ブナとミズナラの森の幸(その一、シシタケ)

若干の天候不順もあって秋田の水稲の出来具合は「やや不良」となっていましたが、その後の天候回復で作況はやや持ち直したでしょうか。

農作物と同じように天気に左右されるのがキノコたちの世界。そんなこともあって「さて、今年の発生はどうなるかな?」と思っていたブナとミズナラの森のミャゴ(マイタケ)やシシタケ(コウタケ)たち。2つとも、こちらはシメジと並べて「横綱格」扱いしているキノコたちです。

まずは、早出のシシタケをめざして17日にブナの森へ入ったら、いつもの年だと秋分の日を過ぎた頃に盛りとなるのに今年はどうしたわけかもう真っ盛り。すでに老菌となっているのもあり「こんなに早くシシタケがカオを出すのは何十年に一回のこと」というほどの異常な早出です。

こちらは里山やブナの森深山をふくめ10箇所ほどの発生場所を知っていますが、今年は、これまでにないほど多く出ている所もあれば、ポツンとわずかの量があるだけの所、あるいはゼロの所もあり、場所によって発生量には極端なちがいがあります。とりわけ、ミズナラ林でナラ枯れ病に冒された箇所の不作が今年は目立ちます。

写真の箇所はいずこも深山のブナ林でそこは豊作。いずこもここ十数年ではもっとも発生量が多くなっています。繰り返しますが、彼岸入り前にシシタケが真っ盛りというのはこちらははじめての体験です。

里山では、晩生のフジミャゴ(シャカシメジ、センボンシメジ)がいい形でカオを見せていました。真っ白なので遠くからでもこのキノコはよく目につき、発見は意外と簡単。ただしこのキノコ、発生の場所はごく限られなかなか出会いの機会は多くないのですが。

シシタケの山では、キノコのある箇所にとぐろを巻いていたマムシを踏みつけてしまいました。気温が高いのにどうして丸くなったままで動きがにぶかったのか、それに踏んだとき足に噛みつくような動きをしなかったのか不思議に思えました。シシタケとやや似たような色をしていますから、「今後は、気をつけなければ」と思ったところです。今のマムシは山の峰筋でとくに多くみられますから要注意です。