師走もいよいよ押しつまってきた村、行き交う人々が門松用の松の枝を手や背にしているのをみかけることが多くなっています。
野の松の木から枝を切りとりお正月用の松を採ることを村では「まづ、むげぇに、えぐ(松を、むかえに、行く)」と言います。
今年の「松むげぇ」は、いったん積もった雪がほとんど消えましたからこれまでは楽ちんでした。ただ、17日からは雪の予報なので、これから「むげぇ」にゆく方々はキャンジギ(カンジキ)をつけなければ、里でも雪が深くなり山入りは難しくなるかもしれません。
村の門松はほとんどがアカマツとヒメマツ(キタゴヨウマツ)。家系によって、集落によって松の種類が昔からのならわしとして決まっていて、集落では田子内・岩井川地区が主にアカマツ、それより以南の椿川地区はヒメマツを用いる家が多いようです。
わが家の家系は、アカマツが主の岩井川にあっても門松はヒメマツ。田子内地区などでも、わが家系とはまったくちがいますがヒメマツの家系もあるようです。
わが集落ではアカマツの木が比較的多いので、「門松はアカマツ」が主流になったのでしょうが、どうしてわが家系筋だけがヒメマツとなったのか、そのいわれを私は知りません。ヒメマツはこの人里では少なく、それがために、ヒメマツ筋の家は「松むげぇ」も大変なので、家の敷地に門松用としての木を植えている方が少なくありません。(こんなことをこれまで繰り返し記していたはず)
わが家もそんな家のひとつ。家のそばに、もう20年ほどにもなるでしょうか、こちらが植えた松がいまでは役立つほどの大きさになっています。こちらはここ何年か喪中が続いていて松に手をかけることがありませんでしたが、今年は久しぶりに、勢いある緑濃い松の枝を採って飾ることができそうです。
▼ぼやっとしている写真は秋田側から見える焼石連峰のほぼ全貌と、役場からのぞむ向かいの山々です。今朝は霧に隠れてみえませんが、滝ノ沢・大日向山のブナ林も、今の時期、雪がこんなに少ないのはめずらしいこと。私が通う大日向山にある冬眠穴にも、ブナグリ(ブナの実)をいっぱい食べて厚い脂肪を蓄えたクマが、17日あたりからの吹雪予報を悟って、なんぼなんでもそろそろ穴入りの支度に入っているでしょう。