若芽のおいしい季節始まる

雪解けの進みにあわせて野の草たちの芽生えが目立つようになりました。

先の休日には、遊びに訪れた童とともに河川敷に向かい湧水に育つクレソンを摘みました。私の感じでは、クレソンが一番おいしいのは若芽が旬の今の時期です。

きのうは終日おだやかな快晴となり、役場で定例会議最終日運営の打ち合わせなどを行い、午後には晴れ空に誘われ自宅前の別の湧水が流れる河川敷を散策。

水辺には、ウドザグ(ハナウド)、バッケ(フキノトウ)、ヒロッコ(アサツキ)、軟らかな泥のある水中にはノゼリも摘み頃で若芽を伸ばしています。

味噌汁やヌタ、カヤキ、そしてテンプラにと、これからの食卓は野の若芽たちが途切れなく並ぶ季節入りです。

先日来の雨で増水し、今年はじめての本格的な雪解け濁流となった成瀬川。きのうは増水も収まり、川はこの季節特有の笹濁り色で流れていました。

ここに棲んでいたコハクチョウはすでに北へ向かったようで姿はもう見えません。ただ、アオグビ(アオクビ・マガモ)とコガモはまだ北帰行へとは羽ばたかず、淵で春の陽を浴び続けています。

今年は雪が少なく、もうウドザグ(ハナウド)の若芽が顔を出し始めました。この野草は人が食べる山菜ではありませんが、冬眠明けのクマにとっては大好物。

集落近くの里山で冬眠(冬ごもり)していたクマのうち、気の早い個体は越冬穴から出始め、ウドザグを食べ始めているかもしれません。そんな様子を眺めに近いうち田子内地区里山の「冬眠穴を覗いてみよう」と思案だけはもっています。

地域にとって大切なお店

先日、手紙をだそうと地元集落のS店さんに切手を買いに行ったら「あど、おらえで、切手売りは止める(あと、私の店では、切手売り、止める)」と告げられました。

S店さんは村内でも集落でも長い歴史をもつ雑貨店(精米、米穀、塩、タバコ販売)でもあり、食べ物からちょっとした金物、道具類までふくめ日常用具を販売していて、地域にとってなくてはならないお店として存在し続けています。

切手販売がされなくなるのは、近頃の郵便物の少なさが影響しているためのようです。こんな所にも「通信手段」の変化の影響が及んできたわけです。

わが集落では、老舗のお店がS店さんもふくめ3店(燃料販売、食べ物、雑貨、鮮魚・仕出し)で営業が続けられております。切手だけならまだくらしに大きな影響はありませんが、日常生活に必要なほかの食べ物や品々が買えなくなるとほんとに困ります。S店さんもふくめみなさん、どうか頑張って店を開き続けてほしいものです。地元のお店は、とりわけ車を運転できなくなった高齢者にとってはくらしの大切な支えですからね。

▼来年度当初予算案がきのうの予算特別委員会で審査を終え賛成多数で可決されました。

これを受け、3月定例会議は明日の本会議においてすべての議案審議と採決が行われます。また追加案件もいくつか予定されており、それらを加えて審議・採決後に散会となる運びです。

予算特別委員会審査

きのうは来年度当初予算案の一般会計が予算特別委員会で審査されました。今日は特別会計などが審査され、委員会での採決が行われます。

以前とは違い予算案の付属資料として主な事業の概要書(詳細な説明書)も事前に届けられているので、議員は予算案審査の本質に迫る議論がより取り組みやすくなっています。

質疑をする議員側は、これまでの議論や決算審査などを参照にして予算案審査に求められる内容で質疑を準備する必要があり、それ相当の心構えでのぞまなければならない場となります。一方、受ける執行当局側も、一般質問とはちがい事前通告無しでの質疑に応える訳ですから、自ら作成した予算案ではあるものの、質疑により的確に応えるためには相応の準備も必要と思われます。

とりわけ当初予算案審査は村の一年の歩みを決める骨格となるだけに、自ずとそれぞれの責任を負った質疑と答弁がより熱く交わされる場となります。

そうした特別委員会の審査ですので、議会の傍聴では、本会議だけでなくこうした予算・決算特別委員会審査にも来年度には是非ともお出でいただきたいものです。

▼私にとって心に深く刻まれるお二人の方が亡くなられたことが報道されました。そのお一方はノーベル文学賞作家の大江健三郎氏。もうお一方は女性初の参議院議長をつとめられた扇千景氏です。

