山の宝

ブナの萌えが県境の標高800㍍ラインまで上がり、里山ではナラをはじめとするほとんどの広葉樹が芽吹き、村はまさにやわらか萌葱の春紅(黄)葉の季節です。わが家の八重シダレザクラも満開で、食事の度ごと、窓からの花見を楽しめるひとときがつづきます。

田んぼ脇に植えられたゼンマイも採り頃をむかえ、わが家でその収穫と乾燥の役割を担うのは87歳の母。村産の高品質ゼンマイは親戚筋にも好評で、「今年も頼みます」という声がいっぱい。でも体のうごきがなかなかその期待にすべてこたえられないようで、採取量は年々減少しています。

村の山菜採りのプロたちも、今の季節は稼ぎ額の多いゼンマイ採りに的をしぼり初めている頃。しかし、ハギミと呼ばれた集落のゼンマイ採り名人たちも、その多くが亡くなられたり、高齢で山に入らなくなっていますから、誰にも採られることなく株が成長し増え続け、栽培されているようなゼンマイの大群生を春と秋の深山ではよく目にします。

国産、しかも豪雪の土地のゼンマイはほかの山菜と同じように最高級。なので、市場や直売所での需要に供給が追いつかない状態がここしばらくの間続いている様子です。村と県境の山々には、無農薬、化成肥料無しで育つ山菜資源がいっぱい。とりわけゼンマイは見事なのですが、やはり、ゼンマイ採取は危険や大難儀と隣り合わせ。それに乾燥仕上げに手間どりますから、山にいっぱいある宝はなかなか市場まで届きにくい時代となってしまっているのでしょう。

▼きのうは、9月9日~12日にわたって開催される全国健康福祉祭あきた大会・「ねんりんピック」の村実行委員会総会が開かれました。村で行われる競技は9月11日のパークゴルフと決まっています。全国規模の行事が開催されることは村を発信するまたとない機会で、大会成功のための活動計画や予算などが話し合われました。

たんぼ作業本番入り、ひとときの栗駒高原散策

晴天に恵まれた連休、まだ田んぼ脇の道路法面に雪が少しあるものの、畦削り、肥料・土壌改良材散布、田んぼ耕起など春一番の作業に集中することができました。

田んぼのある河岸段丘の丘は、カタクリやチャワンバナコの花が真っ盛りで、ゼンマイもいっせいに採り頃の時期がはじまりました。

休み合間の3日、子供たちや童とともに栗駒(須川)高原にまた上がりました。この日は気温も高く風もなし。食堂からの眺めもすばらしく、高原の雪上をズック履き、サンダル履きで気持ちよく散策しました。

帰りには、いつものように赤滝に立ち寄り、神社に参詣。滝より上流はまだ雪の世界ですから、夏日を思わせるような天気で雪解け水が多く、滝の象徴でもある赤い岩肌は瀑布に半分ほど覆われています。滝壺そばのブナも芽吹き始め、ショウジョウバカマは花盛りですが、ここのヤマザクラは開花までもう少しというところです。

遠くに暮らしていて、連休に高原の温泉を訪れた知人や親族のみなさんも、「春の雪がつくる栗駒高原の絶景、沿道のブナの芽吹きは見事」と一様に語ってくれました。ゴールデンウィークに帰省した方々や、村を訪れたみなさんもきっと同じような感想をもたれていたのではないでしょうか。それだけに、春のこのすばらしい景観資源も、もっともっと広く発信しなければと痛感したところです。

食べ物をいただき、遊び、学べる河川敷

いつもお知らせするようにわが家前の川辺は、私の散策コース、童たちとの遊園の地、各種野鳥や動植物たちの観察地であるとともに、小さな山菜園、キノコ園ともいえる土地。本流の成瀬川に合流する大きな支流や2つの沢、そして伏流水として湧く清水もそこにはあり、それらの流れがつくる大小の瀬と淵は多くの渓流魚たちのすみかでもあります。

今年も真冬には湧水脇からノゼリを、雪解けのはじまりからはエノキタケやコゴミ、ワサビをいただき、今度はヒロッコ(ノビル)を掘り採って鍋ものをごちそうになりました。

 

