集落や県境の山々をのぞむ

16日の日曜日、降雪がなかったので、今冬2度目の里山の雪上歩きに向かいました。この日向かったのは、わが家真ん前の南側に位置する通称「ムゲ山・向かい山」です。

日中でも気温がそれほど上がらず、前日までに吹雪いた雪が枝にまとわりついたままで、杉からは雪がほとんど落ちない天候です。なので、杉の樹下を歩いても雪がドドドーッと落ちる先日とはちがい雪への心配はなし。

夜に降雪がなかったので雪上には生きものたちの足跡がいっぱい。ヤマブドウの蔦にわずかに残っている実をめざしてノウサギやテンが立ち寄った跡があります。ノウサギが笹の葉っぱを食べた跡も随所で見られます。ウサギの前葉で噛みきられた笹の茎はまるでナイフで切りとられたかのようです。尾根の樹には大きなサルノコシカケのキノコも悠然と。

雪がまだ少ないのでダシ(雪庇)の発達がそれほど大きくなく今冬の尾根越えは楽です。雪庇の越えどころは私よりも生きものたちがよく知っていて、カモシカ、ノウサギ、テンが越えた所をこちらも同じように辿って上がりました。

尾根の頂点まで登れば、いつものように集落をよく見下ろせる「ムゲ山」のシロデ(林のない雪の斜面・雪崩のおきやすい箇所)へダシ(雪庇)の間を抜けて下ります。もちろん、上から雪庇も雪崩も来ない箇所を選んでのことです。

この日はそれほどよいお天気ではありませんが、眼下のわが集落(集落のおよそ4分の1が視野に)はもちろんのこと、サンサゲェ(三界山)や権四郎森(南本内岳)など焼石連峰の一部もはっきりと目に入ります。成瀬川とここからながめる集落の景色が、私にとってはなんとも素敵に見えます。

尾根筋には、ナラ枯れ病におかされた幹にナメコやムキタケがまだ残っています。なかには遅く出たまま北西の冷気で凍ったままのキノコもあり、季節外れのキノコ採りも。北西の風が強く吹きつける尾根には、あまりの風の強さで雪が飛ばされ地面が見えるところも。

その後、いつものコースで尾根を東進し高度を上げ、今度はスキー場や椿川・大柳方面が見渡せる斜面に向かいました。ゲレンデには、スキーやスノーボードで滑り降りる人々の姿が多く見られます。ここまで上がったら、東には、焼石連峰の南の森(西焼石岳)や横岳、獅子ヶ鼻岳も望めます。それらより南には東山、栗駒山、秣岳と、親しまれる村の山々がくっきり。尾根筋には、秋にクマがドングリを食べようと樹上で枝を折ったクマ棚も何ヵ所かで目につきました。足跡はたくさん見られたものの、残念ながら、森の生きものたちの姿はヤマガラやシジュウカラ以外は出会いがありませんでした。

帰って、天然冷凍で縮んでいたキノコを水につけたら、ナメコは大きさが2倍以上になりました。思わぬ山の冷凍物お土産はとっても味が濃く、味噌汁でおいしくいただきました。