大江氏は、核兵器をなくすことと戦争反対、平和憲法の大切さを終生熱く説かれた方で、「非核平和宣言の村」をかかげる我々の意思と深く連なる方でした。

扇千景氏は、こちらが村議になって2期目の頃だったか、松本善明衆議院議員・弁護士(故人)のご案内で国交省への要望で伺ったとき、大臣室で我々一同に気さくに話しかけられ、あの通りの笑顔で要望を丁寧に受けていただいたことを今も時々思い出します。

思想では違いのあったお二人かもしれませんが、私の記憶のひだには印象深く刻まれているお二方です。ご逝去を悼み、心からのご冥福をお祈りいたします。

中学卒業式、猟友会巻狩り

11日、この日は8日に急逝された村長御尊父(94歳)の葬儀があり、中学校の卒業式と時間がやや重なったため出棺時の会葬に向かいました。

第76回となる卒業式は、晴れのおだやかな中で行われ、コロナ禍の感染者が少なくなったこともあって、保護者や来賓以外は生徒も教職員もマスクを着けない(義務づけない)でよい姿で進められました。

ただし歌唱は君が代と校歌のみで、やはり感染症への考慮からコロナ前の卒業式よりも短い時間で式典は終わりました。生徒の入場、証書の授与、校長式辞、在校生の送辞、卒業生の答辞と、この日は互いに3年間の中学生活が走馬燈のようにふりかえられる日。

中学3年といえば半世紀前なら親から離れる生活が始まった時でもあり、さらに遡る藩政時代なら元服で大人の仲間入りの齢。それだけの成長をみる年齢なので、親御さんとしては子が産まれた時から重ねてきた日々と、この日の立派な我が子の姿をみて感極まる時でもあります。

3年間の教えにあたられた先生方も今日は最大の喜びの日であり、またつらい別れの日でもあります。校長先生の式辞をはじめ、先生方のその心が私たちにもひしと伝わってくるひとときを過ごさせていただきました。卒業生と保護者のみなさんご卒業ほんとうにおめでとうございました。そして生徒たちを立派に教え育ててくださった先生方、ありがとうございました。

▼夕方は村猟友会のノウサギ巻狩りを終えた懇親会へ議会としてご案内をいただき参加。

村猟友会の前身は東成瀬地区と旧増田町西成瀬地区で構成される「成瀬猟友会」であり、確か昭和30年代後半の会員は東成瀬地区が60数名、西成瀬地区が20名ほど、合わせれば90名前後の会員であったと聞いたことがあります。当時の会長さんは増田町吉野(西成瀬地区)の季子孝次郎氏(故人)であった頃のことです。季子氏は増田町の町議会議員をつとめられた町の名士でした。

後に二つの地区はそれぞれ別の猟友会として組織され、村猟友会はしばらくの間80名前後の会員で構成されました。西成瀬地区のみなさんは増田町の方へ、東成瀬地区は「東成瀬村猟友会」として歩んできたわけで、私も一会員として30年ほどの猟歴をたどり、副会長や会長職、郡連合猟友会の副会長などをつとめてきました。

会員を数年前に卒業した身ではありますが、巻狩りのご案内をいただくと古巣に帰ったような気持ちでみなさんと語り会うことになります。骨付き肉を大根と煮込んだノウサギ鍋を前に、小腸、肝臓、ロースの刺身をいただきながらの懇談は盛り上がります。コロナ禍で巻狩り懇親会は3年ぶりの開催でもあり、久しぶりの鍋をごちそうになりました。

往時からすれば会員は激減していますが、猟友会の役割は以前にも増して大きくなっています。クマの生息数増はもちろんのこと、近年は予想もしなかったイノシシやニホンジカまでもが村に入り込み、農作物への被害も年々広がっています。それらへの駆除対応でも会の存在は大きく、また山菜採りなどの山岳遭難救助活動でも会員は欠かせぬ役割を担っています。

銃を所持するということは、手続きの多さがともなう各種許可類、安全を保つための義務行為などをふくめ法や条例に定められた諸々の厳格なハードルと何度も何度もむきあうことでもあります。

