漬け物を取り出す頃

役場で交わす言葉も「あど、そんま、しごどおさめだな(あと、まもなく、仕事おさめですね)」となり、師走もいよいよ大詰めです。

大晦日が迫ってくると、大掃除や門松準備もふくめ何かと気ぜわしくなります。年越しや年始の料理につかわれる食材準備もその一つ。

この時期になるとわが家では、塩蔵されていた山菜やキノコなど漬け物の塩出しがまもなく始まります。山菜の塩蔵で多いのはワラビやサグ(エゾニュウ、シシウドの仲間たち)で、ワラビは主にお正月の納豆汁へ、サグは煮物に多くつかわれます。

キノコは、オオヒメジ(ホンシメジ)やハダゲヒメジ()ハタケシメジ)、シシタケ(コウタケ)、若いミャゴ(マイタケ)、クリカラモダシ(フウセンタケ)、コナラ(シモフリシメジ)など高級キノコはみな瓶詰めですが、ほかのキノコはほとんどが塩蔵です。

塩蔵量が多いのはいつの年も納豆汁・味噌汁に欠かせないサモダシ(ナラタケ)、そして煮物に重宝するハギモダシ(ハナホウキモドキ)、ネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)、ムギダゲ(ムキタケ)、アガキノゴ(サクラシメジ)などで、ほかに塩蔵されているナメラコ(ナメコ)やカノガ(ブナハリタケ)、ヤマドリモダシ(クリタケ)、やや老に近いミャゴ(マイタケ)も様々な料理につかわれます。

池のそば、背戸の外に積み重ねられている漬け物桶には、大晦日からお正月の食を飾るそれぞれの山の「役者」たちが眠っていて、もうまもなくで今年も彼らの登場する日をむかえます。もちろん、タケノコや高級キノコなど瓶詰めの「役者」たちもそろってその仲間に加わります。