晴天を待って再び仙北街道筋へ(その1)

晴天でしかも行事の重ならない日を待ち、再び残雪の山へむかいました。

雪国の春の山なら、三角点のあるような特別高い山にのぼらなくても、県境・分水嶺となる尾根に上がるだけで見晴らしのよいところがたくさんあります。

加えて残雪のブナ山は、この地方特有のチシマザサや柴木が雪に押さえられていますから林内の見通しがききます。須川高原をはじめ6月のタケノコ採りで遭難が絶えない笹の厚い林も、足にさえ自信があれば今なら自由自在に歩き回ることができます。

そろそろ引退時ですが、まだ山岳遭難の救助隊に名を連ねる私は、こうして残雪の山を歩きながら沢や崖、特徴ある木々などを頭に詰め込むようにしてきました。もちろん、雪のある季節とちがい、雪が消えた見通しのきかない季節の山は、いったん笹藪に入れば自分がどこにいるかわからなくなります。しかしそういう時でも、残雪の山を多く歩いて地形全体の特徴をつかんでいれば役にたつことがあるものです。

さて、今回の歩きです。国道397号の除雪がカントリーパークより上部にもとりかかっていますが、まだ閉鎖されているのでホテルブラン分かれの村道交差点から5時50分に歩き開始です。仙北街道のやや遠くまで足を伸ばす予定なので、下から歩くとなると出発は早く、です。

県境の尾根に上がり仙北街道筋に入ると、先日に降った新雪が所々にあります。林も場所によっては足が雪に沈むところもありやや歩きにくい雪状態です。

丈ノ倉到着9時半、とりわけ展望のよい地点なのでここで腰を下ろして休憩。若い頃にブナ材搬出をした岩ノ目沢と本流が落ち合う周囲の山や焼石連峰、それに東山、栗駒などをまずはゆっくりとながめました。風が特別強いのでしょう、仙北街道丈ノ倉にはここだけ夏のように土が出ている道があります。雪が解けてから間もないためか、いつも見られるカタクリはまだ芽も出ていません。

この一日~二日、堅雪が緩んだ状態だったので、2日ほどまえとみられるクマの足跡が雪に沈んだ状態でついています。足の大きさ、雪への沈み加減から「これは、大きなオスグマ」と見込みました。

岩手側の林では、3頭のクマの足跡も別に目に入りました。いわゆるフルゴ(今年の冬でなく、昨年冬に生まれた2歳子グマ)連れの母子3頭です。ブナの林をジクザク歩きし、やがて私が進もうとする同じ方向でもまたその足跡といっしょになりました。