秋キノコの季節入り

7月末から通い続けていてなかなか出会えなかったキノコのハギモダシ(ハナホウキモドキ)。土曜日、小雨の中「これで出なければ今年は終わり」と決めつけつつ通ったら、平年よりやや量は少ないですが今年初めて目にすることができました。

20日頃になって顔を出したのでしょう、中には老菌もありました。でも、このキノコ特有の鮮やかなピンク色をしている幼菌やいい形の成菌も列をつくって観られました。その列にならんでアカヤマドリが一本。これも案外おいしいキノコです。

通った里山には、同じホウキタケの仲間のネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)もひと株だけ顔を出していました。こちらはハナホウキモドキよりがっしり肉厚で、マイタケを一回り小さくしたような塊で発生します。写真の株はまだ幼菌なので、もう一週間ほど生長させてから採ろうと「見置き」としました。今年は「見置き」が多いです。

沢沿いに倒れた広葉樹にはほんの少しのツギワゲ(月ワゲ・ウスヒラタケの仲間)も食べ頃で。これは味噌汁でいただき、ハギモダシはナスなどとあわせての炒めものに。残りは冬の煮物用やおでん用として塩漬けです。

里山には、毒キノコもちらほら見えます。写真の最後はコテングタケモドキの仲間でしょうか、いかにも毒菌らしい姿で一本立ちです。

 

めんこぐ(愛おしく)なった田んぼ

お盆を過ぎたら夜朝はやや涼しくなった村。雨天ともなれば長袖シャツをほしくなるほどとなりました。

8月ももう下旬。田植えのやや早かったわが家では、田んぼの稲穂も傾きがさらに増し、それに続いて稲穂も少しずつ稔り色に変わり始めています。

ほど良いサイクルで雨天となるので、水持ちのよいわが家の田んぼはすでに配水口をすべて開け放ち落水していて毎朝夕の水見回り通いは終わりです。

この頃になれば、稔りを増す稲穂がこのようになびくので、水見回りはなくても田んぼに自然と足がむきます。それは、稔った田んぼがめんこぐ(愛おしく)なるからです。

生産者米価の極端な下落、肥料や農薬のまれにみる大幅値上げ、高い価格の農業機械という何重もの負の要因があって稲作農家は史上最大の苦境におかれています。なので、全国的にコメづくりを止める農家が年々増える実状があります。村も同じで、わが家も「いつまで大赤字経営を耐えられるかな」の思案が頭からはなれません。コンバインなど大型機械がダメになった時が引き際かな、とも思いながら毎年の作付けが続きます。

そんな重い現実がある中でも、稔り始めた田んぼに通うのはうれしいもの。冷害の心配はもうありませんし、病害虫防除も終え、あとはぬかるみがあれば配水溝を掘って9月末の収穫の日を待つだけ。

わが家は豊作はムリですので、なんとか並み作になってくれればと願いながらの田んぼ通いが、これからひと月ほど続きます。

▼その田んぼ脇では、黄金色のオミナエシと同じ仲間で白花のオトコエシがひきたつ季節です。地元でコガネバナコとも呼ぶオミナエシは「女郎花」と表され、それと対にしたくてでしょう白花を咲かせる同じ科のオトコエシは「男郎花」と記されます。村では、野生種のオミナエシはほとんど観られないのに、オトコエシはいずこにも野生種だらけ、どこでも観られます。

ちなみにオミナエシの花言葉は、「美人」「はかない恋」、オトコエシは「野生味」「慎重」などとされるそうですが、男尊女卑などとはまったく関係なく、昔人は両方の生態をよくみて言葉にしたものです。

石巻市議会会派のお二人来村

きのうは、石巻市議会の会派お二人の女性議員さんが行政視察で来村。目的は村の教育政策と若者移住定住策等についての視察研修でした。

新型コロナが感染高どまり状態ということもあって、学校への視察はご遠慮いただき役場庁舎内での施策説明といたしました。時間がそれほど多くない中、教育次長と企画課長からそれぞれ詳細な資料をもとに説明が為され、短い時間でしたが少しの質疑応答も交わしていただきました。

