野のヒロッコ食べ元気に

過ぎた週末は久しぶりの晴天に恵まれ気温は暖か15~17℃。やり残していた住家の冬囲いを、まだ新学期の始まらない童にも手伝ってもらいすべて解したら、半年ぶりで家の中がパアーッと明るくなりました。

その陽気にさそわれ、作業後は、童といっしょにヒロッコ堀りにも出かけました。アザミ、ワサビもいっしょに採り、野のヒロッコ貝焼き(鯖缶詰やシーチキン缶詰を出汁に)や早春の採れたて山菜をまとめてごちそうになったら、心も体も新たな元気の源をもらったようになりました。昔はこの出汁の素にカド(ニシン)がつきものでしたが、今の我が家は缶詰で間に合わせています。

河川敷湧水そばのクレソンやノゼリも春をむかえたら冬より明るい緑葉となり、日増しに草丈も伸びてきました。そのそばにはチャワンバナコ(キクザキイチゲ)が花盛りです。

湧水に植生するミズバショウがもう白い苞を見せ始めていますが、先日の強い霜で軟らかな苞にはやや焼けた痕がみられます。

今朝になったら外は真っ白。花たちは、昨日のあられ今日の降雪に蕾を閉じたままです。今日から春の交通安全運動が始まりました。予報は日中も雪マークをつけましたから、夏タイヤに換えた方々はとくに注意を要する一日となりそうです。

農作業の春が来た

前日から降り続いた雨によって雪消えが進んだためでしょう、昨日の成瀬川は小規模の雪解け増水の流れを見せました。

例年なら雪解け水の本格シーズンはもう少し先。でも今年は、増田町真人地区、成瀬川河川敷の柳も芽吹きはじめるなど春の訪れがあまりに早く、成瀬川はこれからしばらく雪解け濁流が続くでしょう。

育苗や施設園芸につかわれるビニルハウスも、いつもの春ならいっせいに除雪機械で雪を吹き飛ばす作業がされるのですが、村内の一部を除けば今年はその作業をしないうちにハウス棟周囲の雪はすべてなくなりました。その雪解けに合わせて、育苗のための準備が少しずつ始められています。

越冬の平良カブも美味し

冬の間、畑に埋めておいたニンジンやカブなどの根菜類を、雪解けの春に掘り出して食べる習慣は雪国の村に昔からあったもの。

とくに雪の下で冬を越したカブは甘みがあっておいしく、漬け物や煮ものなどで昔はよく利用されたものです。

村でカブといえば、有名なのは伝統野菜の「平良カブ」。特産の漬け物として人気があるこの「平良カブ」を昨年秋に知人からいただいた妻は、それをそのまま畑に埋めておきました。

雪がひと月ほど早くその畑からなくなり、埋めていたカブが姿をあらわした先日、妻は早速それを掘り出し麹で漬け物にしました。何日か経って出来上がった春の平良カブのそのおいしいこと。「平良カブ漬けは春も美味い」のです。

村の表彰式

きのうは村の表彰式。令和元年度に、スポーツ、文化、芸術で活躍されたみなさんを村独自にも表彰するもので、今年度の該当者は1団体と25名。

小中学校、高校、そして一般と、郡内はもとより、県南、全県、東北大会において1位や高位の成績をおさめた方々もおられ、こんなに小さな村ですが、スポーツでも、芸術文化の分野でも毎年すばらしい活躍がみられます。受賞されたみなさんへ心からのお祝いを申し上げます。

新型コロナウィルス禍なので、表彰会場の多くはマスク姿。こちらは、卒業・卒園式、祝賀会はすべて出席できなくなっていましたので、久しぶりに児童生徒たちと交わる公的集会への出席となりました。入学・入園式も同じように出席はなしです。

▼わが集落の向かい(南方)にある大きな雪崩斜面の通称キノギッピラも、北向き日影斜面にもかかわらずもうこんな残雪状態です。積雪量が極端に少なかったので、この斜面なら必ずおきる大きな雪崩は今年は一度もなく、そのまま雪解けを終えようとしています。それを見た集落の古老たちは「ヒラ(雪崩)の無ぇ、キノギッピラは初めでだ」と語っています。

▼雪の記録的な少なさ、そして新型コロナ、オリンピックの延期、今年はわずか3ヶ月でこの異常。こういう年ですから、ほかの自然大災害が発生しないことを願うばかりです。

豪雨や大地震など自然災害により避難所生活を余儀なくされることが我が国では毎年のようにおきており、新型コロナ禍でのそうした避難生活対応(いわゆる3密対応)にも備えが欠かせないでしょう。国や都道府県などはすでにそういうことも視野においているとは思いますが。

