夢と宝モノを届けた太陽系宅急便・はやぶさ2

小惑星リュウグウの探査を終えたはやぶさ2が帰還。サンプルの詰まったカプセルを投下した後また11年間の宇宙の旅に向かいました。

サンプルの分析はこれからですが、JAXAの人々の確信に満ちた喜びようをみれば、小惑星物質の採取も成功していることはまちがいないように思えます。

はやぶさ2は、所期の任務を為し終え地球から離れましたが、それはまるで星と星の間を航行して我々に夢と宝モノを運んでくれる太陽系宅急便のような存在。成し遂げた偉業への敬意とともに、冷たい機械構造物でありながらもそんなちょっと身近で温かな存在をはやぶさ2には感じたところです。

40年以上も宇宙を飛び続け、今なお地球へ通信を送り続けているアメリカの惑星・宇宙探査機ボイジャー1号は太陽系を脱出するまでこれから2万年もかかり、となりの恒星系に近づくには4万年もかかるということです。そのボイジャーには、45億年もの耐久性をもつ物質でレコード化された我々地球人からの膨大なメッセージデータが積み込まれていて、いつかどこかの宇宙人にキャッチされることも想定されているようです。これなどは、受け取り先不明で地球の残された寿命よりも長く宇宙を飛び続ける、さながら銀河系宅急便というところでしょうか。

さて、はやぶさ2です。今回の一連の帰還報道のなかで私がもっとも感動したのは、はやぶさ2がカプセルを放出した後、地球から遠ざかる時に撮影した地球画像の美しさです。

日本人宇宙飛行士野口さんがただいま活動中のISSから発信する地球画像の美しさは、最新の技術でつくられた機器で撮影されるだけにそれは見事なものです。が、はやぶさ2が今回届けた地球の姿も、何度見ても「すばらしい」の思いが湧き続ける画像でした。

はやぶさ2がとらえた太陽系の奇跡のようなその美しい地球。いまそこでは、いわば地球の保護者的存在でもある人類が新型コロナという魔物に襲われています。それだけではありません。地球上では、地球の保護者的存在の人類の手でその美しい地球を幾度も破壊できる量の核兵器が保持され、思想・信教など考えの違いによる争い、人の道に反する利得が源となる争いが元で、殺戮、飢え、貧困が常態化しています。

ボイジャー号、はやぶさ2やISSを含むそれら多くの探査機や人工衛星から送られてきた地球画像からは、生きる希望を伝え教えられるありがたさとともに、人類に対して「あなた方は、地球の子どもであり地球の保護者でしょう。愚かな行いや醜い争いをしている時ではないでしょう。早く正気をとりもどして!」とのメッセージのようにも私は受け止めます。今日は、国のその愚かな判断により多くの人々の命が理不尽に奪われた太平洋戦争はじまりの日です。夢と希望の象徴でもあるハヤブサ2に「ありがとう」と感謝を申し上げながら、戦争で犠牲となられた方々を追悼する一日にしたいと思います。