冬の間、わが家の食をささえた越冬用備蓄野菜もその役割を次第に終えようとしています。
ジャガイモは年間を通じてほぼ毎日味噌汁へ。大根は冬の間の味噌汁をはじめ様々なかたちで食卓へと、わが家の食生活には欠かせぬ二つの野菜。それだけに、たくさんの量が蓄えられますから食べきれず、とくに大根は春には大あまり。
余る分はさらに利用が予定されていて、すべて春の日差しで干され最後の蓄えにむけられます。寒中に凍らせて水分を抜く凍み大根に加えて、大根は一本も余すところなく利用されるありがたい野菜です。
▼大根などとはちがいますが、くらしの常備としてわが家に欠かせぬのは、虫刺されや打撲、傷などの治癒・消毒につかう薬草オトギリソウ、それにお茶代わりに毎日いただくクロモジ。いずれも畑の土手やすぐ家まわりにある野の草、野の木を手軽に利用します。
これらをつくるのは母のしごと。いまは、昨年から乾燥していたオトギリソウを刻んで焼酎やホワイトリカーに浸す作業にとりかかっています。こうして備えられたオトギリ液は、一年のうちに2~3回は、虫刺されなどがあった身内や知り合いから「オトギリソウほしい」の声がかかって利用されます。こちらも一度この液を患部に塗ったことがあり、ちょうど消毒・殺菌液オキシフルを塗ったときのようなピリッとした痛みが走りました。
▼もうひとつの知恵は、村の手作り和紙に励んでいる「成瀬和紙の里」のみなさんの技。和紙の原料となるこうぞを雪にさらしている光景です。ここでつくられる和紙を原料とした作品を私は二品(写真)求めつかっています。一つは名刺入れ。もう一つは小さなバッグ。
強い和紙にさらに独特の技法を加えて丈夫につくっているだけあって、頻繁に使う名刺入れは何年たっても大丈夫。年を経るごとにむしろ柔らかくなり使いやすくなっています。和紙って、ほんと丈夫で美しいものですね。