村も議会も行政視察の受け入れはすることにしておりますが、お越しになられる側も、受け入れる側も、全国的にも県内もこれだけの感染拡大最中なので、お互いコロナ感染防止が頭からはなれず困った状態が続きます。

その新型コロナ対応。きのうは高齢者への4回目のワクチン接種の日で、こちらも視察のみなさんに失礼して中途退席し、前回に続きモデルナ社のワクチンを接種しました。月末には都内への出張があるので、これでひとまず安心というところです。

初秋のキノコたちをほんの少し

おとといは、早朝5時から田んぼの病害虫防除で2回目の薬剤散布を行いました。

その後、いつものように役場で日常の仕事を済ませ、昼近くになって合居川渓谷のブナの森に滝をのぼり向かいました。山入は初秋のキノコたちを採る、撮るが目的です。

目的のキノコは、今年は発生が遅いとされているトビダゲ(トンビマイタケ)と、ノギウヂ(エゾハリタケ)の2種。キノコをめざしては今年初の少し本格的な谷入りです。

2つのキノコともブナの森の大樹(老樹)に発生するキノコで、エゾハリタケはブナの幹に、トンビマイタケはブナの根元に顔を出します。いずれのキノコも木材腐朽菌なので、このキノコにとりつかれるのはたいていがブナの高齢樹。キノコが出るようになればそれほど長く経たないうちに枯れるか倒れるかでその幹は命を終えます。

さてお目当てのキノコですが、こちらが通う枯れ死んだブナの根元にはほんの少しのトンビマイタケがあるだけでした。それも今の時期にはめずらしくわずかの幼菌と成菌がちょっぴりだけ。やはり今年は発生が大きく遅れたようです。

一方のエゾハリタケ、めざしたブナの大樹に生えるのは同じエゾハリタケでも晩生なので写真だけを撮る目的で立ち寄りました。予想したようにこちらは今ようやく顔を出したばかり。エゾハリタケ本来のスケールの大きな姿にはほど遠い状態です。2箇所に出ていて、これをもうひと月ほど生長させれば、写真にあるキノコだけで10㌔以上の大きな塊となるはず。それまでオガシテ(大きくさせて)、撮り、採りの日を待とうと思います。

いつも記すように、村人がよく言う「山の見置きと、アネコ(娘さん)の見置きはアデにならん」となるかもしれませんが、山はみんなのもの、それもまた楽しです。もし一ヶ月後にどなたも立ち寄らなければまた「撮る」ことができ、その際は「採る」こともできるでしょう。そのときは今回の写真と比べて見てください。一ヶ月でどれほど生長したか比較もおもしろいはずです。

ブナの森では、タマゴモダシ(タマゴタケ)やチンダゲ(チチタケ)も目に。チチタケは、採って触っただけで傘や柄からネトネトした乳液がじわじわと滲み出てきます。おもしろい特徴をもった食べられるキノコです。姿が毒キノコの象徴のようなタマゴタケもすぐれた食菌とされます。どちらも私は好んで食べませんが。

今年は渓谷の水量多し。帰路には「盆ボギ(盆フキ)をごちそうになろうか」と、おいしそうなフキを選りすぐって少し切取り背負いました。集落では昔から「盆には深山ブナの森のホギ(フキ)を食す」という慣わしがありました。今はそんな食風習はほとんどなくなりましたが、少々遅れて仏壇にもトビダゲと盆ボギを供えたところです。帰り道ではまた足下にマムシが。今度も危なく踏むところでした。山歩きはすべてに用心用心です。

ハチの巣の多い年

ほかはどうかわかりませんが、わが家のまわりではカネバヂ(スズメバチ)やアシナガバチを含め蜂たちの巣がとても多い年となっています。

先には、農作業小屋に巣作りをはじめたばかりのスズメバチを撃退していましたが、その後もやはり農作業小屋でアシナガバチの巣を撤去。

すぎた休日には、別の農作業小屋の出入り口付近にもアシナガバチの巣が3つもあるのをはじめて確認。常に人が通る箇所のすぐ頭上にある巣なのでこれも殺虫スプレーで退治しました。

