もう、連日、春の息吹を

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▼過ぎた日曜日、「これ食べて、けろ」と、出始めのコゴミをAさんからいただきました。村より雪消えの早い町場の里山から採ってきたらしく、それはそれは立派なコゴミ。

早速、鮭の缶詰、アザミといっしょにカヤギ(鍋物)で初物をごちそうになりました。山菜とキノコは私の元気の素。また今年も、いっぱいの元気をいただける季節がやってきました。

▼わが家の前もまわりも、たんぼも、春の気配がいっきに濃くなりました。

CIMG0792-1CIMG0796-1CIMG0794-1▼チャワンバナコ(イチゲ花の仲間)は、植生の場所によってそれぞれ特徴ある群落を見せ、あちこちでユギノシタキノゴ(エノキタケ)が「私の出番」と言わんばかりに、雪解けを追うように顔を出し続けています。

 

CIMG0798-1CIMG0804-1CIMG0805-1CIMG0807-1CIMG0812-1CIMG0813-1CIMG0815-1CIMG0817-1▼先に童と訪れた清水が湧く地は、もうこんなにミズバショウが成長しています。そばにはアザミや、か細いコゴミも見られます。

CIMG0820-1CIMG0894-1CIMG0822-1CIMG0825-1▼柳の新芽が春風に揺れる成瀬川は、四季一番のすてきな笹濁り。わが集落の前も後ろも里山のブナがいっきに郡境の尾根までたどりつこうとしていて、わが家前河川公園のブナもやわらかな芽がいっせいにホゲ(芽吹き)だしました。先にも記しましたが、今年は、ここウン10年間ではみたことがないほどにブナの花が多く咲いていると私の目には映ります。このまま実がついて、それがよく稔るならば、近年ではみられぬほどの実の大豊作年。今年秋のブナの森は、クマをはじめ森の生きものたちがとっても喜ぶでしょう。

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CIMG0853-1CIMG0869-1CIMG0837-1CIMG0889-1CIMG0850-1CIMG0840-1CIMG0860-1▼わが家などのたんぼへの道は、毎年、吹きだまりによる積雪が異常に多く、集落でも雪解けが最も遅くて日曜日でまだこんな状態。ここら周辺一帯は集落でも知られるチャワンバナコやカタクリの群生地。厚い残雪そばの土手には、春の小花たちが多彩な表情を見せています。

桜はまだですが、地面は花*花*花

金曜日は、小中学校合同の歓送迎会へ出席。合同ですからずいぶん大勢でにぎやか。私は一次会だけでしたが、それでもあの雰囲気でしたから、2次会などさらに盛り上がったことでしょう。

CIMG0749-1▼週末の所用で村内をめぐる途中で目にした水稲の育苗箱。種まきを前にして、肥料や農薬を混ぜた育苗土を箱に詰め、積み置きされていました。きのうはこの箱の農家もふくめ村の方々で種まきがなされた様子。雪の村でも、いよいよ土とまみえる仕事が始まりました。

▼めぐる途中の道ばたには、雪解けの進みにあわせてフクジュソウやチャワンバナコ(イチゲ花の仲間)が次から次へと花の競演を見せ、花群落のそばでは、たんぼに落ちた枝葉を片付けて焚かれた煙があちこちでよく上がる季節です。みなさん、火災にだけはお互い要注意を。
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▼わが家の玄関にある小鉢のイワナシやノウゴウイチゴも花を見せています。ノウゴウイチゴは、わが集落ではエシャガイチゴ(胆沢川イチゴ・沼ノ又入会林にもあったが、そう呼んだ)とよび、昔からおいしい実をたっぷりといただいたものです。

CIMG0780-1 CIMG0776-1でも、「洋なしのような味がする」とお聞きしたイワナシの実はまだ私は見たことも口にしたこともありません。村では高山だけでなく、低山に小さな群生地があり、毎年、この花を観る度に「今年は、実を」と思いながら、実現はまだナシです。

▼一方わが家の土手には、イワウチワや、地面すれすれ隠れるようにして花をつけるウスバサイシンもようやく咲きを見せるようになり、道ばたのショウジョウバカマは花火のような姿で満開、たんぼ土手のカタクリも、ポツリポツリといよいよ咲き始めました。
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普段の見た目ではわからぬ輝きを放つ鳥ゲドヂ

今日は、見慣れている鳥をふたつご紹介です。

先日昼、自宅の居間にいて窓外のエド(井戸・池のこと)を見たら、ゲドヂ(カワガラス)が飛来、水の中に何度も潜りました。川でならばごく普通に見られる光景ですが、わが家の軒下池でこんなゲドヂの姿を見たのははじめてのこと。おそらく彼は、時々ここに舞い降りているのでしょ う。

