今も必要なキャンジギ(カンジキ)

DSCF0001-1DSCF0002-1これからおよそ5ヶ月ほど、真っ白な季節の世界でくらす日々が今年もはじまりました。

村は少しばかりの雪ではない豪雪の土地。いくら時代が進化しても、人々が雪原をうごくにはキャンジギ(カンジキ)が欠かせません。

そのカンジキ、むかしはそれぞれの集落にカンジキづくりを生業(副業の一つでしたが)とする名人がいて、むらの人々の冬のくらしを用具の面からささえていました。

時代とくらしが変わり、雪原を歩く必要に迫られる人々の範囲は少なくなりましたが、いまでもカンジキは雪国にとって大切な生活用具。

カンジキづくりを生業としている人は村ではすでにいなくなっていますが、そのつくり技を、見よう見まねもふくめいろいろなかたちで受け継いでいる人々が村には今も幾人かおります。

Sさんもそのお一人。今年、そのSさんのつくられた5000円のカンジキを買い求めてみました。カンジキは冬山歩きを常とする私にとっていわば必需品。そのカンジキを手にとってみたら、私がいま履きつづけているむかしの名人の品と遜色のないなかなかの出来です。

むらのカンジキは、豪雪地帯の、重い雪深の土地の緩急様々な山や雪原を歩くように工夫された、東北日本海側の風土の特徴から生み出された用具。同じ雪上を歩く様式のスノーシュウとは機能がそうとう異なります。

カンジキのカナメとなる輪は軽くて強くて雪が着きにくいトリキシバ(クロモジ)、斜面での滑りを防ぐ爪は堅くて丈夫で雪がつきにくいイダヤ(イタヤカエデ)、それらを縛る締め具の役割はシラグヂヅル(サルナシの蔦)が村のカンジキの三大材料。昔は、足を固定する箇所には縄や裂いた牛の皮などを使いましたが、これは今は丈夫で扱いやすい化繊の細綱が用いられます。

今年求めたこのカンジキ、見た目だけでなく実際の雪上歩きでも申し分なければ、おそらく私の生きているかぎり履きつづけることができるでしょう。

▼今日から村議会12月定例会議が始まります。今日は行政報告と議案説明、陳情などの委員会審査が行われます。