会員の高齢化もありますが、銃所持という特殊性がともなう狩猟では、会員をどう確保するかということが日本全国のこれからの大きな課題です。会員減少とは逆に、クマ、イノシシ、シカなどの生息数が増える下、農作物被害にとどまらず人的被害の拡大を考えるとこれは深刻な課題なのです。懇親会に加わりながらそんなことをまた考えさせられた夜でした。

ヘギ(セキ・堰・水路)にも春が

春が来たことを知る自然の様子にはいろんな場面があります。豪雪の村に暮らしていれば、春の訪れを最初に感じとれるのは、雪消の早い水辺や陽当たりのよい斜面に芽を出す野草たちによってです。

常緑の野草で、庭園などにもよく植えられるセキショウが生えるヘギ(セキ、堰・水路)の水辺にも春が来ています。

村内のほとんどのヘギ(用水路)は大小を別にしてコンクリート側溝などが布設されていて、セキショウやクレソンなどの野草が生える所はごく限られています。

こちらが毎年ご紹介するこのセキショウのある水辺は、昔からのヘギが残されている貴重なうちの一つです。湧水のすぐそばに水路があるので、そこではその箇所だけ雪解けが早く進みます。

濃緑のセキショウのそばには、ノゼリ、バッケ(フキノトウ)、フクジュソウ、アザミなども芽生え、トットットットットッと流れる湧水の音とともに春の訪れを心地よく感じさせてくれます。

このヘギの下、泥の中に眠っているドジョウも、雪が解け陽が差し込みはじめたので、唱歌どじょっこふなっこのように「♪よるがあけたとおもうべな♪」と感じているでしょう。

ノゼリとバッケ、アザミを少し摘んで、初モノ早春の香りと味をテンプラと味噌汁でいただきました。

任期最後の一般質問終わる

きのうは3月定例会議2日目、一般質問が行われました。質問に立ったのは4議員で、議員各氏ともこれが任期最後の質問です。

この日は早朝から予想もしていなかったことがおきました。村長から電話が入り、伝えられたのは「父親が亡くなられた」ということと本会議欠席連絡の旨です。

それは余りに突然想定外のこと。それからわずかの間をおいて副村長の来訪があり、本会議については一般質問の答弁を村長に代わって副村長がおこなうこととなりました。

それらへの対応もふくめ事前の打ち合わせなどを朝早くに副議長、議会運営委員長と行い、副村長とも再度若干の確認をし合いました。会議前に議員各位へその旨を伝え、開会宣言の鈴を押した後に村長御尊父のご冥福をお祈りしお悔やみを申し上げて会議は始まりました。

会議は一般質問の後に陳情審議も行われ予定通りで散会しました。私の議長と議員の職務は4月末で終わりますが、こういう不測のこともありますから組織運営に責任をもつ身として、どんな事態にも機敏、的確に対応できる心構えでいなければとあらためて思わせられたところです。

カモが猛禽類に襲われた

成瀬川河川敷を散策していた先日のこと、岸辺の雪原に鳥の羽が散乱していました。

柳の根元にはまだ新しい血痕も見られます。狩猟を長年していた経験から、この鳥が何モノかに襲われてから1日か2日しか経っていない状態とみました。

羽の主はカモで、デロガモ(泥カモ・カルガモ)かアオグビ(青首・マガモ)らしく、襲撃者はキツネやテンの足跡がありませんからタカの仲間の猛禽類でしょう。ここらで時々みかけるクマタカかもしれません。肉片はもちろん一片の骨すら残っていませんから、やや大型のタカ類で、襲った後に別の場所に持ち去ったのでしょう。

深い降雪がなくなるこれからの雪上散策や山行では、雪原の見通しがよくなり、こうした弱肉強食の食物連鎖の跡を時々目にすることがあります。

▼おとといは二十四節気の啓蟄の日。暦が知らせるように虫たちが冬ごもりを解く季節入りです。わが家の窓ガラスには、テントウムシや、どこから出てきたのかハエの仲間らしい虫が止まっていました。

暖かい部屋に侵入していて離れないありがたくない虫の代表格アネコムシ(ジャゴムシ・カメムシ)は、冬の間多くが居間の隙間に同居、渋い顔をするこちらと「格闘」の日々でした。ですから虫はそんなにめずらしくありませんが、啓蟄のことばにふさわしい虫たちを見ると、心がホコッとぬぐだまる(温まる)ようになります。