新型コロナウィルス感染症禍で考えること

小中学校の入学式も、児童生徒、教職員、在校生と保護者のみなさんだけで行われることになり、その旨のご連絡をすでにいただきました。

この時期恒例のお寺の「涅槃会」も急きょ中止となり、山門にそれを知らせる張り紙がされております。飲食をともなう集いの計画は、多くが中止・延期を迫られ、人のあらゆる動きに制約がかかり、新型コロナウィルスの猛威が日を重ねるにつれ増え続けています。

資源や利潤をもとめて、あるいは宗教の違いなどで、あるいは他国からの不当な侵略に抗するために、膨大な軍事や防衛に人類は費用をかけてきました。しかし、最も大きな人の命をまもるということで、それらの投資金額からすればはるかにケタが少なくて済む医療態勢の構築は、驚くほど脆弱であったことに驚いています。

一部の国をのぞいて、この発達したといわれる国々で「マスクがない、消毒液がない」「人工呼吸器、心肺装置が足りない」「必要な病床が不足」などということが現実に起きていることに、「国家は何をやっていたのだろう」という思いが今もはなれません。

そういう医療体制構築や新型ウィルスへの備えなどは、歴史の教訓からしても、グローバルとなっている世界の現状からしても危機管理の常套だと思われるのですが、そういうことを専門の仕事としている「発達した」世界の国々は、こういう事態を想定できなかったのでしょうか、まことに不思議です。

来日したこともある南米ウルグアイの元大統領ホセ.ムヒカ氏は「……私たちがグローバル化をコントロールしているのでしょうか、それともグローバル化が私たちをコントロールしているのでしょうか……」という旨を「国連持続可能な開発会議」でのべています。(ホセ・ムヒカ 日本人に伝えたい本当のメッセージ。萩一晶著・朝日新書)新型コロナ禍の世界の国々の動きをみればなんと含蓄に富んだ言葉ではないでしょうか。

よくいわれるように食料と安全保障は密接不可分の課題ですが、必要な医療を人的にも物的にも自国でまかなえる体制構築がもとめられていることを私は新型コロナ禍で教えられました。発達した国といわれるところで「たかがマスク程度、されど要のマスクを、他国に頼らなければ必要量が確保できない」というなんとも情けない現実をみてです。

グローバル社会になればなるほど、国民の命のカナメとなる「食料」「エネルギー」そして、「万全な医療体制の構築と備え」を自国でまかなえるしくみがもとめられていると思います。物づくり産業でくらしに必須の分野も「自国でまかなえる」は同じでしょう。

それとともに、人のくらしと命をまもる分野に格差なく国家の財政を厚く注ぐ必要があり、新型コロナウィルスは、そういう意味でもっとも大切なところをおろそかにしてきたグローバル社会における人類への、大きな警告と受けとめるべきではないでしょうか。

緑と小花の仲間が増えて

野草の新芽と、春一番の小花たちが方々で見かけられるようになりました。

野草の芽出しでもっとも早い仲間に入るウドザグ(ハナウドの仲間)はとっくに紹介していますが、それに続いて芽を出し、いま緑を濃くしているのはヘリザグ(シャク)。我々は「セリ」のことを「ヘリ・ヒェリ)」と呼び、シャクはそのセリの葉っぱに似ているので、「ヘリザグ」というわけです。

シャクもオオイタドリも、地方によってよく利用される山菜のようですが、わが村ではサシドリ(オオイタドリ)とシャクを食べる方は少なく、好き嫌いの差が大きい山菜でもあります。嫌いな方がいるということは、一方に「大好き」という方がいるということ。山菜やキノコなど自然の食には種によって好き嫌いの多様性があり、おもしろいものです。

集落の昔人は、シシウドやエゾニュウたちの仲間をすべてまとめて「サグ」と呼び、ハナウドの仲間も「ウドザグ」、シャクも「ヘリザグ」と、ずいぶん野草の名に「サク」の言葉をつかっています。何かの意味があるのだと思われますが、私にくわしいことはわかりません。

土手には、春二番手の花チャワンバナコ(キクザクイチゲ)もいっせいに咲き始めました。もう少し経てば、三番手の小花カダゴ(カタクリ)も同じ土手に見られるようになり、野の緑化と小花たちのバトンリレーがしばらく続きます。

新消防庁舎竣工式

旧雄勝総合病院跡地へ建設中であった湯沢雄勝広域市町村圏組合の新消防庁舎が完成。外構工事もすべて終わり、新庁舎へ移転後の本格業務全体が3月23日から始まっていました。

