移住のカナメは、環をつくる始まりの人

CIMG9821-1▼こういう場合、プロというか、アマというか、その区別がよくできませんが、村には、出版社からすでに4冊ほどの著書を世に出している方(ご夫妻)がおります。自費出版ではないというところがカンどころで、これは村にはそうはなかったことです。

それは、みなさんよくご承知のSさん(ご夫妻)で、共著もあれば、近年は夫君単独でのまんが本出版もあり、近くに新刊もまた著す予定と言います。それが書店にならべば5冊目の著書、こうなればやはり半ばプロ、兼職といってもよいでしょう。

そのSさんが、書店に登場する出版物とはまた別に、日々のくらしを綴った新しい漫画(写真)を描かれていて、このほどその漫画を楽しく読ませていただきました。13年ほどの村の生活体験でしょうが、私以上に村のこまやかなことをよくとらえた作品は、目にしたこと、耳にしたこと、五感に触れた多くのこと、それらの豊かな体験がユーモアと人情の機微をともなう筆致で凝縮され、少し厚めの冊子に綴じられていました。

国や地方の人口減少対策がさけばれる中、そういうこととはまったく無縁で、埼玉から村に移住されてきたSさんご夫妻。もう村での生活が13年ほどになり、村で生まれた3人のお子さんのいちばん上のお姉さんはこの3月に小学校を卒業、末っ子の長男は入学です。私からみても「えっ、もう、そんなに」と思うほどあっという間の時を一家は刻みました。

実は、そのSさんご夫妻との縁があって村に移住される方が後年に続きました。いま、森林関係のおしごとでがんばっておられる横浜から移住のKさん、東京から移住されているAさんご夫妻も、すっかり雪国の村にくらしを定着させています。

東京から移住されたAさんご夫妻の奥さんは、山岳関連では国内有数の著名な定期刊行物、自治体関係の冊子、物産品などのイラストレーターとして活躍されており、時に、東北地方のある町の加工物産品の容器デザインなども手がけられています。インターネット網、光通信の時代、今は村にいてもその種のお仕事ならどんどんできる様子、ここらあたりではいち早く光通信網を整備した村でしたから、そういうことも村への移住を決断された一要因になったのでしょうか。

なんで、こんなことを記したのかということです。Sさんをはじまりに続いた村への移住のいちばんのポイントは、私から見ますと、それは「人のつながり」がどれだけ大切かというあたりにあるととらえるからです。もちろん、村の自然環境なども移住を決める心の引き金になったかもしれませんが、カナメは「人」ではないかということです。

今後も、移住の環をつくるSさんご夫妻のような「始まりの人」を、もっともっと多く村に招き、多彩な人々の絆が紡ぐ「いろんな環」がいっぱいできればいいな、つくるために努力しなければと思いとりあげさせていただきました。あえて加えれば、国と地方最大の政策課題、地方創生・人口減少対策のカギは、「人と村のこの自然」なのだということで。