秋きのこシーズン入り(その2)ウスムラサキホウキタケ

秋きのこシーズン入りを告げる開幕時の主役はほかにもいます。それはネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)。ホウキタケの仲間では形が大きくがっしり肉厚で、ささ身を思わせるような食感で人気の高いキノコです。

きのうご紹介のハナホウキモドキはひと月近くも発生が遅れましたが、同じホウキタケの仲間でもウスムラサキホウキタケは通常と同じ時期の顔出しです。これをみれば、雨や気温がキノコの発生に大きな影響を与えることがよくわかります。一定の湿り気と涼しささえあればこうして出てくるのです。

写真はまだ幼菌なので、もうしばらくおがらせ(生長させ)大きな株にしていただこうと「見置き」としました。この種は発生箇所が極めて限られ、まれにしか顔を見ることのできないキノコ。4~5日くらい間をおけばとても立派な姿になっているはずです。

広葉樹の森には、ツギワゲ(月ワケ・ウスヒラタケ)、アカヤマドリ、チンダゲ(チチタケ)などの食茸も観られます。ウスヒラタケは味噌汁に、アカヤマドリは湯を通して刺身風でいただき、チチタケはハナホウキモドキとあわせて塩蔵しました。

道沿いのヤマブドウは少しずつ実の色が黒くなり始めています。所々の蔦に着く房実をみれば今年のヤマブドウは豊作の年となりそうで、クマやヤマドリ、テンなどこの実が大好きな森のいきものたちの喜ぶ姿がいまから想像できます。

秋きのこシーズン入り(その1)ハナホウキモドキ

地元集落でハギモダシと呼ぶハナホウキモドキ(※)が、平年よりおよそひと月ほど遅れて採り頃盛りとなっています。

あまりに発生が遅れていたので今年はダメかなと思っていましたが、雨天続きと少しの涼しさに刺激されて菌が目をさましたようです。

発生状況は平年並みで、生長も採取にちょうどよい状態で出会えました。早速これは塩蔵され、冬のおでん用や鍋モノの具として今年もごちそうになれます。

食卓では、採りだてのハギモダシにミョウガとナスを加え炒め物で早速ごちそうになりました。先日穫ってきたナラトビ(オオミヤマトンビマイタケ)の一夜味噌漬けや佃煮風での味覚も毎日楽しんでいます。こちらはまるで軟らかな肉かホタテのような食感です。

※ハナホウキタケは毒キノコとされていますが、それとよく似ているハギモダシ(最近の研究でハナホウキタケとは別種であり、食べられるキノコであることを主張する方が出てきて、ハナホウキモドキという名がつけられています。)仙台キノコ同好会の会誌44号でも、元会長の佐々木勲氏が自身の食体験を交えてハナホウキモドキを紹介しています。ハギモダシが食べられるキノコとして堂々とひろくガイドブックに紹介される日がくるのはそう遠くないと思われます。なにしろ何十年も何百年もおいしく食べ続けられてきたキノコですから。ただし、ホウキタケの仲間は成長度合いによって食毒ふくめて色や形がとても似ている種があります。種の判別に詳しい方でなければ食は避けたほうがよいでしょう。

栗駒・笊森避難小屋からのご来光

栗駒国定公園の笊森避難小屋(笊森山荘)脇からのぞむ、過ぎた夏7月24日のご来光です。

この写真は娘に写してもらったもの。娘と、娘の友達の家族が、互いに子供たち連れでの山小屋泊りご来光登山をしたときの写真です。その時「いっしょに行かないか」とこちらも誘いをうけたのですがその日は用事があってムリ。それで「ご来光の写真だけをたのむ」と、小さなカメラを娘に渡して写してもらったうちの何枚かがこの写真です。

笊森の避難小屋にこちらは泊まったこともそのコースを歩いたこともありませんが、通い慣れた方々からお話を聞くと、避難小屋は秋田側からのぼってご来光を拝むには適度な位置にあるようで、泊の山行で利用をすすめたいコースのようです。

ところで同じ過ぎた7月、こちらは、焼石岳へのご来光登山を計画しリュックに荷物をすべて詰め込むまで準備、深夜の出発を待ちましたが、岩手側の天候急変予報で日の出を拝むのはムリと断念した経緯があります。どうも今年はご来光に縁がないようです。

