寒の季節入りとなり、野の生きものたちにとってこれからが食の確保でもっとも厳しい時となります。
同じ木の実といっても、おいしい木の実はヤマブドウなどをふくめ野の生きものたちも区別を知っていてそれらはもうほとんど食べ尽くされています。いま残っているのは、後まわしされるわずかのツルウメモドキやヤマウルシの仲間などの実だけ。ですからこれからのヤマドリなどは、これらの木々に朝と夕刻によく集まります。群れでウルシやツルウメモドキの実を啄む姿が観られるのもこの季節です。
一方、度々ご紹介しているもぎ取られない柿の実も、平成から令和の時代には野の生きものたちのありがたい食べ物となります。
わが家そばの柿の木にも、カラスやヒヨドリの仲間の鳥たち、ほかにもテンやタヌキ、ノウサギまでもが柿の木に集まり、木に登れるテンは樹上で、ほかは熟れて落ちた柿の実を雪上で食べています。夜が明けた樹下の雪上には生きものたちの足跡がいっぱい見られます。
柿の実は寒気で渋がぬけているので「さて、どれほどおいしくなっているかな?」と、とぷとぷと軟らかく熟れた実を口に含んだら甘みいっぱいでした。こんなにおいしいのですから、生きものたちが集まるのは当然です。糖分が多く、野の木の実よりもはるかに粒が大きく、今の彼らにとっては最高にありがたいエネルギー源になるというわけです。