所用で村内を巡ったきのう。久しぶりにおだやかなお天気となり、村内の人里からでは唯一鳥海山の頂きが望める入道集落からは、「♪秀麗無比なる♪」と県民に歌われる真っ白な山容が眺められました。
きのうは、何処でも人々へのこちらから発するあいさつは「ええ空で、えがったんすな(よいお天気で、よかったですね)。これで、冬、終わりだ!」でした。みなさんから返ってくることばの多くも「これで、終われば、楽だ冬だな」でした。
積雪が一時2㍍を越えた集落も村内にはあり(そこは現在も2㍍近い)、雪下ろしもわが家のように1回にほぼ50㌢ほどずつ積もった雪を4回も下ろした冬でしたが、世界有数の特別豪雪地帯の村ではそれでも「並みの冬」あるいは「楽な冬」なのです。
わが家の屋根から下ろした雪の小山も、今冬はこんな状態で、そんなに多くありません。
これから一週間のうちには高校の卒業式がはじまり、たとえば増田高校の卒業式は1日ですが、この日になれば、この前も記しましたように桜で名のある増田町・真人公園そば、成瀬川沿いの「真人へぐり(急斜面を横切る道路)」にはマンサクの花が咲き始めます。
その年の寒暖などによって咲き始めの時期は異なりますが、桜の開花予想が今年は案外早いようですので、マンサクも開花時期が並みかあるいは早くなるかもしれません。高校の卒業式と「ヘぐり」に咲くマンサクの花、そんな季節指標が頭にあるものですから、もうこの時期になれば「これで、冬、終わりだ!」とつい言いたくなるわけです。
きのう娘が、宮城や岩手方面から奥羽山脈を越えてきた渡り鳥たちを目にして「いっぱいのガンの群れが北の方へ飛んで行ったよ」とも教えてくれました。大陸へ向かう鳥たちも春を感じはじめているようです。
ほうぼうの家々に吊されている伝統食の「凍み大根」も、厳寒を経てもうすっかりと出来上がりました。おそらく「干し餅」も同じでしょう。積雪はまだ厚く、これからも雪降る日々は続きますが、くらしのなかでは「春」をあらわすことばがだんだんと多くなります。
▼いつもの年と同じようにこの頃になると、若い頃1年間農業研修でお世話になった相模原のSさん宅から「小田原のみかん」が贈られてきます。Sさんと農業関係で縁のある小田原のミカン農家の方が農薬を極力おさえて栽培されているミカンのようです。このミカンをごちそうになれる頃、それもわが家にとっては「春」が近いことを知るひとつの指標のようになっています。