ここ2~3日晴天がつづき、本格的に残雪が締まる「堅雪(かたゆき)」がはじまっています。今朝も、雪原の上で飛び上がっても足が雪にまったく沈まないほどバンバンに雪は固まっています。
むかしの童集団はこんな日をのがさずに山や川辺での「堅雪わたり」で、ちゃんばら用の木刀をつくったり、どじょうすくいをしたり、ままごとをしたりとなかなか忙しく、春休みのほとんどを外ですごしたものです。でも、いまの子たちはほかに向かわなければならないことがいっぱいありすぎて、集団での堅雪遊び姿はほとんど見られなくなっています。
農作業がまだ本格化しない今の季節。人里と県境奥羽の残雪、成瀬川の景色を私は仕事部屋の窓越しにゆったりとした気分で眺めます。まもなく4月なのにたんぼはまだいっぱいの雪なので気分はややゆったり。これは豪雪の村に暮らしているからこそのこと。ゆったりの日の流れにささやかな幸せを感じるのはこんなひとときです。
気温は昨日12℃をしめしていましたが、仕事部屋から見える成瀬川には、先の雨天時のような笹濁りはあまりみられません。それでも山肌に残雪のある範囲はどんどん少なくなっていますから、10℃前後の晴天だと、雪は、解けて流れるよりも解けて蒸発する割合が今の時期は高いのでしょうか。
きのうは沿岸部の花を紹介しましたが、豪雪の村も南向き斜面でチャワンバナコ(キクザキイチリンソウの仲間たち)が咲き始めました。雪さえなくなれば、土が温められ野草の目覚めは村でもいっきにすすむようです。もう少し地温が高まれば、早咲き場所のショウジョウバカマ、カタクリ、そして日向のブナ林尾根筋にはイワウチワも見られるでしょう。
まだタイヤ交換はしていませんが、朝の除雪はもうないだろうとトラクターの塩分を洗い落としました。今冬は、除雪でトラクターを動かす日時が少なく、私も、トラクターも楽をした冬でした。耕耘ロータリーと付け替えて、土と向き合う仕事にきりかわるのは4月の半ば過ぎ頃でしょう。
これから半月は、雪解けの進み具合にあわせて冬囲いを解いたり、たんぼ耕起のための段取りをしたりと、野の生きものたちと同じように人里も躍動の春がはじまります。冬の間やや運動不足で増えていたわが身の目方も、春のはたらきが始まればたちまち並にもどるでしょう。