春、残雪の須川高原散策をおすすめ

今日は、雪と観光ということで、冬をむかえたばかりなのに春のことでひとつご案内です。

雪解け時をむかえた深山のブナの森歩きは、足の沈まない堅く締まった残雪上を歩けることでまことに爽快なもの。豪雪の土地に住み慣れている人々でも、そういう春の森にご案内した時には「こんなに楽に、広いブナの森を歩けるとは、なんて楽しいんでしょう」とよくいわれます。そんなこともあり、今日は残雪の春山散策のご案内を少しいたします。

雪の深いなかで暮らしている人々でもそうですから、雪の多くない地方や、まったく雪のない南国(海外もふくめ)の方々がこの残雪の高原散策を体験されたら「そこは、絶好の行楽地」と認められるにちがいないと思います。

そういううってつけの行楽地がわが村にはあります。それは、春から秋まで簡単に車で標高千㍍ラインまで上がれる栗駒山麓の須川高原。村には深山の残雪歩きを楽しめるブナの森が多くありますが、「車で簡単に行ける所、なおかつ高原」というのは須川高原だけ。

しかもそこはちょうどブナの森の森林限界でもあり、背の高いブナの原生林もあれば、低木帯もあり。低木だけの植生で視界が開ける平らで広大な高原もありますから、悪天時以外なら危険度もきわめて少なく展望も良しの絶好の散策地となります。

残雪上の歩きなので藪こぎもなく、ご家族で、グループで、大きな集団で、横になり縦になり斜めにとどこでも自由に歩け、ソリ乗りやちょっとのスキーも自由にできます。ミズバショウなど雪解け時ならではの植物も観賞できます。奥羽の山並みをながめての雪上での昼食なども楽しいでしょう。運が良ければ森の鳥や生きものたちとの出会いもあり観察もできます。そして、他の地に代えがたいのは、その高原には2つの温泉宿があるということ。歩いた後には残雪と木々の芽吹きの風景をながめての露天風呂も楽しめるのです。

まだ、そういう体験をされていない方で山歩きに興味のある方は、来年の計画に「残雪の須川高原、雪上散策」をぜひ入れてみてください。ガイドさんがいればいちばんいいでしょうが、車道が見える範囲ならガイドなしでもだいじょうぶ。用心のために「方位磁石」はあったほうがよいでしょう。とにかくすばらしい歩きができますから、おすすめです。

春ではなく今頃こんなことを記したのは、みなさんへ来年の小さな「夢」を提供したいと思ったから。そういう素敵な歩きができることを、一人でも多くの方々にご紹介したいからです。写真は、その須川高原のほんの一部の晩秋と初春の風景です。野鳥の森は夏季には散策道しか歩けませんが、ゴールデンウィーク時には写真の林の中も藪は雪の下、自由に歩けます。池塘の一部をのぞきそこはまだ真っ白の世界。雪の白、芽吹きのブナの若緑、ヒメマツ(キタゴヨウマツ)とネズモヂ(アカミノイヌツゲ)の濃緑、高原の青空、そんな所を歩いたなら、きっと、無上の幸せを感じられるはずです。雪にあこがれる南国、海外のみなさんをはじめ、未体験の方々にこの高原の残雪の魅力をお知らせし広めたいですね。