たんぼは小さな生きものたちの王国

CIMG9679-1CIMG9683-1過ぎた土曜日、たんぼに入って抜き残した雑草をとっていたら、柔らかな体でいかにも弱々しそうなボンアゲズ(アキアカネの仲間)が稻株にたくさん止まっていました。

まだ羽化したばかりのようで、初秋のような敏捷な動きはなく、人が近づいてもすばやく飛翔するあの仕草はみせません。

わがたんぼは、イモリ、タニシ、ドジョウ、トンボ、カエル、ミミズと小さないきものたちの王国。みなさんに「美味い」と言っていただいている食味の高いあきたこまちは、彼らに育ててもらっているようなものです。

日曜日には、「トカゲをつかまえたい、アオダイショウを見たい」という童と少しの時間を過ごしました。風邪ぎみのようでしたが、は虫類への思いが上まわっている様子。

しかし、は虫類は、見たいと思った時にはなかなか姿が見えずであきらめ、たんぼへ。

ここなら、トノサマガエルが今はうようよです。大きさでいえば若者クラスのカエルを一匹つかまえ童にわたしたら、片手でカエルをつかまえ、もう片方の手でカエルのおなかあたりをなでながらカエルに話しかけています。

CIMG9695-1CIMG9696-1CIMG9698-1CIMG9699-1そしてやおら、「カエルを万歳させて、ここをコチョコチョすると、動かなくなるよ、ホラッ」と、今度はこちらに話しかけ、童はカエルの脇の下をくすぐっています。

そしたら、ほんと、カエルは万歳をしたまま手のヒラの上で動かなくなり、そのまま水に浮かべてもあおむけになったままでじっと。そんなことを何回やられてもカエルは同じ仕草です。童とは、いろんなおもしろさをつくりだすもので、「こりゃあ、勉強になったなぁ」と、言葉を返してやりました。さて、カエルさんは、ほんと、なんで万歳して動かなくなるのでしょう。まさか、くすぐったさなどは感じないはずですよね、みなさん。

この日、この時は、たまたまたんぼの水が少なめで乾き具合。こんどは童が「たんぼに、水いれて、かわいそうだから」といいます。「うん、稲がかわいそうだな」と言ったら、向こうのかわいそうは、たんぼの中にいるイモリをみつけてのこと。なるほど、水をいれてほしかったのです。こちらはすぐに「んだな」と二人で取水口にむかい、童に水をいれる管を教えました。童は水が大好き。さっそく自分でたんぼへ入れた水にイモリを流してやりました。そう、こういうときは、稲よりも童とイモリ優先でたんぼへの水入れです。

CIMG9707-1CIMG9705-1CIMG9703-1CIMG9712-1▼童とは畑のトチオトメイチゴをもぎ、そばを流れるそのまま飲める沢水で汚れを洗いながら食べたり、カンゴ(桑の実)やモミジイチゴをもぎあったり、トンボをとったり、カンゴの実をつぶして二人でふざけあったり、風邪気味のようでしたが、久しぶりに二人で、7月第一日曜日のほんのひとときを過ごし合いました。

ようやく野のジュンサイが旬に

CIMG9616-1CIMG9613-1CIMG9608-1CIMG9629-1CIMG9624-1CIMG9639-1CIMG9643-1CIMG9652-1豪雪の地、県南地方の野のジュンサイもやっと旬の季節をむかえ、花も咲き始めました。
モウセンゴケも、ちらほらと花を見せています。

CIMG9659-1CIMG9665-1沼の岸辺にはモリアオガエルがまとまっていっぱいの卵を産みつけています。

ヒツジグサの花を撮ろうと3日にむかったのですが、蕾は半開き。もう少しの時間を待ったら、沼のダイヤのような白花がみられたでしょうが、この日は諸々が後にひかえていてあきらめました。

共同作業とパークゴルフ

CIMG9687-1CIMG9689-1CIMG9691-1きのうは朝5時から部落の草刈り共同作業。わが東村区は用水路沿いや、国道397号、342号の道脇と城下公園が責任を負う範囲。約40人近くで7時少し過ぎまでの朝飯前仕事に汗を流しました。

