いかにも初春らしい里景色

雪消がどんどん進み、わが家軒下に二階まで届くほどあった屋根から下ろした雪の小山もあとわずかで消えます。

雪の占める面積が日毎に少なくなった台地では、草丈の長い野草はまだ新芽のまま。自宅前成瀬川の河川敷も支流の小川べりもきれいすっきりで一年でもっとも歩きやすい時となっています。わたしは、緑一色になる前の、この時期の春が大好きです。

こうなると、チャワンバナコ(キクザキイチリンソウの仲間)の可憐な群生があっちにもこっちにもといっぱい。どこから種が飛んできて根づいたのでしょう、昭和22年の大洪水後につくられた堤防にはフクジュソウの花株も新たにひとつ見えます。

加えて、そこには天然ワサビやコゴミ、アザミなどの山菜と、ユギノシタキノゴ(エノキタケ)もありますから、こういう季節の散歩はまことに快適です。

いま食べるアザミは湿地や水辺に好んで生えるサワアザミの仲間。もう少し経てば、トッコ(茎)を好んで食べられる人気の高いナンブアザミもお出ましです。

我が家の今とこれからの食卓には、天然エノキタケや天然のワゲ(ヒラタケ)、稀に天然シイタケも加わり、完全無農薬、化成肥料なしで育つ山菜は食材から欠けることのない季節がこれからずうっと続きます。