降雪がほとんどなく雨混じりのお天気が続いたここ数日。おかげでふだんの除雪作業は無しで過ごすことができ、気も体も休まりました。
寒中、雨天の後には「雨返し(あまげえし・あまがえし)」の荒れ天気がくることをみんなわかっていて、道行くあいさつでは「あど、おっかねえ。おが、荒れねば、ええのもな(後がこわい。あんまり、荒れなければ、よいが)」のことばがよく交わされました。雨天後の荒れは覚悟していますが、大荒れとならないよう願うばかりです。
休日のこちらは、別の雪掘り大仕事がありました。池の水量が落ちたので点検にまわったら小水路から水があふれていたのです。原因は、水路そばの杉の木が二本倒れ、水路にその倒れた杉の枝が被さり、そこに流れてきた木の葉や木の枝が日を経るごとにどんどん溜まり、とうとう詰まりが極みに達し溢水していたためでした。
12月、湿り気の多い大雪で杉の幹が折れる現象がとても多くあった村や県内でしたが、それが水路に倒れればこういうことになるわけです。村内でもこれと似たような水路への害はほかにもあったと思われます。
通水復旧のために水路を覆っている深い雪を掘り、水路を開けて倒れた木を片づけ、詰まった枝や木の葉を取りのぞくのはなかなかの作業です。でも、今後の荒れ天気がくる前にすべての詰まりを除いておかねばなりませんから、いざ、奮い立っての雪よけと、ノコとナタを手にしての柴木の除去作業に集中しました。1時間ほどで障害物の除去は完了。
時ならぬ雨で沢の水も今冬は多く、それに春のようなヒラ(底雪崩)が沢の至るところで発生、大量の木の葉や木の枝が雪崩とともに沢に落ちます。そのため用水路の取水口にもそれらの木の枝や木の葉が詰まりやすく、その除去にもカンジキを履いて向かいました。
わが家のエド(池)にも注ぐこの小水路は集落の基幹水路となる「遠藤堰」に流末がすべて注ぎます。水量の比較的多い岩井沢の水を遠藤堰に取水できるはこの小水路からだけ。遠藤堰は流雪溝やエドをはじめ集落の冬のくらしをささえる大切な基幹水路。それに注ぐ稀少な小水路ですから冬もこうして見回り点検が欠かせぬのです。
雪国では、どこの集落でも、「取水口」をまもったり水路の障害物を取り除いたりと、冬ならではの作業がつきもの。みなさん様々な苦労をしているでしょうが、雨の多い今年は、見回りの際の雪崩や落雪には特別の警戒が必要です。危ない箇所には踏み込まない、気をつけ合いましょうね。
歩いた雪原には新しい蹄の足跡がありました。以前の村なら冬の生きもので蹄跡といえばカモシカだけでしたが、今はイノシシとニホンジカがそれに加わります。この足跡はイノシシでしょう。大きい足跡ですからオスイノシシなのか。