CIMG0003-1 CIMG0004-1 CIMG0005-1 CIMG0006-1 CIMG0007-1実は、あまりに普通に見られ、声も姿も美とはかなりかけはなれた鳥のゲドヂには、これまでそんなに注目していなかった当方。その彼への見方を変えてくれたのが一月ほど前だったかのテレビ番組でした。

番組では、カワガラスの生態写真を撮る方が紹介され、水中で、小鳥にしては大きな石を動かしてまで虫をつかまえる様子が克明に写されていました。その時の水中でのカワガラスの動きの美しさ、水泡を抱き光る羽色の美に、私は「ひとめぼれ」してしまったのです。

そういう映像を頭の隅に記憶していたので、「これはッ」と、家の中から、物陰に隠れて警戒心強い彼の姿をパッと写し撮りました。ガラス越しのゲドヂ(カワガラス)ですが、この鳥は、ほんとにたくましく、そしてとくに水中では輝くような美しさを見せますよ。

二つ目の鳥は、これも水鳥のおそらくカワアイサでしょう。成瀬川に渡る冬鳥の仲間で渓流の魚、とくに大量に生息するカワザッコ(ウグイ)を最も多く食べることで知られるカワアイサ。

CIMG0008-1 CIMG0009-1昔の村にはほとんど飛来のなかった留め鳥のアオサギも、今の成瀬川では年間を通して川魚の最大の敵。それに次ぐ魚たちの敵が、冬の間だけですがこのカワアイサです。腹部内側の超うす~いオレンジ色がかった白色の羽毛が美しい、外見ではオシドリの雄とまちがいやすい(オシドリより一回り大きいですが)川鳥です。

この鳥が成瀬川の本流できのうジッとしていました。アオサギとちがってカワアイサはカワガラスが虫を捕らえるように水中に潜って魚をとらえる鳥でしょう。雪解けで活動がややせわしくなりはじめたウグイを大きな渕で狙い獲りし、おなかを一杯にして休んでいる、これはそんな一瞬かもしれません。

妻はきのう、自宅の屋根でカラスが愛を交えている姿を一瞬目にしたそうです。もう留め鳥や夏鳥たちが盛りの愛を深める春。アオグビ(マガモ)やこのカワアイサも含め、成瀬川で冬鳥たちを目にすることができるのも、あとわずかの日数しかないでしょう。

人の産み出したものに絶対はないだろう

昨日は、親族の葬儀があり、ほぼ一日を横手で過ごした。

同じ仏式の葬儀でもわが家とはちがった宗派のお寺さん。それに、これはその都度感ずることだが、所や葬儀会社がちがえば、儀式のすすめ方などもまたずいぶんちがうもの。法事の席ではいつもそうだが、「宗教とはなんぞや」と、人間と宗教、日本人と宗教(仏教)に思いを寄せる一日でもあった。

わが家は、地域にある一つのお寺の壇信徒ということにごく自然になっていて、みなさんと同じように檀家としてひととおりのつとめは果たしている。父が小さな山林の事業を起こしたということもあり、家にはある程度の神棚も据えてある。仏も、神も、ごく普通に拝んではいるが、日常のそれは主に妻の役目。朝ごはんが炊けると、鈴をカラカラカラーンと鳴らし、拍手を打ち、「神様さ、まま(ご飯と水)、あげ」だ。次に香を焚きロウソクに火を灯し、鐘を鳴らし、手を合わせ「ほどけ様さ、まま(ご飯と水とお茶)、あげ」だ。妻は毎朝この動作をごく日常の生活パターンとして繰り返し、わが家の朝はスタートする。

その程度のことなので、特定の宗教を特別に信奉する国内外、世界の方々からみれば、宗教にたいして「そんな浅い心がけでいいのか」ということになるのかもしれない。しかし、宗教らしい行いをしていても、信教というにはほど遠いだろうわが家はそうである。それは、何かへの絶対崇拝でその対象を信奉するということではなく、ただ、日々の安寧を願い、先祖への感謝を込め、生活として拍手を打つ、合掌する、それだけである。神社、仏閣を訪れて礼拝するのとちょうど同じような心で。

