間です。豪雪の村でも、とりわけ里山の日向斜面では雪解けがいっきに進んでいます。

村内でも、南向きの滝ノ沢の大日向方面から、平良、岩井川あたりまでの山々では、土色の占める範囲が広がっています。マダギの集落で育った我々は、こういう雪解けの山の様子を「山、黒ぐ、なった」といいます。山は黒ぐなっただけでなく、ウドザグ(ハナウドの仲間)が早くも芽をだしていて、雪崩跡や沢筋に出た新芽の緑があちこちで目に入ります。

大日向山のこの黒ぐなった様子や、クマが春一番に食べる里山のウドザグ(茎が空洞(ウド)のサク)の緑を見ると、今年はクマの冬眠明けが早いことを予感します。県内でも雪の少ないところで、条件の良くない冬眠穴に入ったらしいクマの例外出没報道はすでにあります。

これほど山が「黒ぐなれ」ば、山麓では、チヂザグラ(土桜・イワウチワ)が咲き始めているはずです。写真の範囲の大日向山麓ブナ林内には、私が度々通うクマの冬眠穴があります。その穴入り口のイワウチワを冬眠から覚めたクマが毎日眺めているかもしれません。

その大日向山麓の小沢を集めた不動沢は、不動滝に落ち込んで成瀬川と合流します。山麓の雪がなくなるまで沢と瀑布は雪解け水で満ち、一年で水量が最も多い期間が持続する季節入りです。

人里の南向き斜面ではフクジュソウ、チャワンバナコ(キクザキイチゲ)に次いでカタクリなど小花たちが次々と咲き残雪に映えます。雪の脇でのこうした小さな花見もうれしいものです。

新しい体制で出発

新年度が始まり、きのうは議会事務局スタッフへ辞令書をお渡ししました。

議会も、これまでの佐々木事務局長が教育委員会教育次長へ異動となり、新しい冨田事務局長は税務課長補佐から異動しての職務となります。新事務局長は以前に議会事務局に在籍していたことがあります。

谷藤書記とともに女性二人による議会事務局体制となります。年度初めにあたって私自身も心がけておりますが、状況をよく見据えて職責をしっかりと果たし合う旨を確認し合いました。

▼先日、春休みに入った童と連れ立ち、長年いっしょに楽しんだノゼリ摘みとサンショウウオとのご対面に向かいました。

ノゼリはこんこんと湧く清水の場所に育つので、同じノゼリでも「おいしさ感」がほかで育ったものよりも上回ります。草丈は、日足が長く温かくなったのにあわせて先日よりもまた少し長くなりました。

サンショウウオは石の下でゆっくりしていましたが、仮眠状態ではないようです。雪の上に載せたらすぐに元気な動きを見せました。もう冬ごもりを終え、彼らも新しい春の活動を始める頃なのでしょうか。