めんこぐ(愛おしく)なった田んぼ

お盆を過ぎたら夜朝はやや涼しくなった村。雨天ともなれば長袖シャツをほしくなるほどとなりました。

8月ももう下旬。田植えのやや早かったわが家では、田んぼの稲穂も傾きがさらに増し、それに続いて稲穂も少しずつ稔り色に変わり始めています。

ほど良いサイクルで雨天となるので、水持ちのよいわが家の田んぼはすでに配水口をすべて開け放ち落水していて毎朝夕の水見回り通いは終わりです。

この頃になれば、稔りを増す稲穂がこのようになびくので、水見回りはなくても田んぼに自然と足がむきます。それは、稔った田んぼがめんこぐ(愛おしく)なるからです。

生産者米価の極端な下落、肥料や農薬のまれにみる大幅値上げ、高い価格の農業機械という何重もの負の要因があって稲作農家は史上最大の苦境におかれています。なので、全国的にコメづくりを止める農家が年々増える実状があります。村も同じで、わが家も「いつまで大赤字経営を耐えられるかな」の思案が頭からはなれません。コンバインなど大型機械がダメになった時が引き際かな、とも思いながら毎年の作付けが続きます。

そんな重い現実がある中でも、稔り始めた田んぼに通うのはうれしいもの。冷害の心配はもうありませんし、病害虫防除も終え、あとはぬかるみがあれば配水溝を掘って9月末の収穫の日を待つだけ。

わが家は豊作はムリですので、なんとか並み作になってくれればと願いながらの田んぼ通いが、これからひと月ほど続きます。

▼その田んぼ脇では、黄金色のオミナエシと同じ仲間で白花のオトコエシがひきたつ季節です。地元でコガネバナコとも呼ぶオミナエシは「女郎花」と表され、それと対にしたくてでしょう白花を咲かせる同じ科のオトコエシは「男郎花」と記されます。村では、野生種のオミナエシはほとんど観られないのに、オトコエシはいずこにも野生種だらけ、どこでも観られます。

ちなみにオミナエシの花言葉は、「美人」「はかない恋」、オトコエシは「野生味」「慎重」などとされるそうですが、男尊女卑などとはまったく関係なく、昔人は両方の生態をよくみて言葉にしたものです。