過ぎた土曜日、たんぼに入って抜き残した雑草をとっていたら、柔らかな体でいかにも弱々しそうなボンアゲズ(アキアカネの仲間)が稻株にたくさん止まっていました。
まだ羽化したばかりのようで、初秋のような敏捷な動きはなく、人が近づいてもすばやく飛翔するあの仕草はみせません。
わがたんぼは、イモリ、タニシ、ドジョウ、トンボ、カエル、ミミズと小さないきものたちの王国。みなさんに「美味い」と言っていただいている食味の高いあきたこまちは、彼らに育ててもらっているようなものです。
日曜日には、「トカゲをつかまえたい、アオダイショウを見たい」という童と少しの時間を過ごしました。風邪ぎみのようでしたが、は虫類への思いが上まわっている様子。
しかし、は虫類は、見たいと思った時にはなかなか姿が見えずであきらめ、たんぼへ。
ここなら、トノサマガエルが今はうようよです。大きさでいえば若者クラスのカエルを一匹つかまえ童にわたしたら、片手でカエルをつかまえ、もう片方の手でカエルのおなかあたりをなでながらカエルに話しかけています。
そしてやおら、「カエルを万歳させて、ここをコチョコチョすると、動かなくなるよ、ホラッ」と、今度はこちらに話しかけ、童はカエルの脇の下をくすぐっています。
そしたら、ほんと、カエルは万歳をしたまま手のヒラの上で動かなくなり、そのまま水に浮かべてもあおむけになったままでじっと。そんなことを何回やられてもカエルは同じ仕草です。童とは、いろんなおもしろさをつくりだすもので、「こりゃあ、勉強になったなぁ」と、言葉を返してやりました。さて、カエルさんは、ほんと、なんで万歳して動かなくなるのでしょう。まさか、くすぐったさなどは感じないはずですよね、みなさん。
この日、この時は、たまたまたんぼの水が少なめで乾き具合。こんどは童が「たんぼに、水いれて、かわいそうだから」といいます。「うん、稲がかわいそうだな」と言ったら、向こうのかわいそうは、たんぼの中にいるイモリをみつけてのこと。なるほど、水をいれてほしかったのです。こちらはすぐに「んだな」と二人で取水口にむかい、童に水をいれる管を教えました。童は水が大好き。さっそく自分でたんぼへ入れた水にイモリを流してやりました。そう、こういうときは、稲よりも童とイモリ優先でたんぼへの水入れです。
▼童とは畑のトチオトメイチゴをもぎ、そばを流れるそのまま飲める沢水で汚れを洗いながら食べたり、カンゴ(桑の実)やモミジイチゴをもぎあったり、トンボをとったり、カンゴの実をつぶして二人でふざけあったり、風邪気味のようでしたが、久しぶりに二人で、7月第一日曜日のほんのひとときを過ごし合いました。