公園は、すでに親子会の若い父さん方が伝統の草刈り奉仕をしてくれていますので、今回は二回目。一度刈られているので作業ははかどり助かります。人員が少なくなっている中、親子会のみなさんには集落のみんなが「感謝、感謝」です。大変でしょうが、これからもよろしくおねがいします。

▼午後は、部落のコミュニティ行事でジュネス栗駒の会場でパークゴルフを楽しみました。

CIMG9713-1パークゴルフは、中高年、若者と、運動やレクリェーション、交際にはもってこいの気軽に楽しめるスポーツです。とくに夏場は、これほど標高の高い所にあるパークゴルフ場はめずらしく、涼しい環境でまわりのブナ林や沼又の広大な国有林をながめながらプレーできますから、避暑がてらに体を動かすのもいいでしょう。

ミズが旬に

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梅雨入りとなると、山菜のミズ(ウワバミソウ)がもっともおいしくなるとき。

春から秋まで食卓にのぼるミズは、味噌汁に、煮物に、鍋物に、漬け物に、そして、たたいてとろとろにしたミズたたきにと、多彩な料理にむく山菜です。これほど利用価値のある山菜が、採れる期間もながく、しかもごく簡単に家の軒下から里の山々だけでも十分に採れるのですから、山間の村にくらすひとびとにとってまことにありがたい山菜。

この山菜の利用価値を知った大都会の料理屋さんなどでは、「これほど扱いやすい山菜はそんなにない」と言い、雪国のミズの価値が都市部では右肩上がりになっているというお話もちらほらお聞きします。野の山菜はすべてそうですが、人為による施肥なし、完全無農薬、こういう価値ももっと宣伝していいでしょう。

ミズの最大の持ち味は、特有の粘り。土質などによってこの粘りに微妙な差があり、フキと同じように「あそこの山のは美味い。あそこの山のはダメ」と、わが集落の人々は、粘りのある極上のミズがある場所を、長い経験のなかで決めつけているようです。

今朝も、わが家の味噌汁にはミズも。ミズの粘りで栄養をつけ、夏7月に突入です。

▼今日は、東日本大震災で大きな被害にあわれた宮城県・山元町の議会のみなさんが教育視察研修で村の小中学校を訪れます。朝9時頃から午後4時少し過ぎまでのびっしり日程のようです。

木イチゴの実も熟して

たんぼの水見(みずみ。たんぼにちょうどいい具合の水が入っているか、主に朝夕の二回見回ること)にでかけたら、水路わきの土手に熟れたモミジイチゴのオレンジ色の実がぷらんぷらんといっぱい。この木イチゴは、酸味が少なくやわらかな甘さが特徴です。

DSCF4544-1DSCF4543-1DSCF4557-1DSCF4560-1DSCF4564-1妻がきのう、「ネムの花っこ、咲いたがら、梅雨だ」と言いましたが、モミジイチゴが熟す時もちょうど村が梅雨の頃となります。

桑の実が熟すのも今。ということは、こちらが小学生のワラシ(童)の頃、近所の遊び仲間と近くにある桑畑に行き、養蚕で大事にしていた大きな桑の実の成る木(ダテカンゴなどと呼んだ木)にしょっちゅう上がったのも今の頃。

樹上でそれぞれ空き瓶に実を詰めていたそのとき、木の下に突然桑の木の持ち主の怖いおばさんが現れ、ロープを片手に「コラーッ、この、ゆぐねぇ(悪いことをする)、ワラシだぁ」と叫ばれ、びっくりして木から飛び降り、逃げる途中にそのうちの一人が畑にあった大きなドンベ(人糞を蓄えている穴)に落ちて大笑いしあったのも、ちょうど今の頃ということになります。このときの可笑しさは、どんな喜劇も負けらかすかも。

木イチゴも、カンゴ(桑の実)も、人の子の手で摘み取られることはほとんどなくなって久しいのですが、野のいきものたちは、その分、ゆっくりと梅雨時の野の幸をごちそうになっているのでしょう。

