今冬初の県境尾根行き(その1)

お天気はよし、行事はなしの休日となったきのう。今冬初めて県境尾根を歩き北上川支流の胆沢川、そのまた支流の岩ノ目沢に踏み込み、いつものブナ原生林をながめました。

日中の予報は雲無しの晴天を告げましたが、朝はまだ厚い雲で軽い雪が時々ふわふわと舞います。それで「青空を待つには早出は無用」と、いつもより時間を遅らせ7時に歩き始めです。

昨日は予想より雪が堅く締まっていて、雪原はまるで4月の堅雪本番のよう。カンジキを着けずにどんどん歩けます。それに、カントリーパーク管理棟などの雪除雪で国道上を上がったユンボーのキャタピラー跡もあります。4月に入ってからなら分かりますが、まだ3月はじめのこの時期にカンジキ無しで歩けるのは助かります。

履こうと思ったカンジキをリュックに結びつけ歩き始めたら、こちらの100㍍ほど前を、やはりリュックにカンジキを結わえて歩く登山姿の方がおります。「おっ、俺と同じような山行きの人、しかも、背にしているカンジキは村でよくつかわれるトリキシバをつかった輪カンジキ。どこの方かな?」と少し早足で近づいたら、なんとその方は、仙北街道歩きを何度もいっしょにしている増田のIさん。

「やぁーっ、どっちさ?」とお聞きしたら、県境まではほぼ同じコースで、歩きの目的にはこちらと同じ写真もあるようなので、少し間をおいてから「よかったら、いっしょのコースへ」とお誘いしました。焼石をはじめ村の雪上山歩き体験の多いIさんですが、この日こちらが向かうコースは初めてだったようです。以後は帰りまで、互いに出発時間をずらしたおかげでできた思わぬ偶然のいっしょの山歩きとなりました。

カンジキ無しの堅雪歩きなので速度は早く、一直線のほぼ最短距離でたちまちのうちに尾根に到着。時計をみたらまだ9時です。気温の低さは予報どおりでしたが、空模様はちがって厚い雲がなかなか途切れず、県境の尾根にあがっても焼石連峰はほとんどが雲のなか。かろうじて三界山がほんの瞬間に姿を見せるだけです。

時間が早いため雲の切れ間から陽射しや青空がのぞくのはわずかの合間だけ。カメラをもつ手指がかじかむほどの冷気のなか、早い雲の流れを見上げて待ち待ちしながら、たまにチャンスがおとずれると二人で「さあ、(晴れ間が)来るぞ、それ、今だ!」とシャッターを押し合いました。

立ち止まったままだと寒いので尾根への長滞在はほどほどにして岩ノ目沢の林へ下がりました。以後、しばらくの時間、カンジキなしで歩きやすい林内を自由に上がり下がりし、少しの雲の切れ間が来るのを待ち待ちしつつ、右へ左へと移りながらブナ原生林の撮影歩きです。