柳は芽吹いたものの、樹下の低木の多くがまだ緑を増さず下草も背丈が低い今は、チャワンバナコ(キクザキイチゲの仲間たち)が河川敷のあちこちでよく目立つとき。人里の雪解けはほぼ終わりに近づいたので、終日黒みを帯び暴れていた濁流も、今は笹濁り色へとやや流れの勢いをゆるめています。

ここの河川敷には、上流から運ばれてきたネマガリタケも繁殖していましたが、昨年その群落の笹竹がいっせいに紫色の花を咲かせました。「笹が花を見せれば寿命で枯れるとき」とむかしから言われているとおり、いま、その群落全体の笹が枯れた状態になっています。


 

 

 

 

 

 

 

生きている笹の株や、昨年に実を結んだ種などからまた新たな繁殖が始まるでしょうが、これほど大きな範囲で笹の繁殖と寿命を終える姿を自宅前で目にすることができますから、ここは私と童たちの遊びの自然公園であるとともに、自然学校ともいえるようなエリアでもあります。

 

 

 

 

▼きのう、須川高原まであがってきました。草ノ台でまだたんぼに雪があります。風の冷たい仙人大橋から成瀬ダム工事範囲と、反対側の北ノ股沢を見下ろしました。車窓から目にしたブナ樹下にあるチヂザグラ(イワウチワ)の花群落も、風が冷たくてか、花びらを半開き状態にしていました。

 

 

青い鳥オオルリの初姿

金曜日、この春はじめて、オオルリの姿を自宅のまわりで目にしました。

木々の青葉がまだ繁らず見通しのきく今の季節は、渡り鳥の彼らを人家のそばでよく目にすることができます。それはキビタキも同じで、同じ科に属する小鳥の仲間であるためか、キビタキはよくオオルリの群れに混じっているのを見ることがあります。

二種の小鳥とも、色と鳴き声の美しさでは野鳥随一の魅力にあふれる存在。それに、この仲間の小鳥は人がある程度近づいてもそんなに急いで遠くへ逃げることがなく、飛び立ってもまたすぐそばに止まりますからサービス精神旺盛で、野鳥観察の方々にはとってもうれしい小鳥でもあるのです。

▼待ちに待っていた国道342号線が28日ようやく開通しました。開通に先立ち、雄勝地域振興局長さんや、大関、東海林の地元県議二氏などにも出席していただき開通セレモニーが行われました。同国道は、ごく一部でまだ雪崩などの心配もありしばらくは日中だけの開通で、夜間は通行止めとなります。

高原の須川温泉・栗駒山荘も、開通にあわせて営業を再開。当日は、真っ白な展望が眼前にひろがり、鳥海山も遠望の大露天風呂に早くもなじみのお客さんたちがつめかけていました。写真は、室内の休憩大広間からガラス越しにのぞんだ眼下のイワカガミ湿原周辺と、秣岳の稜線、それに鳥海山の遠望です。

▼土曜日は部落総出の春一番の作業日。公園や神社などの冬囲い解きと落ち葉などの清掃、国道や村道沿いなどのゴミ拾い、生活・農業用水路の清掃などがいっせいに行われました。

相変わらず多いのが道路沿いや河川敷の空きカンやプラスチック、農業用ビニルや青の大きなシート類。草木の葉が生い茂らない今の季節はいずこでもゴミの存在が目立つとき。おそらく一歩山に入れば、林道や国道沿いなどへの不法投棄ゴミが、村の方々でまた今年も目につくでしょう。たばこ吸い殻のポイ捨てや河川敷の大ゴミも結構目につくようです。

「日本で最も美しい村連合」の一員に恥じない景観維持と心がけで求められるのは、「わが村は、不法投棄、あるいはたばこの吸い殻捨てなどマナー違反のゴミ捨てを決して許さない」という村一丸の姿勢でしょう。その点では、成瀬川をはじめとする主な河川敷などは、なんらかのかたちで大規模なクリーンアップ作戦が年に一度は必要と思われます。

美しい村の最も大きな象徴の1つが、校歌や村民歌に歌われてきた我々の誇り母なる成瀬川であり、川のゴミ対策に本腰を入れるのは、世界に向けて美しい村を発信しているものの当然のつとめと思われます。裏返せば、川のゴミをそのままにしておいて「美しい村」を語るのは、みなさんに失礼に当たるということになります。と、そういうことで、人里を流れる川で、日本で最もゴミのない美しい川をなんとかして実現したいものです。

