水辺では軟らかな緑のアザミも見られました。ひと株を摘んで味噌汁に浮かべ、初春の香りを楽しみました。
新芽のそばには大きなヒラ(底雪崩)が落ち、樹木をなぎ倒してきた雪塊が厚く重なっています。
こうして雪崩跡の雪の塊を越え歩くと、小学生の頃を思い出します。
およそ60年ほど前、県境沼ノ又沢の国有林で山小屋に泊まってはたらく男たちに食料を背負い上げる女たちがいました。子どもの頃、時々その荷上げに混じって荷を背負い一行とともに歩く途中、大きな雪崩の箇所があり、大岩のような雪塊の上を通り抜けました。それは雪塊といってもまるで氷や岩のように堅い塊で、ヒラの破壊力のすさまじさ怖さがその時から私の体にしみ込んでいます。
成瀬川は朝になっても笹濁りがとれなくなりました。県内でも例年より早く沿岸南部から桜の開花だよりが届き始めました。こうなれば川も、洪水のように荒ぶる黒い雪解け濁流へと様子を変えるのはもう間近のことでしょう。