きのうは竣工を祝う式典が新庁舎で行われ、各種工事関係者への感謝状がおくられました。

これまで湯沢雄勝広域交流センター内におかれていた広域圏組合の事務所も新消防庁舎内に移転。広域議会や広域のすべての事務業務はこの新庁舎内で行われています。

▼式典の帰り、駒形地区の田んぼでは白鳥たちが食事の真っ最中でした。車を止めると警戒心を強め、群れの中にいる見張り番がまわりへ注意をうながすらしく、歩きにくそうに大きな体を左右に振り、だんだん道路から離れてゆきました。

▼村内の岩井川地区までは、住宅や田んぼに普通に積もっている積雪がゼロとなり、集落では白の世界はごくわずかとなりました。それに比べて深山はまだ雪の世界なので山々の白さはひときわ目立ちます。写真は蛭川と肴沢の間の小巻からみた遠くの山々です。

県境に真白き嶺を見せるのは、向かって左からサンサゲェ(三界山)、ゴンシロウモリ(権四郎森・南本内岳)、ミナミノモリ(南の森)、ヨゴダゲ(横岳)です。中央の雪の少ない大きな山は国有林の小松森、手前の低いのが入会林野の日影山。小松森が大きいためにすぐ東の大森山が隠されていますし、それより東南奥では、ミナミノモリがデーンと大きいために、タゲ(焼石岳)はここからの眺めでは隠されてしまいます。

▼我が家のまわりも、城下河川公園も、屋根から落ちた雪だまりの一部をのぞけば積雪は早くもゼロ。先日は日向にあるたんぼの積雪ゼロを記しましたが、こんなに早く家周りの積雪がゼロになるのははじめて。記録としてのこしておきます。

山菜の仲間が少しずつ増えて

早すぎる雪解けの季節をむかえた村なので、湧水そばや沢の岸辺では山菜の新芽が見られるようになっています。

村でいち早く摘める山菜はもちろんバッケで、今年はもうとっくに食べ盛りを迎えていました。これは軒下から田んぼの土手もふくめあまりにもごく普通に見られる野草です。ですから、ほとんどの村人は「山菜」と聞いても、その仲間にバッケはあまり思い浮かべられないかもしれません。

そのバッケに続いていま顔を見せているのがアザミやヒロッコ。アザミは、新芽ならほとんどの種類が手軽に利用でき、味噌汁の具にもあつらえむき。なので、村では昔から多くの人々に愛されている山菜です。ヒロッコも同じように人気の高い野の菜(これも山菜と呼ぶより、どちらかというと耕作されない畑や原野の菜)です。

きのうは、春休みの童とともに生きもの探し(サンショウウオ、カエル、サワガニ)に1時間ほど出かけ、清水の流れる岸辺でそのアザミを摘み取りました。ワサビも蕾をだいぶふくらませていますから、まもなく花が咲くでしょう。ハナウドもだいぶ草丈が伸びてきました。

もう少し経てば、やはりいろんな料理につかわれるコゴミも、今年はいつもの年よりはるかに早く顔を見せるはずです。摘んだアザミは、細かく切って味噌汁にパッと入れました。新芽のやわらかな緑がお椀に浮かび、ほのかな春の香りが楽しめました。今朝は、父の月命日。お膳に供える味噌汁にも、妻はアザミの新芽を少し浮かばせました。

仙台キノコ同好会の会誌に学ぶ

このほど、仙台キノコ同好会の前会長で現在は同会の顧問を務めておられるS氏から、2月に発行された会誌(第44号)を送っていただきました。

この村で過去二回、一泊のキノコ研修会を行っている同好会でもあり、会誌や会の活動から私はいろんなことを学ぶことができます。きのこ採り、撮りを趣味のひとつとしているこちらは、今号の会誌もありがたく思いながら読ませていただきました。

今号にはS氏が同会の研修会(77名参加)で行った講演の内容が載せられており、私はそのページに注目しました。それは、キノコの中でも「食毒」について見解のちがう様々な意見があり、おかしいと思っていたホウキタケの仲間「ハナホウキタケ」について、これまでと違う解説が紹介されていたからです。

どうやらそれは、これまで「ハナホウキタケ」と呼び毒キノコ扱いされていた種について疑問をもつ方々が、いろんな鑑定や探究を経て到達したひとつの結論のようです。ただし、これまでと同じような専門家筋の見解は別にあるようですが、それはここでは省きます。

