ブナの萌え800㍍ラインへ

ブナの萌えが20日頃から早くも標高800㍍ラインほどまで駆け上がりました。里山のブナ林にはまだ残雪があり、こんなに早く800㍍ラインまで萌芽が上がるのはめずらしいこと。肴沢・カヅラヘグリ(桂へぐり)上部の木々の芽吹きにはベニヤマザクラの花も加わりはじめています。

暖かな日が続いたのと、豪雪で多かった雪がさらに解けるのも比較的遅かったこと、そしてブナに花芽がとても多く着き、その花芽はほかの新芽よりも一足早く芽吹くためにこんなに早くブナ山の萌えが見られることになったようです。

国道除雪のみなさんも「今年の雪はシラパデ(真っ白な層が何層にも堅く締まった状態)で堅く、重機作業もはかどらない」と言っておりましたが、一気降り積もりの雪ではなくじわじわと降り積もった雪のために今年の積雪は堅く締まっていて、雪解けも手間取ったようです。

昔から集落のマタギたちは「クマはブナの葉ほげざげぇさ(芽吹きのことをほげるという。さげぇは境のこと)、える(居る)」と言いました。クマは芽吹き寸前のブナの新芽やタムシバの甘い花が大好き。ハナウドやサグ(エゾニュウの仲間)、カタクリなどの野草とともにそれらの木々があるところにこの季節のクマはよくあつまります。

ブナの萌えはまもなく深山にまで駆け上がろうとしています。奥羽の脊梁で冬ごもりしていたクマたちも、あまりに早くからブナの新芽が食べられるようになった春に、喜びとともに少々びっくりの思いでいるかもしれません。

写真の川や山々、花景色などは、きのう、おとといの村の様子です。緑前線が成瀬川をどんどん遡り、雪の村もいよいよ春本番をむかえました。