こちらが小学生の頃は、まだ木にクルミの実が着いている初秋の頃に「クルミ落とし」に夢中になったもの。樹の下から石つぶてや棒で落とし切れない実もあり、最後には木に登って「落とし」にとどめをうったものです。
ある日、ある時、隣の遊び仲間と二人木にのぼり、たまたま二人で同じ枝に足をおいたら、二人の重さをささえきれず「ビリッビリッ、ビリビリビリー」と枝が裂け、実のなった枝ごと落下した思い出もクルミにはあります。このときはたまたま下に葛のクッションがあり地上に直接落下とまでは至らず二人とも助かりました。いろいろな「落ちる」を人生で何度か体験していますが、この時の落ちる瞬間の緊張も私の記憶からなかなか消えそうにありません。
そういう冒険までして手に入れようとしたクルミや栗の実。今は、実を拾う方は少なく、リスもまだ集めきれないのでしょう、わが家の後ろにもこんなに落ちたままです。
実といえば、ブナグリ(ブナの実)は深山も里山も「これほど実が成ったのは何十年ぶり」という豊穣の年。ブナ帯の山は、実を包むイガ殻が茶色をしているために、いつもの年より山の様子が別で、褐色に染まる山肌があるところは「あれは、ブナの実だ」と春の芽吹きと同じようにブナ木の識別がたやすくできるほどです。
わが家前の公園に植えられたブナも、これまで見られないほどに豊かな実をつけ、その実はほとんどが落ちました。この実も、今はパークゴルフ場となっているあの沼ノ又沢まで、子どもの頃は一日かけて拾い集めに向かったもの。
わが孫童はこの実が大好きでよく食べます。それが楽しみで家族がいっぱい拾い集めています。煎ったブナの実なら、ビールやお酒のつまみには、これはなかなかのモノですよ。