14日、一年ぶりに妻と二人、仙北市田沢湖のわらび劇場に向かいました。
毎年4月に行われる初日公演にご案内をいただいていて、今年の演目「ブッダ」は2年前だったか一度観ていたのですが、「もう一度あの演技、彼の演技をみてみたい」と向かったものです。
その彼とは、劇中で、人間と狼の血を引くとされる奴隷役「タッタ」を演ずる三重野葵さんのこと。主人公「ブッダ」役の戎本みろさんの名演技もさることながら、初演のときの三重野さんの演技が二人とも強烈な記憶として刻まれていたからです。
「生きるとは」、「どんな生き方をするのか」を問いかけるのがこの劇の主題のようで、原作を描いた手塚治虫氏が我々に届けようとした思い、人間社会が背負う重い課題を考える2時間ほどとなりました。2回目の「ブッダ」観劇、三重野さん、戎本さんをはじめ、みなさんのさらに円熟した演技を堪能できました。
この日は、僧侶で音楽家の渡邊英心さんのトークショーもありました。渡邊さんは、マスコミなどでもよく紹介されますが、三種町松庵寺(曹洞宗)の副住職。東京学芸大在学中にラテン音楽サークルに所属、海外での活動を経て秋田に戻り、副住職をされながらパーカッショニスト、5人組バンドのボーカリストとして、またDJなどで幅広く活動中の方です。
トークの演題は「アートと仏教」。渡邊氏は響きのいい声音で「仏教は他を認めるもの」という旨をふくめ語られました。それは己と違う存在を認める、寛容の精神ということでもあるのでしょうか。世上には「人の道」に背く出来事が政界をはじめ絶えません。そういう時世だけに、ミュージカル「ブッダ」も、「アートと仏教」のトークショーも、今の時代を見すえた「人はいかに生きるか」の命題で、一条の光として心に響くものがありました。
なお、わらび劇場では8月5日から北前船をテーマにしたミュージカル「北前 ザンブリコ」を公演予定のようで、その主演に三重野葵さんが決まっています。どんなミュージカルになるのか、三重野さんが今度はどんな演技をみせてくれるのか、そちらも楽しみです。