議会臨時会議開く

水田を有効活用するなどの活動目的をもつ村の農業再生協議会の幹事会と総会がきのう午前に開かれました。午後には議会の臨時会議が開催され、契約案件(防災情報センター冷暖房設備改修工事・契約金額5,389万2,000円・契約の相手方・(株)ますだ機工)や人事異動にともなう補正予算の専決処分報告などが審議可決されました。

夜には小中学校PTA合同による教職員の歓送迎会が開かれ、毎年度初めに予定されるこちらが出席の恒例行事はこれでひととおり締めくくられました。

▼木々では最も芽吹きの早い河川敷の柳や、里山のブナがいっせいにホゲ(萌え)始めています。これからは一日ごとにブナの芽吹きラインが上へ上へ、里山から深山渓谷へと進みます。

むらのマタギたちは昔から「ブナの葉の、ホゲざげさ(芽ぐみ境に、萌え境に・萌え前線に)、クマえる(クマがいる)」と言ったものです。森のクマたちも芽吹き寸前、芽ぐむときのブナの葉っぱが大好物だからです。

育苗ハウスへ苗箱据え盛り

村の育苗センター(JAへ運営委託)で種まきされた水稲の箱苗が次々と芽を出し、村内各地の農事組合法人や個人の育苗ハウスへ運びこまれ苗床へ据える作業が盛りです。

わが家は数年前の豪雪で育苗ハウスが倒壊してから苗づくりを止め、JAから購入しています。JAの委託で苗を育てる農家から植え付けられる状態に育った苗を運ぶので、今では育苗には完全にノータッチの農家となっています。むかしから米づくりでは「苗半作」とか「苗作りをしてこそ、一人前の農家」などともいわれてきました。わが家は、職業は「農業」と記しますが、この面では半人前の農家になっているということになります。

長年の経験からして、苗づくりは、種まき前の事前の準備から種まき後の日常の管理までそれだけ大変で気苦労の多い仕事。村内でも、個人で苗作りをする農家は年々少なくなっていますが、理由はそうした難儀もあるからなのでしょう。

委託を受けて苗を栽培する農家は、多くの農家に苗を渡すまで大きな責任を負って管理にあたります。法人組織のみなさんや個人で規模を大きく苗栽培をしている方々も、苗作りに失敗すればその影響が大きいだけに、みなさん、これからおよそひと月、気のぬけない日々が続きます。

▼きのうは県南地区農業委員会会長会の総会で大仙市へ。過ぎた活動を確認し、今年度の事業計画などを決めました。

多くの市町村で農業委員の任期が7月までとなっており、新制度に基づく委員選任のための公募が始まっています。わが村は現在公募期間中ですが、すでに募集の締め切りを過ぎたところがあり、そこでは定数を上回る応募者となっています。農地利用最適化推進委員についても定数を超える応募数となっているところがあるとのことです。

選任名簿案を仕上げるための大きな仕事が、それぞれ待ちうけている状況が話されていました。

▼おとといでまだ雪がこの程度残っているわが家のワラビ栽培転作田。おきまりの春作業で鶏ふん散布を行ったところです。

晴天を待って再び仙北街道筋へ(その2)

休みを終え歩きはじめてしばらくしたら、ある崖上部の雪が消えたブナ林の中に大きな黒い塊が見えます。生きものを見る長年のカンから「あれはクマだ!」と思いましたが、その塊までの距離が100㍍ほどはあり、しかも樹下は柴木が厚くなっていて塊が隠されますから識別がつきません。足跡の方向や位置からして、10日に写した親子グマでしょう。

双眼鏡で確認しようとリュックを下ろそうとしたら、その黒い塊が分かれてブワーと動きました。「動いた」間違いなくクマです。しかも塊はほかにもありますから1頭ではありません。双眼鏡で確認したら3頭です。雪上の足跡が向かった方向の崖にいたのですから、林の中をジクザク歩きした母子3頭のようです。おとといあたりに冬眠を終え、雪消の進んだクラ(崖)で過ごそうと遠くまで移動し、ここで日向ぼっこでもしていたようです。

