花の百名山・焼石岳のお盆山行(その3)

春のユキワリコザクラ、ヒナザクラ、初夏のハクサンイチゲやミヤマシオガマと、花の百名山・焼石を代表する花園がンバエシティ(姥石平)とその周辺一帯。

DSC_0155-1DSC_0156-1DSC_0157-1DSC_0159-1DSC_0164-1DSC_0174-1DSC_0176-1DSC_0178-1DSC_0181-1DSC_0182-1DSC_0185-1DSC_0187-1DSC_0190-1DSC_0197-1DSC_0204-1DSC_0211-1DSC_0205-1DSC_0212-1DSC_0214-1およそ8合目から頂上までは、雪解けからこの8月まで途切れのない季節ごとの花姿を見せてくれる。むかし、私の祖母(母方)が祖父といっしょに若い頃はじめて焼石に登り、その花景色のすばらしさに感動してだろう「あど、えず、死んでもいい」と語っていたことを伝え聞いたことがある。その言葉は他の人々にもそうとう強い印象をあたえたのだろう。地元の人にとっても、花景色と紅葉の焼石はひとつのあこがれ、楽天だったのである。

花園といえるほどに開花の種類数が多いのは6月、7月、8月とおよそ一月周期でめぐってくる焼石。いまはその盛りがやや過ぎ具合なのだが、やはりこの姥石平をとりまく東成瀬側コース8合目から岩手側コースの横岳、東焼石、権四郎森(南本内岳)一帯は、開花が比較的早かった今年の8月半ばでも、登山者を惹きつける花園の魅力をまだ残している。実は大きいが、おいしさからはほど遠いベニバナイチゴも熟期のようだ。

焼石連峰ではおそらく残雪が一番多い箇所の一つ南本内川カッチ(最上流部)のシゲイシ周辺をふくめ、タチギボウシやイワイチョウ、イワショウブ、キンコウカなど湿地を好む花が今は多い。ミヤマリンドウやエゾオヤマリンドウもここは多いところ。

DSC_0231-1予想していた以上に花景色にひたることができ満足の心持ちで8合目に戻り、タゲの清水に冷やしておいたモモをしゃぶる。歯にしもうほど果肉の芯まで冷たくなっていた。今回はモモだったが、トマトもこうして冷やしておくと、その美味さはたまらない。

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DSC_0233-1清水のそばにサンカヨウの甘い実が熟していたので口にふくむ。並ぶ赤い実はタケシマランだろうか。この日の見納めは、駐車場すぐ近くで目にした花。名はわからなかったが、しらべてみたらジャコウソウという花に似ていた。

DSC_0237-1DSC_0241-1帰り道、食べ頃のきのこツギワゲ(ウスヒラタケ・一月に一度ほどの周期で度々発生するキノコ)が目に入った。味噌汁にしたらこれは極上の味、さっそく手にし、県境近くのブナの森ではフキも少し背にした。行き会わせた若いカップルの登山の方など、ナタを下げフキを背にした私の格好をみたら、山菜採りを業としている山人と思ったかもしれない。

村の人々は、昔から「盆ボギ(フキ)」と呼んで、お盆を前にキタサ(北ノ俣沢)やエシャガ(胆沢川)へとホギ採りで入った。盆ボギは、キタサかエシャガの名がつくホギでないと味に満足できない方が多かったからだろう。

おみやげに汲んできたタゲの清水は、母の手で「ほら、じいちゃん、タゲの水だど」と告げられながら亡父の仏前に供えられ、その残りで妻はコーヒーを煎れ味わっていた。もちろん盆ボギもツギワゲ(月ワゲ)も、季節の分かれ目を知る味としておいしくいただいた。