なんと、大きな巣をまもっていたハチを数えたら1つの巣に60匹。こちらが子供の時は、この集団によく刺されたもの。それにとどまらず、こども時代の山歩きではスズメバチの巣があるのを知らずに1㍍ほどまで近づいてしまい、頭をめった刺しにされたこともあります。その時は全身に発しんが出ましたが医者にはゆかずに済ませました。

今年は蜂の巣多し。これからは巣をまもる彼らの攻撃性が増してくる時。村には蜂の巣駆除の道具が備えられていますので、退治希望の方はご利用をおすすめします。

よろいの滝も水量豊富

集落からながめられる滝では村で最も高所に位置する合居川渓谷源流部の「よろいの滝」。もう初秋なのに、過ぎた冬の積雪の多さと8月の長雨で滝の水量は多く、わが集落からも肉眼で滝がよく望めます。

よろいの滝は、岩手と境をなす三界山の裾にあり、登山道などはないので沢登りの方以外は夏場は人の近づかない滝。ただし、春山の三界山登山では雪上歩きでよく通るコースです。滝の上流部は「ジショウのテイ」と村の山人が呼ぶ広くなだらかな台地。そこは県境直近の高地で、ブナの森林帯と高山植物帯が境をなす合居川・天正の滝の源流部です。

滝の左岸やや奥には、焼石連峰の名峰サンサゲェ(三界山・1381㍍)があり、ここに降った雨は、南に落ちて胆沢川から北上川へ、北に落ちて南本内川・和賀川を経てやはり北上川へ、西に落ちては合居川・成瀬川・皆瀬川を経て雄物川へと下ります。

このように三界山は3方への大きな分水嶺であるとともに、藩政時代、佐竹、伊達、南部のそれぞれの領地の境ともなる山であったことにちなんで名付けられた山ともいわれます。高峰ではありませんが春山登山の方にはとても人気のある頂きです。

若い頃に春山登山で向かった時、その頂上に古びた小さな小瓶に入れられた紙片のようなものを目にしたことがありました。それには首都圏にあるもっとも著名な国立大学の名があり「00大ワンダーフォーゲル部」と記されておりました。登山記念文字紙片入りの小瓶を目にした時は、この峰が隠れた人気の山であることをうかがわせるひとつの証のようなものと感じたものです。

▼お盆を過ぎ村は秋の風情となりました。

わが田んぼ脇では、用水路に沿って上り下りを繰り返すヤマアゲヅ(オニヤンマ)が、時々羽を休めに止まる姿を目にします。そのそばでは、ナンバアゲヅ(アキアカネ、ナツアカネとはちがうアカトンボ)が、これ以上ないというほどの真紅色の体で初秋の陽を浴びています。

わらび座夏の特別公演

きのうは「わらび座夏の特別公演22」へのご招待をいただき仙北市田沢湖のわらび劇場へ向かいました。

低気圧が北上通過中で大雨を心配したものの、往き来とも豪雨とはならず安心して公演を観ることができました。

18日~20日までの3日間限定でおこなわれている「特別公演」は、わらび座の役者総出演というまさに豪華メンバーでのミュージカルナンバーと歌舞のステージ。舞台は70分の熱演に沸きました。開演前には、来賓を代表して猿田秋田県副知事のご挨拶もありました。

公演の全体を貫くテーマは「人のほんとうの幸せとは何か」ということと受けとめました。とりわけ今日の社会に大きく横たわる他者の尊厳をふみにじる「欲」の表れと、その対極にある他者への尊重、人の命の大切さ、人と人のつながり、連帯の大切さを深く考えさせられる公演でした。

公演の案内状はその結びで「少しでも人の世をのどかにし、人の心を豊かにする文化芸術を通して、子供たちに感動を届け、地域を元気にすることで社会に貢献してまいる所存です。」と記しております。各演目に寄せられた観客の熱い拍手は、座のみなさんのその心にこたえ響くものとなりました。まさに、文化・芸術は人の生きる力となるのです。座のみなさん、感動の公演ありがとうございました。

