9月議会が終わり、稲刈りを初めるのは天気がよければあと2~3日後と計画していましたので、カメラを背に深山のミズナラに向かいました。もちろん、目的はこの土地の季節の食の華、ミャゴ(マイタケ)。
広大な国有林内の渓谷、村でマイタケが発生するミズナラの巨木たちがある場所は、そのほとんどが急峻で、昔から土地のマタギたちが春のクマ狩りなどをした斜面の尾根です。
今では車道がかなり奥深くまで入る山が多いので、道路すぐ脇にミズナラがあり、たまに「サンダル履きで車から下りてマイタケ採った」などというめでたい体験をお聞きすることもありますが、それは例外。他の県や地方には、平らな山地にミズナラの巨木がたくさん植生のところもあり、それを見ると「うらやましい」です。
さて村の山。きつい尾根を何度も上がり下がりするのですから、村でのマイタケ採りに必要なのはまず持久力のある脚力と体力。それに、尾根から尾根へと移り渡るときに最短コースを選ぶとすれば所によってはかなり危険な斜面もありますから、転落を避けるためのちょっとした判断力も必要。つまり、どこをどう歩けばよいか、「山を知る」ということが大事ということでしょうか。ここで判断を誤ると、時々おきる「マイタケ採りで転落死、大けが」報道などのようになるのです。
頃は彼岸の中日前後ですから村の山ならいつの年でもマイタケは最盛期。それだけに、深山渓谷の尾根はいずこも人の入らぬところなどごくわずか。それでも、こちらに微笑みかけてくれる山神(女神)さまがいるもので、どなたも足をまだ向けていないミズナラ巨木もまれにあり、その根元から極上のマイタケ株を少しいただくことができました。
ほかに、かたちのいいハギモダシ(ホウキタケ)、カノガ(ブナハリタケ)、食べ頃のマスダゲ(マスタケ)、ワゲ(ヒラタケ)も。尾根から尾根への谷渡り斜面には、ウメバチソウ、ダイモンジソウ、リンドウが咲き、花に見とれて一息つくこともあります。
▼深山から戻っては、「アケビを食べたい」という童と里山に出かけました。途中、車道そばの林で茎が地中深くから伸びて長くボリュゥムのあるシトリテデ(ウラベニホテイシメジ)採りを体験してもらい、大好きなアケビもぎ採りも二人で楽しみました。
今年の村は、シメジやラグヨウ(ハナイグチ)の仲間のキノコがどうも不作のようで、こちらの歩く範囲ではアケビも極端に少なく、ヤマブドウも実のつきがよくないようです。ヤマブドウが不作だと、ヤマドリやクマたちもこの秋はちょっとアテがはずれるでしょうね。