1年半漬け込むブナの森の珍味

きのうは一般質問が行われ、今日の議案審議で9月定例会議は終わり議会はしばらく休会となります。

一般質問では2議員が、生ゴミ堆肥化事業の今後について、増加傾向にある村税や各使用料金等の未納対策、個別の稲作担い手農家への支援策実現などについて村の考え、対応を質しました。

▼集落近くのブナ林には、私が10数年の間トビダゲ(トンビマイタケ)をいただいてくるブナの大木があり、その大木はおそらく300年ほどの寿命をむかえ、キノコ菌に侵され10年ほど前に朽ちて倒れました。

この大木に出るトビダゲは、ほかの木に出るのよりも極端な晩生種。私はわざとかなり大きくして今の時期に採取に向かいます。トビダゲは「主に幼菌を利用する」キノコですが、ちょうどエゾハリタケのように1年間もじっくり味噌漬けにするには大きくなった菌が最適。その大きさも、歯で難なく噛めるほどの成長具合がちょうど良しで、その境目を越すと、しねふて(かみ切れなくて)調理方法はごく限定されます。

村人は、生長しきって食べられないトビダゲを今度は乾燥して「トビダゲ茶」として香りを楽しみながら利用もします。ある土地では見向きもされないキノコ、あるいは利用は幼菌だけとされているキノコでも、土地によっては徹底して利用され尽くす、村でのトビダゲはそんなめずらしい価値をもったキノコです。

さて、その朽ち倒れたブナの根元に出る晩生のトビダゲ。今年もちょうどかみ切れるギリギリの姿で私を待っていてくれました。ひと株(写真)で背中いっぱいになるほどの大きさで、噛んだらまだ軟らか、味噌漬け用にはだいじょうぶ。根元を切りとり必要部分だけを背にして帰り早速湯がいて、まずは半年間塩蔵、春の味噌仕込み時に今度は味噌桶に移し替えさらに1年間味噌の中で味がつけ込まれます。これだけあれば、また何年間もブナの森独特の食文化、伝統の味噌漬けが楽しめます。

ブナの森はミズナラの森でもあります。そこはそろそろミャゴ(マイタケ)も顔を見せる山ですが、私の通う早生ミャゴの出るナラでは今年はまだほとんど発生なし。たった1本の木だけは食べ頃が顔をだしていたようで、それは先行の方が手にした様子。だいぶあわてて採ったのか欠けらがいくつも散らばっていました。

山の木の実の様子は、ちょっと目に入った狭い範囲では、ヤマブドウは案外豊作、アケビはまずまずというところ。ブナの実はほとんど皆無に近し。今年のブナの森はやはり寂しさを否めません。先日、議会の公共牧場視察で長倉を訪れた際、牧場脇にあるミズキの実を食べにクマが登り枝を折った跡がみられました。