輝くナメラコ(ナメコ)

「こどし(今年)、木の葉の、色づき遅ぇ」といわれる秋の里山。

遅いのか、それとも霜のあるような寒い朝が少ないために色づきが悪いのかまだどうともいえませんが、集落近くのブナ原生林は落葉がまだはじまりません。

いつもの年と同じ感じで合居川渓谷「いずくら」と「天正の滝」の断崖紅葉をながめにむかいましたが、紅葉名所のここもやはり色づきはまだ今イチです。

ながめた後に足を伸ばし、渓谷の半ばほどまで少しだけ深入りをしました。目当ては10月20日を過ぎればいっせいにカオを出すブナ原生林のナメラコ(ナメコ)。

谷のなかでもこの支沢は、古来、斧の入らぬ原生のブナ林。毎年ナメコをいただいている何本かの大きな倒木を巡り歩きましたが、発生してはいるもののナメコのほとんどが老菌状態で腐る寸前。食べるのはムリ。今年は発生が例年より早かったようです。

ただ、そのうち2本の倒木では晩生のナメコが真っ盛り。太い倒木では、その木だけで荷がどっしりと重くなるほどの収穫ができました。傘が開かないあかね色に輝くナメコの幼菌を地元の人々は「ぎんぼし」と呼びますが、倒木にはその「銀星」もいっぱい。

今年も春からいろんなキノコに出会ってきました。ユギノシタキノゴ(エノキタケ)に始まり、真夏のトビダゲ(トンビマイタケ)、初秋の各種ハギモダシ(ホウキタケの仲間たち)、アガキノゴ(サクラシメジ)、秋本番ではサモダシ・モッコラモダシ(ナラタケの仲間たち)、そしてミャゴ(マイタケ)、シシタゲ(コウタケ)、カノガ(ブナハリタケ)、オオヒメジ・ネズミヒメジ(ホンシメジ)、ハタゲヒメジ(ハタケシメジ)、ムギダゲ(ムキタケ)、ノギウヂ(エゾハリタケ)等々、どのキノコにもそれぞれに魅力あふれる姿とおいしさ、個性があります。原生林のナメコはそれらのなかでも「輝くキノコ」という言葉を最も表したくなるキノコです。この粘りとカネ色の輝き、眺めても食べても素敵ですからね。

写真のナメコが生えている太い倒木には、ムキタケもきれいにならんでいました。そばのミズナラ大木の根元には朽ちたマイタケが見られ、倒木にはカノガ(ブナハリタケ)が、その根元にはヤマドリモダシ(クリタケ)も。

同じようにブナの大きな倒木には見目麗しい姿のブナシラダゲ(フナシメジ)が株になっています。ブナシメジとしてはめったに見られない整ったかたちの良株です。

原生林のなかでは、直径1㍍をはるかに越す大木の幹に大量のノギウヂ(エゾハリタケ)が張りついていました。老菌となって食べ頃(軟らかくなる)の株でしたが、高所に生えていたのでほんの少しをいただいてきました。キノコのなかで老菌をありがたがられるのはこのエゾハリタケだけ。老いて軟らかくなった「山のキノコ肉」を、一夜味噌漬けでおいしくいただきです。

最後の写真は猛毒種のニガクリタケ。写真は幼菌で黄色が目立ちますが、老菌や、幼菌でも環境のちがいではクリタケやナラタケとみまがうほど似ていることがあります。同じ木に食茸と猛毒種が並んで生えていることもありますから要注意です。このキノコ、ごくありふれた可愛い姿ですが、体に秘める毒は最強クラス。子供をはじめ一家の何人もが食中毒死したという悲惨な事故例も過去にはある、とても怖い猛毒キノコです。

▼きのうは、12月定例会議にむけて堤出されていた陳情(医療、介護、福祉関連)について、堤出された方々が説明に訪れました。新型コロナと医療、保健所体制の充実などについて常任委員長とともに現状などをお聞きしました。