DSCF4539-1DSCF4538-1▼きのう、赤い鳥のボケ写真を載せたと思っていましたが、あんまり小さくて、なんにもわからなかったようです。それで、ボケをアップしてまたとりあげてみました。

今度は、ボケ具合がよくわかるでしょう。それに、私にとって「まぼろしの鳥、神々しき鳥」というアカショウビンに寄せるこちらの熱きあこがれが、赤い鳥の姿がはっきりしていないだけに、なおのこと察していただけると思います。また、いつか、出会える機会を楽しみにしています。

その赤い鳥、今朝など、まだ薄暗いうちの3時50分、「キュルルルルルーン」の鳴きの繰り返しを床の中で聴きました。

アカショウビン、神々しき小鳥の声で目覚め

DSCF4522-1DSCF4518-1朝4時、窓の外が白んでくると、決まって「キュルルルルルーン、キュルルルルルーン」と鳥の鳴き声が聞こえ、この頃はその鳴き声で私は目覚めます。

妻が「あっ、アカショウビンの鳴き声」と言います。そうです、一週間ほど前から、わが家のそばにおそらく棲みついているのでしょう、アカショウビンの鳴き声が朝に長く、昼、夕は短くと続いて聞こえてきます。

おとといの日中、妻と薪割りをしていたら、やはりまた「キュルルルルルーン」の声がすぐそばで聞こえました。今度も妻が、「あっ、今、アカショウビンが飛んでいった」と言います。たまたま妻だけの目に赤い鳥の姿がはいったのです。それでこちらは作業を中断、カメラを手に鳴き声のする方向に歩き寄りました。

けれども、声は聞こえど姿はみえず。しかも、声はふたつの方向から聞こえますから鳥は二羽。結局、声の方角に寄っては姿が見えずで引き返しを2度ほど繰り返し、ついにあきらめて帰ろうとしたそのとき、遠くの木の葉陰のなかに濃いオレンジ色がポツンと見えます。「おかしいな」と立ち止まったら、そのオレンジが葉に隠されながらもわずかにうごきました。「ん、アカショウビンだな」と、鳥の全体像はほとんどわかりませんでしたが、そのオレンジにむけて2~3枚シャッターを押しました。

葉がじゃまになって、全体の姿を見せぬまま、オレンジはすぐに私の視野から消えてしまいました。

妻のそばにもどったら、「別のアカショウビンが、さっきと同じ方へ飛んでいったよ。赤くて、大きかったよ」と言います。カメラをもつ私には全体像を見せず、妻には、2羽とも飛ぶ姿を見せてくれたアカショウビン。そのうちの1羽がたまたま葉を陰にして私に見せた一瞬、ボケたオレンジ姿の写真だけはわが手元に残りました。私にとっては幻のような赤い鳥アカショウビン。このボケ写真から、あのすばらしい赤い鳥を想像してみて下さい。

南のくにから渡り来るアカショウビン。わが村でみられる小鳥で、これほどに音楽的な鳴き声を聴かせてくれる小鳥はアカショウビンをおいて他にはいないでしょう。それに姿の神々しさもこの小鳥は他の追随を許さず、私にとっては崇めたいほどにあこがれの鳥です。

つがいで私の家のそばの林を住み処にしているのでしょう、今朝も、また、神々しき彼らご夫婦のキュルルルルルーンの声を聴きながら床を抜け出しました。

村長の県町村会会長就任を祝う会

村の資源と諸々の条件をいかしたはたらく場の確保は、定住人口を増やすうえで最重要の政策です。

はたらく場づくりと抱き合わせで求められるのが住む場所、家の確保。村は、今年の当初予算で「若者むけアパート形式の住宅建設」をめざすことにし、準備をすすめていました。