こちらのカメラは双眼鏡よりはるかに望遠度が低いのでよく識別できませんが、なんとか3頭らしい黒いカゲは写真でも確認できると思います。子連れのクマですので近づけば危険で、これが安全ぎりぎりの撮影距離でした。

双眼鏡をのぞいたら、母親が仰向けになり後ろ足を上げ、それに子グマたちが乗っかったりして戯れています。まもなく、もじゃね(厚く混み合って生えている)柴木の中をゆっくり移動し、小さなヒド(窪み)に入って視野から消えました。そこはわずか5㌃ほどの雪消の中、上下左右みな真っ白な雪ですから待っていれば撮影機会は確実にあったのですが、危ないし「親子の邪魔をしないことだな」と、無理をせずにその場を離れました。

当初の予定以上に距離を伸ばしたので帰りは足が少し疲れました。この日は鳥海山もふくめ山の眺めがすばらしい一日でした。休憩場所のブナに止まったアオゲラが、キツツキ特有のいつもの鳴き声ではなく、いろんな声音を出しておかしく鳴きはじめました。こんなアオゲラの鳴き声ははじめて聞くので、「あれ、これはオス鳥で、もしかしたらメスへの求愛の鳴き声かな?」などとも思いながらカメラを彼にもむけました。

ブナの根空きも進み、あたたかな陽射しに光る渓流そばにはバッケ(フキノトウ)やユギノシタキノゴ(エノキタケ)がなんとも春らしい景色でこちらの目に止まります。雪消の早い雪崩跡では国有林のフクジュソウも咲き始め、カタクリはここではもう過ぎ具合です。

往きも帰りもホテルブラン分かれの交差点まですべて歩きなので、コースはなるべくまっすぐ取り。明通から間木に下りようかなとも思いましたが、どうも足が苦しいので今回はそのコースは止めに。帰りは狼沢境からスキー場のリフト終点を経て国道除雪やカントリーパーク除雪作業を眼下にし、西を向いては集落を眺め、長沢の尾根を下り、「竹まるぎっぱ(まるくは束ねるの意。笹竹をまるいた場所なので竹まるぎっぱ)」に下りました。

帰宅は5時。前日の雨で雪に足をとられ歩きにくい箇所があり、こちらの年齢にしては少し体にきつい山行となりました。歩数計は約3万歩の雪道歩きを刻んでいました。

晴天を待って再び仙北街道筋へ(その1)

晴天でしかも行事の重ならない日を待ち、再び残雪の山へむかいました。

雪国の春の山なら、三角点のあるような特別高い山にのぼらなくても、県境・分水嶺となる尾根に上がるだけで見晴らしのよいところがたくさんあります。

加えて残雪のブナ山は、この地方特有のチシマザサや柴木が雪に押さえられていますから林内の見通しがききます。須川高原をはじめ6月のタケノコ採りで遭難が絶えない笹の厚い林も、足にさえ自信があれば今なら自由自在に歩き回ることができます。

そろそろ引退時ですが、まだ山岳遭難の救助隊に名を連ねる私は、こうして残雪の山を歩きながら沢や崖、特徴ある木々などを頭に詰め込むようにしてきました。もちろん、雪のある季節とちがい、雪が消えた見通しのきかない季節の山は、いったん笹藪に入れば自分がどこにいるかわからなくなります。しかしそういう時でも、残雪の山を多く歩いて地形全体の特徴をつかんでいれば役にたつことがあるものです。

さて、今回の歩きです。国道397号の除雪がカントリーパークより上部にもとりかかっていますが、まだ閉鎖されているのでホテルブラン分かれの村道交差点から5時50分に歩き開始です。仙北街道のやや遠くまで足を伸ばす予定なので、下から歩くとなると出発は早く、です。

県境の尾根に上がり仙北街道筋に入ると、先日に降った新雪が所々にあります。林も場所によっては足が雪に沈むところもありやや歩きにくい雪状態です。

丈ノ倉到着9時半、とりわけ展望のよい地点なのでここで腰を下ろして休憩。若い頃にブナ材搬出をした岩ノ目沢と本流が落ち合う周囲の山や焼石連峰、それに東山、栗駒などをまずはゆっくりとながめました。風が特別強いのでしょう、仙北街道丈ノ倉にはここだけ夏のように土が出ている道があります。雪が解けてから間もないためか、いつも見られるカタクリはまだ芽も出ていません。