天候異変で野菜も育ちに難儀

県南地方の農作物は、初夏以来サクランボのまれに見る不作をはじめ天候異変の影響をうけ、種類によっては育ちに難儀している作物がほかにもあるようです。

それでもトマトなど野菜専業農家の方々は、蓄積された技術をいかして「異変」克服の努力をしているでしょうが、そういう技術をもたない自家用菜園のみなさんは、「全体としては野菜づくりにむずかしい年」と語る声が聞かれます。

わが家の野菜もとりわけトマトとナスの出来がよくないようで、ナスは葉枯れが多く、トマトは実がなかなか着かなかったり、着いても形がおかしかったりと様々。それに今年はどうしたわけか、ようやく赤くなった実をもぎとろうとする直前には、ムジナ(タヌキ)かマミ(アナグマ)などの獣にとられてしまう事態が頻繁におき、栽培主の妻は「まだ、やられた」と、がっかり顔で朝の畑から戻ります。

この長雨の前にはジャガイモの掘りとりをしましたが、こちらも例年より数が少なく粒も大きくなれないままです。ジャガイモではほかの農家の方々からも「あまり良くない」という声が聴かれますが、みなさんのところはどうでしょうか。やはりこれも天候のせいなのだと思われます。

お盆につきものトビダゲ(トンビマイタケ)

昔から村では「お盆の料理につきもの」といわれ、県南地方の町の朝市でも人気第一キノコのトビダゲ(トンビマイタケ)が、それほど良い発生をみせていないようです。

写真は、今年のお盆の直売日に出そうと集落のAさんが採ってきたトビダゲを写したもの。Aさんは食べ頃の幼菌を一定量採取できたようですが、ほかに集落でお盆にブナの大きな森へ通った山仲間の方々は「小さな株をほんのわずかしか採れなかった」あるいは「採れたが、発生量は平年より多くない」と語っていました。所の条件によって極端な豊凶の差があるともいえます。

こちらはめずらしく、毎年採るなじみのブナの枯木や半枯れ木数本にトビダゲをめざしてはまだ一度も通っておらず、発生の正確な状況はわかりません。どなたも足を運ばない枯れ木ですので、もしかしたら出ているかもしれません。そのうち、ノギウヂ(エゾハリタケ)を採り(撮り)に行くついでに立ち寄ってみるつもりです。通常はお盆が食べ頃の終わりとなるキノコですので、たとえ出ていても噛み切れないほどの老菌になっているはずですが。

トビダゲの幼菌は、この地方ではマイタケと同じ程度の市場価値がある値の高いキノコ。「日照りトビ」ともいわれ、炎天の続く気候が発生の必須条件とみられるキノコです。今年は発生が遅いのか、それとも6月以来もふくめこの8月まで続く長雨で菌の生長がさまたげられていてこのままやや不作で終わるのか、なんともいえません。

年によっては発生の盛期がひと月も遅れることがあるキノコですので、「これから出てくるかも」と、キノコ採り人たちはまだわずかの期待を持って日照りの日々を待ち続けます。この季節にいっせいにカオをだしているはずのハギモダシ(ハナホウキモドキ)も今年はまだ発生ゼロ。やはり、春以来の天候が菌たちの活動になんらかの影響を与えているようです。

成人式

きのうは村の成人式でした。

お盆恒例の成人式が新型コロナ禍で計画通り行えなえず、令和3年に予定された方々については今年の1月に延期して実施しています。したがって今年は一年に二度目の成人式というめずらしい年になりました。

令和4年の新たな村の成人式該当の方は25名。うち村内居住は14名、県内居住4名、県外居住7名ということです。出席の方は19名でした。

これで私の成人式でのあいさつは最後となります。お祝いの言葉では、いつの成人式の方々へ申し上げてきたことと同じように政治にむきあうことの重要さと平和をまもることの意義の大切さをうったえました。

私から新成人に言葉をのべるとすれば、この2つは欠かせないと思ってきたからで、毎年同じ内容であることを承知しながらも、あえて同じことを繰り返しうったえてきたところです。