わが「経営?面積」はおよそ1万町歩(㌶)?のホラ話

村の総面積は203.6㎢。うち山林原野が189㎢、国有林が92㎢。国有林だけでも9,200町歩(㌶)で、それは国民みんなの財産。山林原野のほとんどは官民問わず自由に出入りできる山となっていて、そこには豊富な山の幸がある。

なので、お茶のみ話で私は、「わが家の『経営?面積』は、山菜9,200町歩(㌶)とキノコが天然ホダ木や天然株などで実は無尽蔵なんだ」などと、ちょっとのホラ吹き話をある方としたことがある。民有林野をふくめれば1万8,900町歩(㌶)が経営?面積。

なんのことはない、これは村の林野にある自然の山菜やキノコの生える面積や木材の量を、たとえばの話としてとりあげたもの。

天然のそれら食材をお金に換えることができる財産を村のみんなはもっているということでのたとえ話だった。ちょうど海の漁師が天然の魚介類を獲って生きているのと同じで、我々山の民も、無農薬、無化学肥料、無施設、投下費用ゼロで自然が育てる山菜やキノコを毎年食べ、その道に長けた方々はそれを換金し生業としてもきた。

むかしは、それにノウサギを主にした野生鳥獣の肉も利用した。野生鳥獣を「放牧」しているとしてとらえるなら、その自然「経営放牧」面積もまた広大なものとなる。野生ではなかったが、村は、いま注目されている短角牛(アガベゴ)を、秋田岩手にまたがる広大なブナ原生林と高山植物咲き乱れる国定公園にまで放牧してきた歴史を過去にもつ。これなど、究極の低コスト産業であっただろう。

大量消費、大量投棄の生活への警鐘があちこちで鳴らされている。そんな時、山に暮らすなら、山の産物を自分のできる範囲で暮らしに活かすことをわれわれはもっと考えていいのでないか、と思っていて、先のようなことを極端な例としてあげてみた。

豪雪がもたらす最大の財産のひとつ、山菜とキノコは、まだまだ世のため人のため、そして自分の暮らしに活かすことができる。奥羽山脈、豪雪、県境の広大な「経営面積」をもつ村だからこそ持つその価値に、われわれはもっと気づいてよいのではないか。

CIMG0375-1CIMG0378-1CIMG0380-1▼わが家前の成瀬川。日中でもまだ雪解け濁流にはならず笹濁りの流れがしばらく続きます。本流、支流と川岸の淵には、渓流魚をめざした太公望たちの足跡が雪上に見られます。雪消の早い河川敷湧水脇には、ウドザグ(ハナウドの仲間)が芽を出し、いつものようにユギノシタキノゴ(エノキタケ)がチラホラと顔を見せ始めました。