これについて、建設場所や住宅の構造、入居対象となる利用者などについて、最良の成果がもたされるよう提言すべく、議会常任委員会の調査活動がはじまっています。

昨日は、予算措置にもとづく作業がどの程度まですすんでいるのかなどを含め、この事業について当局の現段階における具体案を聞く常任委員会がひらかれました。

事業規模は木造か鉄骨かでだいぶ違いますが、現在計画されているのは、夫婦二人か単身者むけのアパート形式二階作りの建物で、およそ8世帯分(構造の関係で変動あり)。一階は車庫(普通車と軽の2台収納)、2階に1LDK、洋室1、バス、トイレ、台所の住まいという構造です。

説明後、議員から、建設場所や入居対象者、それに関連する建物構造などについていくつかの質問がありました。議会は、来月に、この若者むけのアパート形式住宅づくりで先例のある自治体への管外研修を計画、その研修も今後の提言にいかす段取りをしています。

これは予算措置で当局側が最大の留意をもとめられる「最小の経費で最大の効果」という建設目的を果たしてほしいことを期待する質問であり、研修です。当局としても様々な角度から意見をきき、より政策効果のあがる事業となるよう検討がされているようです。

▼夜には、佐々木村長の県町村会会長就任を祝う会へ議員全員が出席しました。

村の振興発展、村民のくらし最優先を考え自立の道を選択したわが村。村長の会長職就任で、これまで以上に村の自治への注目関心が県内ではとくに大きくなると思われます。

地方自治が憲法に定められた昭和22年、文部省は中学校1年生むけの社会科教科書副読本として「あたらしい憲法のはなし」を発行しました。そこには地方自治の根本の姿がわかりやすく書かれています。CIMG0152-1CIMG0153-1CIMG0154-1

この姿にそった政治にむかって、会長職としても、村の発展を担う代表としてもいっそうの尽力をしていただきたく、お祝いの言葉をのべました。

CIMG0149-1▼昨日は、早朝5時から水田の「転作現地確認」もあり、身も心もせわしい一日でした。きのうも今日も、半袖では肌寒さを感ずる梅雨入りの村です。

永田町、総理官邸、霞ヶ関、ブッシュで草刈り

CIMG0141-1CIMG0142-1CIMG0144-1IMG_2500-1道路整備、雄物川上中流整備、成瀬ダムな県南6期成同盟合同による国会や国交省、財務省への要望会が25、26日におこなわれました。一行は、大仙市から湯沢市までの首長や議長、土地改良区の代表などです。

国会が延長され、しかも、重要法案の特別委員会審議が続行中ということもあってでしょうか、両日とも、議員会館や霞ヶ関では全国からの要請団とすれ違ったり、ロビーで同席する人々の員数は少なく感じました。写真は、激論続く国会、議員会館の喫茶室から隣り合わせる総理官邸、国交省の要請活動に集合した一行。

みのり川代議士事務所のご案内で各機関などを訪れ、また国会対応の合間を縫って代議士は総理官邸での菅官房長官への要請にもご案内と同席をしていただきました。今回は宮下財務副大臣と財務省の田中主計局長、小野主計官の3氏が同席で要請を受け止めていただきました。いつものことながら、代議士をはじめみなさんには様々な面でお世話になりましたこと、ここからも厚くお礼を申し上げさせていたただきます。

要望団一行には私もふくめ農家が一定数おります。総理官邸で要望活動を行っていたかと思えば、帰ってそのすぐ翌日の土曜日、たとえば私はブッシュ(草刈り機械)を振り回し、ナタを腰に、雨合羽で、早朝5時からのたんぼ用水路の共同草刈り作業です。

金曜日未明から土曜日、そしてきのうのしとしと雨はまさに秋田では恵みの雨。村の畑、作物はこれで命の水をつなぐことができました。成瀬川もそれに注ぐ小河川も久しぶりにわずかな増水を見せました。しとしと雨ですから、地面にたっぷりとお湿りを蓄えての川の増水。雨もこういう降り方をしてくれるとありがたくなってきます。