宗教は、地球上どこでも人の世界とあまりにひろく関わりをもつ。政治の党と同じように人間社会の歴史のなかで思想信条、信教の自由をかちとるうえでの象徴ともされてきた。ただ、政党も宗教もいずれ個別の人と集団が生み出したもの、人はみな対等平等なので「己が絶対の存在」ということは、内輪では通用するかもしれぬが、他に強制しようとしてもそれは無理なこと。わが国憲法も、そういうことで「人と社会は多様だから、絶対の存在はありえない」ということを土台にしているのだろう。

己の生きる指針はきちんともつ一方で、人の産み出したものに「唯一絶対存在」はまずありえないという考えの男が暮らす一つの小さな家で、今朝も、鈴を鳴らし、鐘を打ち、妻は、日常の安寧に願いを込め手を合わせ、私も時々そのようなことをしている。人みな平等・互恵の平和な社会と世界を夢みながら。

CIMG0746-1CIMG0747-1▼昨夜、トタン屋根をたたきつけるような雨が時折降り、予想したようにしごと部屋からながめる朝の成瀬川はかなりの雪解け濁流となった。今朝はやや底冷えだが、雪(とくに山の雪)は驚くほどの早さでどんどん少なくなっている。

秀麗無比なる鳥海の山

CIMG0742-1 アップルロードからのぞんだ、雪解け季節曇天の鳥海山です。

▼折も折、わらび座では、秋田出身の著名な作曲家、成田為三氏を題材とした新作ミュージカル「為三さん!」を上演中です。

氏が作曲した浜辺の歌はあまりにも有名ですが、成田氏の曲といえば忘れられないのが「秀麗無比なる鳥海山よ」で歌われる秋田県民歌。まさにその歌そのものの鳥海山の秀麗さは、ちょうど富士山が雪をいだく季節に映えるのと同じ。わが鳥海山も初冬と春に際立つ美しさを見せます。

▼豪雪続きだった昨年までとちがい、CIMG0745-1ここ数年にないほどの速さで木々の芽吹きがはじまりました。

村で最も早く芽吹く木は柳、そしてブナ。河川敷では柳がうっすらと緑に染まりはじめ、里山のブナも萌葱色を見せはじめました。きのうなど、横手市内の桜も花開きですから、ゴールデンウィーク時などの花見客をあてこんでいる県内の観光地は、あまりの開花の速さで思わぬ誤算となるかもしれません。

▼一方、わが村最大の観光地栗駒山・須川温泉の栗駒山荘は、雪が少なくて国道除雪がはかどり、この分だとゴールデンウィークにばっちり間に合って営業開始できそうです。自然はほんと変化に富んでいて、人間社会にとって「すべて良し」とはなかなかいかないようです。

多彩な生態系がわが家の前に

晴れた朝の固雪(かたゆき)時だけでなく、残雪もよく締まって日中でもカンジキなしで雪原を歩けるようになった春本番少し前の村。

CIMG0718-1CIMG0719-1過ぎた日曜日もそんな一日で、わが家前の成瀬川は、一年で私がもっとも好きな流れを見せています。

CIMG0720-1CIMG0723-1CIMG0724-1CIMG0734-1CIMG0740-1わが河川敷は野の恵みの宝庫。この季節、次から次へと顔を出すユギノシタキノゴ(雪の下キノコ・エノキタケ)をはじめ、今はアザミの芽も見られるようになりました。
雪解けの早いこの春は、もしかしたらあと一週間ほどでコゴミが顔を出し、もう半月も経てばササゴ(細めのネマガリタケノコ)も出始めるでしょう。

キノコに、ありとあらゆる山菜に、イワナやヤマメやウグイ、アブラハヤ、カジカ、スナヤツメ、それに白鳥やカモ、ヤマセミ、カワセミ、シギ、サギ、オオルリ、キビタキなどなど、季節ごとに、この河川敷はわたしに小さな幸せをもたらしてくれる多彩な生態系と親しめる自然公園です。

大桶に味噌仕込み

▼いつものように週末の所用で村内をかけめぐっていたら、外にシートを敷いてお茶の時間を過ごしている人生の先輩たちの姿が。

庭先や道路の雪はようやくなくなったものの、畑はまだ雪の下。畑や田んぼ仕事が本格的にできない雪のあるうちは、庭先でほかほかの春を楽しむそんな姿を村の所々で見かける季節入りです。

CIMG0679-1CIMG0682-1CIMG0667-1▼村のフクジュソウ群落はどこもまっ盛り。ショウジョウバカマもようやく蕾を開き、早い所ではカタクリもおそらく咲き始めているでしょう。野のヒロッコ(ノビル)も盛りで食卓にあがるようになりました。

 