福寿草咲き、野のヒロッコも顔を出す

過ぎた日曜日は、この年最初ともいえる暖かでおだやかな快晴の一日となりました。

ここ数日の除雪無しお天気や雨天などもあり、陽当たりのよい土手斜面では福寿草のつぼみがいっきにふくらみ、この日は暖かな陽射しにもうながされて4株ほどが花開いていました。

そばには、やはりつぼみをふくらましたバッケ(フキノトウ)やヨモギ、ヒロッコ(アサツキ)、の新芽も見えます。どれも美味しそうでしたが、今はそのままにしておきました。

晴天が続いたおととい頃から村の人里雪原は少しずつ堅雪がはじまりました。きのう朝と今朝は雪が本格的に締まり、カンジキ無しでも足がぬからずにどんどん歩けるようになりました。堅雪の季節到来も雪国人にとっては「春が来た」を知る大きな標です。

今日は中学生のみなさんの県立高校受験の日ということです。幸せ、早春の象徴でもある福寿草の花、そして厚い雪の下から新しい芽生えを見せた命の力躍動の野草たちを添えて、「全員合格」をお祈りいたします。

ノゼリ摘み始めの春

あと10数日で彼岸の入りですから、豪雪の村でも春のことばをつかいはじめて不思議でなくなっています。

先日来の雨天もあって、雪解けのはじまりを感じさせるヒラ(全層雪崩)が村の方々でごく普通に見られます。こちらが山菜採りに通う自宅前後の里山でも、すでに雪崩がおきたところや大きなひび割れのある箇所が目立つようになりました。

大川(成瀬川)や小川も流れが少しずつ春色めいて、岸辺のネコヤナギも白さと膨らみがいっそう増してきました。

そんな景色を目にし、春をよびはじめた風を肌に感ずるようになりましたので、「ノゼリを少し摘んでこよう」と湧水そばに向かいました。

まだ摘み頃本番にはすこし早いですが、それでも早春を感じさせる若い芽がポツポツと伸び始めていました。摘んだらノゼリ特有の香りがすうっと吸気のなかに入ってきました。今年も春がやってきましたね。

任期最後の定例会議はじまる

現任期の議会としては最後の定例会議がきのうから16日までの日程で始まりました。会期は4月29日までありますが、この3月定例会議が議案審議としてはおそらく最後の議会になると思われます。

開会前には、全国町村議会議長会と県町村議会議長会から永年功労表彰を受けられた議員各位への表彰状伝達と、村からの副賞贈呈もありました。

開会冒頭、私からは、以下の内容であいさつを申し上げました。

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雪の量では比較的おだやかな冬を過ぎようとするなかで3月定例会議をむかえました。しかし、2月16日の時点で、(村内では)死亡事故1件をふくむ人的被害が5件など把握されております。被災された皆様には心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。

また、この冬2月にはトルコ・シリアでの大地震もありました。亡くなられた方が判明しただけでも5万人を超えるとされる大きな被害であります。被災された皆様へ深く哀悼の意をあらわし、お見舞いを申し上げ、一日も早い復旧、復興を願うものであります。

さらに加えてですが、ロシアによる国際法に反したウクライナへの侵略からまる一年が経ちました。この侵略にともなう数々の非道と残虐行為も明らかとなり、2月23日の国連総会では「ロシア軍の即時撤退を要求する」決議案が141カ国の圧倒的多数で可決されました。一日も早くこの決議にそった内容でウクライナに平和が取り戻されるよう、ここにあらためてロシアの軍事侵攻を強く非難するとともに、戦禍のウクライナ国民とそれを支援する世界の人々へ連帯の声を届けたいと思います。

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会議は、諸般の報告につづいて備前博和村長の施政方針と行政報告、高橋養滎教育長職務代理者による教育行政報告が為され、およそ38億円の一般会計をふくむ当初予算案、補正予算案、職員の定年延長に関する条例改正案など28議案が提出・説明されました。また村長専決条例にもとずく報告4件もありました。

きのうの施政方針や行政報告を受け、今日正午までに一般質問を通告したのは4議員です。