そんなこともありまして、カードから過ぎた日のことをふりかえり、「笊森の小屋前でもこんな雲海と日の出が観られますよ」とご案内として載せた次第です。焼石のご来光単独山行となると夜間の長時間歩きなのでちょっとした「決断」を要しますが、栗駒・笊森の小屋に泊まってのご来光拝観なら気軽にできること。下山したら須川高原温泉か栗駒山荘の露天風呂で体と心を癒やす。私からもぜひお薦めのコースとしてご紹介いたします。

だいこん畑の準備

過ぎた24日、「雨が降ってくる前に」と大根を蒔くための畑の準備にとりかかりました。

我が家では、田んぼはこちらの担当で、畑作物担当は妻。

したがって畑のことは畝たてはもちろんのこと、播種・苗植え、施肥などもふくめて順序も頃合いもこちらはほとんどわからず、栽培はすべて妻まかせ。

春まではそれでよかったのですが、今年はどうしてもこちらが畑で鍬を持たなければならなくなりました。妻が7月からこの8月にかけ白内障で両眼の手術をうけたからです。

今回の手術はちょうど大根の播種時と手術後に安静を要する時とが重なりました。この手術直後は汗をかくような作業はとくに禁物。それでこちらが慣れないウネたて作業に妻の手ほどきをうけながらとりくんだというわけです。

農業だけでなく、公務労働も民間労働もどんな職種や部署も、自ら体験してみてはじめてその分野の仕事の大事さ、重さ、積み重ねてきた探究への努力がよくわかるというもの。畑の畝たてもなかなか難儀な作業、やってみてよくよく妻の難儀と作業への工夫の努力がわかりました。

ということでウネたてを終え、この雨天後9月はじめまでには種が蒔かれる予定です。ひと昔前までのわが山村集落では、大根は冬を越すための最重要野菜。たくあん、一本漬け、ナタ漬けなど大量の漬け物用、凍み大根、干し大根用、味噌汁、おでん・煮物、狩人のいる家ならノウサギなどの鍋物用と大人数家庭の食確保にとても大きな役割を果たしました。

そういうわけで昔の大根づくりは収穫量がカナメ。なるべく長くて太い大根を穫るために栽培期間を長くしジャガイモ収穫後すぐの種まきでした。だがそれは昔のこと。我が家の今は「大きくならない大根」が収穫の目標。なので、栽培期間をできるだけ短くし、種まきも時期をずっと遅くしているのです。

大根の種まき時期となればエモノゴ(芋の子・サトイモ)がおいしく食べられる頃。今年は猛暑続きであまり作柄に期待をしていなかったのですが、その割には子芋も孫芋もよく着き、昨年瓶詰めにしていたハタケシメジといっしょに軟らかな芋鍋をいただきました。

稲株を踏み倒すイノシシ?

二十四節気の処暑も過ぎ、浮かぶ雲も夏と秋のふたつの顔かたちが空に同居する季節となりました。

夜朝が涼しさの度合いを少しずつ増すごとに稲穂もふくらみと稔り色を増し、田んぼは出来秋へとまっしぐらです。

そんな実りの進む田んぼにささやかなよろこびを感じていますが、野に生きる動物たちもどうやら田んぼの実りが気になるようです。

我が家の田んぼには夏に一度イノシシが入り込んだ足跡がありました。蹄の跡をみればおそらくそのイノシシだと思います。過ぎた23日にも穂が傾いた田んぼで稲株を踏み倒しながら徘徊した跡が残されていました。まだ食害の様子はそれほど多くみられず倒された稲株は稔実が劣るだけですが、今後の侵入被害が懸念されます。

以前はほとんどなかったクマによる稲穂の食害も近年は村のあちこちで発生しています。過ぎた豪雪のなかでも命をつなぎ越冬したイノシシやシカはこの夏に生息数をまた増加させたはず。実りの秋に彼らはどんな影響を農作物に及ぼすのか、今年はこれまでにない「困ったものだ」の思いが募るおかしな秋になってきました。

▼村議会9月定例会議は1日に開会される予定で、きのう提出される議案が届きました。27日には日程を決める議会運営委員会と議案説明の全員協議会が開かれます。今議会では令和2年度の決算案も提出されます。

オオミヤマトンビマイタケの大人のカオ

わが集落でナラトビと呼ぶオオミヤマトンビマイタケが人間で言えば一人前の大きさになった姿です。

こちらの通う一本のミズナラ大木には毎年3回ほどのサイクルに分けてこのキノコが発生します。今季はすでに2回目までの発生を紹介しています。

今回は2回目の採取時に大木の根元にうっすらと白くキノコの形があらわれていたのを観ていて、それからおよそ2週間ほど経っての訪れです。「見置き」をしてから間をとりすぎたので幼菌を通り越して大人のカオになっていたというわけです。これでもまだまだ大人の入り口程度の大きさですが、大きな背負い道具でも入りきれないほどです。「オオミヤマ」の名がつくだけに、このキノコはもっともっと大きくなります。

