ヤマドリに縁のある年です

CIMG5024-1おとといの夕方のことです。きのう載せた木イチゴの実を探して林道を走っていたら、道の真ん中にメスのヤマドリがいて、どうしたことか、ピタリと動きを止めました。

 

体を固めてしばらくジッとしているので車のエンジンを停止したら、それでも微動だにせず同じ格好で、5分以上動きません。「おかしいなぁ、警戒するにしても、なぜこんなに止まったままなのだろう」と思っていたら、その理由がまもなくわかりました。

右道ばたの藪の中から、かわいい子供たちが、一羽、二羽、三羽、四羽、五羽、六羽、そして遅れて七羽目、次々と姿を出してきたのです。一羽目が親の方向に向かって歩き始めたらようやく母鳥も歩き始め反対側の藪の中に入り、続く子たちも道路を歩いたり羽ばたきしたりしながら横断し母の後に消えました。

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山道に入ればたまに目撃するヤマドリの親子ですが、こんなにゆっくりと眺められたのは初めて。「ほほー、かわいいもんだ」と車の中でしばし楽しませてもらい、車を発進。

しばらく走ったら、また目の前の道路にメスのヤマドリがいます。「あらら、また子連れかな」と思ったら、その通り。今度はさっきのヤマドリとは逆に左の道ばたに子たちがいっぱいいて、母親の後を追います。CIMG5049-1CIMG5050-1

最初の子たちよりは一回り小さい体ですが、それでもフラフラと5㍍ほどは飛ぶことができてなんとか着地、みんな母親の後に続いて藪に入りました。母が、子たちを呼ぶクックックッの鳴き声が藪の中から聞こえてきました。

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なんという偶然でしょう、一度に2つの母子家族の群れをじっくり眺められるとは。「こんな出会いも山神様は用意してくれるんだな」と、思わずうれしくなり「偶然の幸運」に感謝、感謝です。

2つの母子の群れをみて思ったこと3つ。1つは、天敵から子と自分の身を守り、よくこれだけ多くの子を飛べるまでに育てあげたこと。2つは、雑食のヤマドリだが、子たちは何を食べるのだろうかということ。オスは交尾を終えればあとは責任なしのはずでしょうから、ふ化後にはすぐに母子そろって巣を離れた後、子たちは何をどうやって食べるのか。3つは、なぜヤマドリやキジの仲間たちは樹上に巣をつくらず、地面に巣をつくるのかということ。ふ化直後に母子はそろって巣を離れ、子は食べ物を自力で採るからでしょうか。

卵の時からまずはヘビや数多の鳥獣類たちに狙われ、ふ化後も、キツネ、テン、イタチ、ムジナ(タヌキ)、カラス、猛禽類などの天敵が山中にはいっぱい。武力のない母鳥一羽がこんな多くの卵を抱き育て、やがて天敵が一家を狙う厳しい山中を引き連れて一人前にするのですから、その保育力、教え力はたいしたものです。母は強し、母子の絆は堅しを感じた偶然のふたコマでした。