真冬日、たくわえものたちが食卓に

「ほんとの、冬、した。(ほんとうの、冬が、来た。)」といえるほどに、吹雪いて、寒くての日がやってきました。

今朝、今冬初めて屋根のマブ(雪庇)をカギ(落とすこと)に上がりましたが、屋根上の雪をみて、これだと年内に一度は本番の雪下ろしを迫られるだろうと覚悟をしたところです。

 

冬本番なので、食卓には春から秋までたくわえていた山菜やキノコが次々と登場です。おでんにはサグ(エゾニュウの仲間)やウド、ホギ(フキ)、納豆汁にはサモダシ(ナラタケ)とワラビ、色鮮やかなアエコ(ミヤマイラクサ)が。それにジェンメェ(ゼンマイ)は一本煮や味噌汁へと、山の幸たちが春4月まで私の食を満足させてくれます。

冬の山里の家々ではまだまだおいしい貯えものがいっぱい。たとえば我が家の場合なら、ほかに、タケノコの瓶詰め、ミャゴ(マイタケ)、コナラ(シモフリシメジ)、ハタケシメジ、シシタケ、ヒメジ(ホンシメジ)、ユギノシタキノゴ(エノキタケ)の瓶詰めが眠っています。さらに塩蔵・味噌漬けものでは、ハギモダシ(ホウキタケ)、クリカラモダシ(クリフウセンタケ)、トビダゲ(トンビマイタケ)、ノギウヂ(エゾハリタケ)、カノガ(ブナハリタケ)、アガキノゴ(サクラシメジ)、シトリテデ(ウラベニホテイシメジ)等々も、みんな出番を待っています。

こじつけ気味の感じがしないでもありませんが、たくわえを思えばいつも災害時へ考えが及びます。山里の農家なら(農家でなくても)半年分の野菜と一年分のお米もたいがいたくわえていて、我が家も味噌は約2年分、飲料水も湧水源の上水道はもちろんのこと、自家用の湧水を引いた水道や、いまでは小沢のたんぼがすべて耕作されなくなったため近くを流れる清冽な沢水も当座の飲料水には充分利用できます。

山里はそういう備えができていますから、都市部での大地震をはじめとするくらしに壊滅的な有事の際、様々な分野で全国の農山村は都市部の人々の頼りどころともなれるはずです。山里、農山村をまもることは国の備えのうえでも欠かせぬこと。「トーキョウの兄弟、姉妹、親戚、子や孫さんたちが、最後の頼りとするのは、いつの時代も、ふるさとのあたたかいイエ」そういう面からも、国土の過疎はくいとめておく必要があると、サグや納豆汁を口にしながら思ったりもする師走の真冬日です。