トンビマイタケとちがい大きくなってもキノコ全体の肉質は案外軟らかく、80㌢ほどの大きさになっても食べられる部位が多くあるという食通にとってはありがたいキノコです。一本の木に生えている量で一年中の食が楽しめるということではマイタケやトンビマイタケと同じ。一箇所での収穫量の多いキノコとしては筆頭格でしょう。

数年前までは「眺めてうれしいキノコ」として我が家の食卓にはあまりのぼらなかったキノコですが、ここ2~3年ほど前からは8月のキノコとして食に欠かせぬ存在として扱われるほどで、我が家では「おいしいキノコ」の仲間に加えはじめています。厚くて軟らくて少し歯ごたえのある肉質はまるで「山でとれる肉」のよう。和、洋、中、様々な料理にむくキノコです。

山道沿いのヤマブドウの蔦にはほぼ充実しきったいくらかの実が着いていて、これから黒く熟す季節に入ろうとしています。この蔦に着く房実の数をみてその年のヤマブドウの作況の目安にしていますが、それからみれば今年のブドウはまずまずの作柄になりそうです。

高原に秋の花咲きはじめ

「秋の花たちが咲き始めの頃だな」と、土曜日の午後、雨の前の須川高原(標高1100㍍ライン)に上がりました。

この日の高原は濃霧で、行き交う車はみなヘッドライトが必要。その霧の中イワカガミ湿原に立ち寄ったら、エゾオヤマリンドウとウメバチソウが咲き始めていました。イワショウブやシロバナトウウチソウなど夏の花たちも霧のなかで風に揺れていました。

イワカガミ湿原は年々低木類やススキ類などの植生が侵入範囲をひろげていて、リンドウの株が激減しています。あれだけ多かったリンドウがこんなに急に少なくなっているのは意外でした。

湿原には高貴さを思わせるサロメチールの香りあふれるシラタマノキの実がいっぱいで、赤色を増してきたモウセンゴケも目をひきつけます。ススキやオオカメノキの仲間たちも秋色を濃くしてきました。

道路沿いのナナカマドはずいぶん枯れた葉っぱが目立ちます。今年はこの葉っぱを食べる虫が大発生したのでしょうか。

県道・横手東成瀬線整備の期成同盟会総会

主要地方道とされる県道・横手東成瀬線の整備促進期成同盟会の総会がきのう開かれました。

新型コロナ禍のため例年とちがい総会の会場は久方ぶりに村役場となりました。ここ20数年でこちらの記憶にある限りでは村役場での総会は初めて。同盟会設立当初(平成4年)の頃は村役場での総会が当たり前だったのでしょう。

▼家まわりの野道を通ったら、土手際にタチギボウシの仲間の花が色鮮やかに咲いていました。焼石や栗駒の高嶺に咲くギボウシの仲間たちはもう花が終わったでしょうか。高嶺のリンドウ類はいよいよ花時真っ盛りの頃でしょうね。

薬草に惹かれて

朝をふくめ一日に3回ほどはコーヒーを愛飲していますが、ほかにも私がよく飲むのは自家製の薬草・柴(茶)。

数年前から妻がこの薬草に惹かれ、土用の季節になると原料の野草(柴)採りに励みます。

野草はそのほとんどが薬成分を含んでいるようですが、我が家で毎日飲んでいる薬草・柴はドクダミ、ヨガノハシ(ゲンノショウコ)、それにトリキ柴(クロモジ)の3種。

ほかに、虫刺されや小さな火傷の治療用としてつかうために常備しているのはオドギリソウ(オトギリソウ)と腹痛用のヘンフリ(センブリ)。センブリは村の原野では採取がまったくできないといってよいほど絶滅しているので、在庫はよそから購入したもの。

今年も土用に採られた3種の野の植物はいま日影干しが進んでいます。冬になったら、いま愛飲している昨年モノに替わって新しい薬草・柴茶の味覚と香りを楽しむことができます。

赤とんぼの季節入り

お盆を過ぎたら肌にさわる風が次第に涼しさを帯びてきました。

そういう季節の移ろいを野のいきものたちは敏感に感じ取っているのでしょう、田んぼには、しっぽを赤くしたあかねとんぼが見え始め、土手際に生えるミョウガも食べ頃となってきました。