村産の冬野菜

暦のうえでは春でも村はまだ冬。この季節になると毎年お知らせしている2つの食について。

ひとつはわが村産のホウレンソウ。私の同級生Sさんがビニルハウスでつくるホウレンソウで、雪の季節特有の寒さで甘みが増す「寒じめ栽培」のとってもおいしい野菜です。

豪雪の村で冬に栽培されるホウレンソウなど昔には考えられなかったことですが、夏秋トマト栽培用のハウスを「雪の季節も」と有効活用されているものです。おかげで村のみなさんは完全無農薬の地元産ホウレンソウをいただくことができています。

大雪の今年は雪からハウスをまもるのに大変だったと思われますが、ホウレンソウを栽培するハウスは必死の除雪で豪雪の被害を防げたようです。しかし、Sさんのほかのトマト栽培用ハウスは作業が追いつかず多くが雪に押しつぶされてしまいました。

もう一つの食は、この季節に送られてくる神奈川小田原産の晩生のみかんです。こちらも農薬の使用が抑えられているみかんのようです。農産物の無農薬栽培や減農薬のとりくみは規模が大きいほど簡単にはなかなかできないこと。お米をはじめ経営として減・無農薬を成り立たせているみなさんの努力には頭が下がります。

当方もそうですが、できれば毎日食べるお米こそ無農薬栽培米を食べたいと思う方は多いでしょう。でも、減農薬ならなんとかできますが、面積が多ければ田んぼの無農薬栽培はなかなかできることではありません。だからこそ、全国でそういう栽培に努力し一定規模の経営を確立している方々へは、「よくやるものだ」と尊敬の思いをもちます。除草や病害虫防除にどれだけ苦労が多いかがわかるからです。

自家用野菜のように自給だけなら手っ取り早くできるでしょうから、そういう程度の無農薬栽培はお米もふくめ今後は増えてゆくかもしれません。毎日の食は健康にとって安心安全のカナメですから。

ウソ(野鳥)が桜へ

昨日午前10時頃の国内豪雪地帯の積雪は、標高が1000㍍近い青森・酸ヶ湯の390㌢は枠の外におくとして、北海道・幌加内町215㌢、山形・大蔵村肘折268㌢、福島・只見203㌢、檜枝岐村176㌢、新潟・十日町市217㌢、津南町243㌢、長野・栄村180㌢と記録されています。

村の積雪は同日朝で役場所在地の田子内で184㌢、わが集落の岩井川で197㌢、椿台で238㌢、大柳で243㌢となっています。時期が時期ですので、集落のある場所においての最大積雪深更新は、今朝も大雪が予報されている北海道は別として全国の自治体でもおそらく今後はほぼないでしょう。

冬本番はまずこれで終わりという節目のなかで、こうして国内有数の豪雪地と自分たちの村の積雪状況を全体として比較してみることは参考になります。

▼積雪が増えることのない季節にようやくたどりつきましたが、木々たちも春が近づいていることを感じ取っている模様です。先日所用で村を回っていたら、春にむけ樹幹の活発な活動が準備されているソメイヨシノ桜の花芽を啄む小鳥のウソをみかけました。(遠くからなので写真はややボケています)

昨年は、この界隈でウソの花芽摂食はそれほど目立たず、ソメイヨシノはいずこでも見事な花を咲かせました。ただ、新型コロナ禍で観桜にちなんだ行事はほとんどが中止となり、せっかく咲き誇った花の公園は過去の歴史にもないほどひっそりしたままでシーズンを終えました。しかし今年は、ウソの姿がこんな様子で見かけられます。花芽を食べるうごきを目にすると、公園の桜の花そのものも心配になりますが、ほかではどうでしょうか。

その年によって桜へ飛来することがあったりなかったりのウソ。どうして年によって摂食へのそんな違いが生ずるのか、不思議な生態をもつ小鳥です。夏には焼石沼周辺の草原でもよくみかける、季節によって里と高い山を棲み分ける漂鳥とよばれる野鳥です。

このウソ、桜の花芽が食べられるのであんまり歓迎されませんが、体がすずめと同じでふっくらと丸っこく、ヒー、ヒー、ヒューイ、ヒューイと名前の由来である口笛のような音で鳴くかわいらしい野鳥です。シジュウカラなどと違い、花芽を食べている時は動きも激しくなく、ほかの小鳥よりも人への警戒心は緩いようなので観察するにはありがたい小鳥です。

積雪2㍍前後でも春近しを感ずる

雪の村にはめずらしく土、日曜と晴天が続きました。

おとといは、晴天でも手がかじかむほどに日中も気温が低いままでの青空。そしてきのうは春のような暖かな青空。わが家からながめるスキー場には、ゲレンデにバックカントリーにと、滑りを楽しむ方々の姿が多く見られました。

こちらは用水路取水口に詰まるごみ除きがてら、ほんの小高い里山をカンジキ履きでぐるっといつもの散策。焼石連峰やダム建設地方面までの成瀬川上流域の集落などをのぞみました。真白き奥羽の脊梁が、山容の美しさを際立せる季節がやってきました。今冬は豪雪だったので、秀麗の嶺は白装束をまとう春の期間が例年よりいくぶん長くなるでしょう。

積雪2㍍越の集落もありますから、里山だと3㍍近くの雪深さはあたりまえ。白一面の里山を歩けば、その厚い雪と氷に押さえられているユキツバキの緑にどうしても目をひかれます。こんなに苦しそうな状態ながら、マンサクと同じように特有のしなり強さで雪氷の重さから樹体をまもり、木々のなかではいち早く花を咲かせる準備をしているのです。

暖かな晴れ空の下では、童たちの雪との戯れも長くなります。被害が多かった豪雪の冬でもあり、つい先日までの豪雪の厳しさが頭から離れません。ただ、春近しを感じるからでしょうか、ほんのひとときでも童たちの歓声と笑顔に触れ、やわらかな陽射しを浴びるなかで溜まり込んでいた冬の苦労感がやわらぐような気もします。河川敷の雪上は所によってちょっとの堅雪状態もみられ、童たちなら雪に抜からず歩けるところもありました。