お盆につきものトビダゲ(トンビマイタケ)

昔から村では「お盆の料理につきもの」といわれ、県南地方の町の朝市でも人気第一キノコのトビダゲ(トンビマイタケ)が、それほど良い発生をみせていないようです。

写真は、今年のお盆の直売日に出そうと集落のAさんが採ってきたトビダゲを写したもの。Aさんは食べ頃の幼菌を一定量採取できたようですが、ほかに集落でお盆にブナの大きな森へ通った山仲間の方々は「小さな株をほんのわずかしか採れなかった」あるいは「採れたが、発生量は平年より多くない」と語っていました。所の条件によって極端な豊凶の差があるともいえます。

こちらはめずらしく、毎年採るなじみのブナの枯木や半枯れ木数本にトビダゲをめざしてはまだ一度も通っておらず、発生の正確な状況はわかりません。どなたも足を運ばない枯れ木ですので、もしかしたら出ているかもしれません。そのうち、ノギウヂ(エゾハリタケ)を採り(撮り)に行くついでに立ち寄ってみるつもりです。通常はお盆が食べ頃の終わりとなるキノコですので、たとえ出ていても噛み切れないほどの老菌になっているはずですが。

トビダゲの幼菌は、この地方ではマイタケと同じ程度の市場価値がある値の高いキノコ。「日照りトビ」ともいわれ、炎天の続く気候が発生の必須条件とみられるキノコです。今年は発生が遅いのか、それとも6月以来もふくめこの8月まで続く長雨で菌の生長がさまたげられていてこのままやや不作で終わるのか、なんともいえません。

年によっては発生の盛期がひと月も遅れることがあるキノコですので、「これから出てくるかも」と、キノコ採り人たちはまだわずかの期待を持って日照りの日々を待ち続けます。この季節にいっせいにカオをだしているはずのハギモダシ(ハナホウキモドキ)も今年はまだ発生ゼロ。やはり、春以来の天候が菌たちの活動になんらかの影響を与えているようです。