CIMG0148-1▼木曜日に成瀬川の急な濁りのことを一時記しました。先のマス釣り大会時にも川が急に笹濁り、先日はそれよりもっと濃い濁りでした。それで「人為によるものか?」という含みで受け止められかねない言葉足らずの記し方をしました。その直後「どうも、濁りは、局部的な降雨によるものらしい」という生情報を都内へむかう途中にお聞きし、誤解を招くとよくないと思い、その箇所の言葉を削りました。

いずれの日も、私らがいる地域での降雨はなく、成瀬川上流のごく限られた範囲で濃い濁りを生ずる降雨があったからなのでしょう。「川の増水はほとんど生じないが濁りだけはおきる」という自然現象が、雨なし天気が続くもとではおきるということなのでしょうか。あの濁りは、わたしにとってはとっても不思議な現象でした。岩手宮城内陸地震による成瀬川最上流部の土砂崩落現場も含め、濁りの元となる土の大量崩落や露出とかが、あの地震から数年経ってもまだ影響しているからなのでしょうか。

▼昨日は、菅官房長官を囲む懇親会が湯沢で開かれ出席。昨年の村と議会の要望でご尽力をいただき、早速目にみえるかたちでその要望が具体化されることになりました。そのお礼を、総理官邸でも、きのうも申し上げました。

赤と黒

CIMG0047-1CIMG0052-1▼初夏の日を浴びて、グミは真っ赤に、カゴ(カンゴ、桑の実)は真っ黒に熟しはじめています。

CIMG0042-1クマは甘~いこの桑の実が大の好物。この間など、わが家そば国道脇の桑の木の下の草を踏みつけ座って、クマが桑の実を食べたらしい跡がのこっていました。人家すぐ近くにも桑の木はありますし、集落そばの林道沿いにも桑の木はいっぱい。これからは、「熟した黒い桑の実があるところにはクマがいるかもしれない」との警戒心をもちながら歩いたほうがよさそうです。

▼きのうは、除草剤の効かなかった雑草「びっきのハナトオシ(ホタルイの仲間)」を少し引き抜きにたんぼの中へ。

CIMG0129-1そしたら、こちらより先に、その雑草を引き抜いてくれている生きものがいるようで、水面に根のついた草が浮いていました。その生きものはおそらく、ここらあたりに棲んでいてときどき田んぼに浮かぶ姿がみえるカルガモかオシドリでしょう。

水田にアイガモを放って除草させる農法は聞きますが、なるほど、野生のカルガモたちがたんぼに舞い降りるということは、こうしてかれらもたんぼの草を食べてくれているのです。ホタルイの茎は残されていますから、カモくんの好物はホタルイの根茎(芋)なのでしょうか。

引き抜かれた草をみて、これからは、カルガモくんたちを、ありがたい心でみつめなければと思った次第。もっとせっせと引き抜いて食べてくれればさらに尊敬の念をもつのですが。これは彼らのお遊びなのか、本気なのか、たずねたいものです。

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▼今日と明日は、ダムや治水、高速道などの要望で、県南の市町村や関係団体合同の行動です。地方の出先機関と国会、政府への要請が予定されています。

ラジオをそばに薪割りしごと

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いつものように役場で所用を片づけた後、きのうは妻と二人、薪割り作業にとりかかりました。

今年は昨年よりやや早めに薪づくりが進んでいます。薪の切断とちがい、割りはすべて手作業なので機械音はなく、まさかりを振り下ろした時のダーン、ダーンの二人のつくった音だけが静かな山間にこだまします。これは人間がつくる最も昔的な音のうちのひとつでしょう。

ところで、こういう静かな作業にはラジオがもってこいです。

斧を振り下ろしながら、時に歌、時に圧倒的多数といってもいいでしょう憲法学者が「違憲」と言い、複数の元内閣法制局長官も国会で「違憲」と発言した集団的自衛権の行使におよぶ法案に関連する異例の国会延長ニュース、時に人生相談、時にこの時期としてはめずらしいほどの寒気が上空に南下しての局地的な「大雨と雷への警戒」をよびかける天気予報。肉体労働のいわば極みみたいなしごとをしながらなのに、小さな塊が発する音で、楽しみ、考え、教えられ、笑える。

ラジオって、いいものですね。