豪雪の村では、四季の節目それぞれにくらしのなかでやり遂げておかなければならないことが多くあります。わが家で毎年行う自家用味噌の仕込みもそのひとつ。
何十年も使われてきた大きな味噌樽を3つ据えているわが家は、順繰りにそのうちの1つが空になりそれに毎年仕込みます。
味噌桶に原料(つぶした大豆と麹と塩で練り上げられた味噌の素)を詰め込む作業は毎年こちらのつとめ。空気が入り込まないよう隙間をつくらずびっしりと桶に押し込むのが肝心な作業です。
今の時代は原料をつくるまでは業者さんに頼みますから、こちらの作業は桶に詰め込むだけ。昔のように真っ黒な大きな釜で豆を煮た後に今度はそれをすりつぶし、さらに塩と麹で混ぜ合わせ味噌玉をつくる作業がないので、その仕事の大半を担った女性の方々の難儀はなくなりました。味噌づくりも、カナメの役割は一家のカアさん方でした。
まだ雪のある田んぼでは農作業もできないので、休日のひととき、家周りをゆっくりと散策。
雪解けの遅い原野でヒロッコ(あさつき)の新芽やコゴミ、アザミの軟らかな芽を摘み、清水の脇ではワサビやミズ(うわばみそう)の新芽を採って野の味覚をたっぷりと味わいました。
この季節の雨は、木々の萌えを一気にうながす役目を果たすようで、ブナの萌えはわが集落郡境のもっとも高い尾根部まで上りました。里山はイタヤカエデの花も咲き始め、田子内や岩井川では種蒔き桜(ベニヤマザクラ)も満開で見られます。
わが家の田んぼに通ずる道路もきのう除雪をしていただき、今後予定される堰組合の用水路掃除や転作作物(ワラビ)への施肥などでもようやく車がはいれるようになりました。
田んぼは例年より雪解けが遅く、この様子だと今月いっぱいかかっても残雪はすべて消え終わらないかもしれません。したがって農作業へのとりかかりはやや遅れそうです。