▼昨年、大日向山をめざして雪の上を上がりはじめたわが集落岩井川・合居の庚申塔そばの急斜面は、もうほとんど雪がなくなっています。雪が少なかった分、雪解けのスピードも早く、今年は久しぶりに山菜の採取時期が早まりそうな気配です。

CIMG0688-1CIMG0693-1CIMG0737-1▼春本番をまもなくむかえようとしている雪国の童は、半年ぶりに待ちかねていた自転車乗りを楽しめる季節になっています。大人から子どもまで、くらしにかかわるいろんなことが雪国では「半年ぶり」なのです。

CIMG0699-1▼4月始めといえば、わが家では自家用味噌の仕込み時。桶に味噌となる原料を詰めるのは当家では男のしごと。土曜の11日には、妻と二人で何十年も愛用している大きな味噌桶に原料を詰め込みました。1年後には、またよく熟成したおいしい味噌ができあがるでしょう。

雪国、春のカラスは強者

渡りの季節をむかえた鳥たちがそれぞれすみかを変える春。

遠く大陸や南の国と、長い距離を移動する渡り鳥たちの生きる力もたいしたものですが、渡りをせずに年中この北の厳しい雪国でがんばって生き抜く鳥たちもまたたいしたもの。

その中でも、カラスやトビ、クマタカ、イヌワシなどは、彼らの生きる真冬の環境が厳しいだけに敬服すら感ずるときがあります。

CIMG0567-1そんな厳しい冬を生き抜いたカラスがわが家のまわりにもいます。冬はいわば自然界が彼らを淘汰する季節。その淘汰に負けずに生き抜いた個体は勝利者。勝利者は並の上をゆく生命力の強さをもっているのでしょう、春に生き残っているカラスは相当の強者ということか。今の彼らは口にいろんなものを咥えて飛んでいますから巣づくりの真っ最中なのでしょう、強い子を遺すために。

降るように、ける

CIMG0647-1雪解けが急速に進む様子を村の人々は「降るように、ける(消える)」と言います。
今冬の村は、山形、新潟、長野の同じ豪雪地帯に比べて1~2月の降雪が意外に少なく、豪雪対策本部の設置までにはいたらず、ここ数年では雪の少ない春をむかえました。それでも、真冬のわが家では屋根から下ろした雪がどんどん重なり、二階から簡単に出入りできるほどの雪の塊が軒下にあったことはすでにお知らせしたとおり。

その雪も、4月ともなれば「降るように、けで(消えて)」、あの大量の雪塊はあと幾日かで崩れ落ちようとしています。

CIMG0641-1CIMG0638-1CIMG0648-1そんな雪消の春も昨日まではいったん冬へお戻り。寒さで野の花はここ幾日か閉じたまま。きのう朝など外気温はマイナス2℃。わが家前では、肌寒い天気がつづくなか農業法人のみなさんが水稲育苗ハウスの設置に大忙し。半年ぶりに、土とまみえる生活がまた本格的にはじまろうとしています。

天気の変化が激しく、晴天の今朝は6時前でマイナス5℃。この春はじめて本格的な固雪(かたゆき)歩きができるほど雪が凍み固められました。

初々しさにあふれた一日

数日前の春うららかから一転しての肌寒い天気の下、きのうは小・中学校の入学式が午前と午後に行われました。

CIMG0612-1CIMG0615-1どちらも、つい先だって、卒園・卒業したばかりの子たち。その時と同じ洋服、同じ靴を身につけての式でしたが、卒園・卒業では最年長の子たちも今度は最年少。先生に名前を呼ばれて返事をし立ち上がる時の声としぐさもふくめ、卒の時とはまた違った初々しい雰囲気が会場に満ちていました。

小学校は新入生31名をふくめ125名、中学校は新入生21名をふくめ67名で、村の新年度の教育はスタートにつきました。

CIMG0624-1CIMG0628-1入学式では、新入生とともに在校生にも私は毎年注目します。すでにみんな進級もしていて、そこに新入生をむかえるという先輩の身。新入生の姿を自分の入学した時に重ねあわせて思いおこす子たちもいるのでしょう。みなさん卒業式の時の在校生の顔とはまたちがって「よし、めんどうみるからな」という、落ち着いて、いかにも先輩らしく、たのもしい顔をしているなぁと思いました。

 

小・中の先輩在校生のみなさんは、今年の新入生にどんな第一感想をもたれたでしょうか。新しい後輩達をよろしくお願いしますね。

▼昨日は、わが遊び仲間の童も入学。式を終えてから、祖父母の待つ十文字とわが家にランドセル姿で顔出し。よろこびとともに、時の経つ速さを実感した一日でもありました。CIMG0001-1