この一日~二日、堅雪が緩んだ状態だったので、2日ほどまえとみられるクマの足跡が雪に沈んだ状態でついています。足の大きさ、雪への沈み加減から「これは、大きなオスグマ」と見込みました。

岩手側の林では、3頭のクマの足跡も別に目に入りました。いわゆるフルゴ(今年の冬でなく、昨年冬に生まれた2歳子グマ)連れの母子3頭です。ブナの林をジクザク歩きし、やがて私が進もうとする同じ方向でもまたその足跡といっしょになりました。

ホ~ ホケキョの初鳴き

金曜日は広域消防東成瀬分署職員の歓送迎会へ。

出動のとりわけ多い救急活動をはじめ、災害予防や救命講習などでも貴重な役割を果たしていただいていることへ感謝をこめながらご挨拶を申し上げました。

▼まだ丈の大きな草が芽を出さず、低木の芽吹きにももう少し間がある今の野原や河川敷。そこはこれからほんのわずかの間、まるで大掃除をした後のようで散策にはあつらえむきです。

「そろそろミズバショウも咲いた頃」と、土曜日朝は訪れた童といっしょにいつもの散策コースに向かいました。所々で雪を渡り河川敷を自由に駆けられるこの季節は、ただ歩くだけでも楽しいのに、花をながめ、活動をはじめた水辺のいきものとまた出会い、コゴミ、アザミ、バッケを摘み、真っ盛りのエノキタケもいただいてきました。

ほっこりと温かな陽射しと大気、残雪、勢いある水、草木の萌葱、地にも水にも空にも生きものたちの目覚めと誕生、躍動の季節がやってきました。豪雪のむらの春って、希望に満ちた素敵なシーンが右にも左にも前にも後ろにも上にも下にもいっぱいなのです。姿は見えねど「ホ~ホケキョ」の鳴き声も。童とともにこの春はじめてウグイスの声を耳にしました。

種まき始まり

強風と雨の大荒れ天気が通り過ぎたきのう。この日を待っていたのでしょう水稲の種まきにはたらく姿が村の各地でみられました。

今が種まきということは、例年のようにこれからおよそ一月後の来月20日過ぎ頃が田植え真っ最中ということになるのでしょう。わが集落の積雪観測地点が積雪ゼロとなったのは18日。平年より雪消えが遅くたんぼが乾かないので「耕起作業が遅れ、田植えのとりががりに影響あるべェ」という声があれば、「いや、ほどんど、同じなんびょう」の声も。

観測地点は積雪ゼロでも、わが家のたんぼはまだこんなに厚い雪の下。農道の吹きだまりなどは3㍍は越えるかと思われる堅く厚い雪です。それでもあと一月と少しで、早苗が植えられた姿にこの河岸段丘の高台も一変します。

雪国に何十年もくらしているわれわれも、雪の解ける早さには、「たまげで(驚いて)しまう」と、毎年同じような言葉を発してしまいます。大雪時は一晩で50㌢も積もることが時々あるのですが、消えるスピードも早し。むらの人々はこの雪解けの様子を「降るように、ける(消える)」といいます。

きのう朝の県境の尾根ラインはうっすらと新雪が重なりました。でも里ではどんどん春がすすみ、芽出しの早いウドザグ(ハナウドの仲間)とヘリザグ(シャク)の緑が日ごとにひろがり、雪消の早い土手ではショウジョウバカマも真っ盛り。抹香の木(カツラ)
の新芽も日ごとに紅色を濃くしています。

里の山は急速に地肌が多くなりました。冬眠から覚めたクマたちは、ウドザグやサグ(エゾニュゥの仲間)の新芽、カタクリやコブシなどの花をめざして日向や沢筋に、あるいはドングリの実が残っている早く雪消が進んだナラ林に向かっている頃です。

きのうは、部落神社の別当役引き継ぎ会がありました。つとめで気づいたことなども含め必要なことがらを無事引き継ぎ、1年間の役割もこれで終わりとなりました。