その結論とは、これまで多くのガイド本や図鑑で「ハナホウキタケ」とされ、私も毎年ここで紹介している8月はじめから9月にかけて大量に発生するピンク色の種に「ハナホウキモドキ」という新たな名がつけられていたことです。これまで「ハナホウキタケ」とされ、多くのガイドブックや図鑑では毒種扱いされていたきのこです。それが「ハナホウキモドキ」となっていたのです。

このキノコは、ごく普通にわが村では「ハギモダシ」(2~3枚目の写真)と呼びよく食べられます。「図鑑では毒種とされているが、村では、はるか昔から多くを食べていても、誰も、一度も、中毒はせず、おいしいキノコ。なぜ、それが毒種なのか?」と私はいつも疑問に思っていました。我が家では、サモダシ(ナラタケ・ナラタケモドキ)、ミャゴ(マイタケ)ナメラコ(ナメコ)、などとならんで最も多く利用されるキノコです。

そのキノコが「ハナホウキモドキ」とされているのです。S氏は、ホウキタケ類の分類研究に造詣の深いある学者の研究事例などを引きながら「……これまで食・毒の論争になってきたキノコである。私の食経験では食べられますが、まだ市民権を得られるまでにはなっていない……」としての旨を講演で語られたようで、会誌には詳しくそのことが記されております。

うれしいことに今号の同会の会誌には、S氏が講演で紹介されたのでしょう、ホウキタケの仲間たちの写真もいっぱい載せられております。S氏からご了承いただき、講演・解説の一部と各種ホウキタケの写真を(4~5枚目の写真)ここにもご紹介しておきます。最上段⑥の「ハナホウキタケ」と、最下段⑤の「ハナホウキモドキ」に注目です。

このホウキタケ一覧の写真ページには、私が毎年よく紹介する、肉厚のネズミハギモダシ(写真6枚目)「ウスムラサキホウキタケと思いますが」は載っておりません。が、同じように紹介してきた肉厚真っ赤なハギモダシが「赤いホウキタケ(ゼラチン質)」として、名はつけられずに一覧の写真ページ2段目中央⑦に載せられております。それはまだ名のないホウキタケの仲間のようで、これにも注目です。

「ハナホウキモドキ」とちがってこの名のない「赤いホウキタケ(ゼラチン質)」は、私の知る種(私の写真終わりの7~9枚目)と似ています。もし同じだとしたらこのキノコは村での発生は極めて少なく、見映えは美しく肉厚の形は見事ですが、ほかのホウキタケの仲間に比べてやや小ぶりです。幾度か食べたことはありますが、特徴はホウキタケにはめずらしく解説にもあるようにコリコリしたゼラチン質です。見栄えとはちがい、噛みごたえは今イチで、それほどおいしいとは思えないキノコです。そういうこともあって、私は食べるよりも眺めて楽しむキノコの仲間に入れることにしました。

いずれにしても、「ハナホウキタケ」と「ハナホウキモドキ」の別を含めホウキタケの仲間をこのように多く解説、載せている同好会の会誌には学ぶところ大です。今後新しく発行されるキノコガイド本や既刊ガイド本の改訂版などでは「ハナホウキモドキ」が「食べられるキノコ」として載せられるかもしれませんね。このキノコを長年食べている私には、どうせなら、「モドキ」とかではなくもっと別の名でもいいような気もしますけれども。なんともキノコの世界は奥深しです。

少雪で異例の墓参

昨日は彼岸の明け。わが集落ではこの明けの日にお墓参りをする方が最も多く、菩提寺境内の墓地には多くの人々の姿が見られました。

そこで交わされる挨拶も、「はがさ、こんだぃ、雪、びゃっこだな、はじめでだ(墓に、こんなに、雪が、少ないのは、はじめてだ)」とか、70歳代の女性は「ここに、嫁に来てから、墓が、こんなに(雪から)出ているのは、見たことがない」などと語ります。

異常な雪の少なさがお墓では共通の話題でした。なにしろまだ彼岸明けなのに、残雪が見られるのは墓地の一部だけ。ほかは解けてしまったのですから。

一昨年の彼岸明けの日の写真(5枚目と6枚目)ではお墓は厚い雪の下。これが豪雪の村ではほぼ普通に見られる彼岸時のお墓風景です。それと見比べれば、今年の異常さがよくわかります。

我が家の田んぼも、日向にある集落入り口・合居地区の圃場はついにきのうですべて雪がなくなりました。後にも先にもこんなことはそうはないでしょう。きのうも記しましたが、「今年は雪解けがひと月早い」といわれる所以はこういうことなのです。