秋と春、山間の家屋に「不法侵入」のカメムシ。
このカメムシ、身を護るために液状の物質を発します。毒素ともいえるこの物質は、その悪臭とともに大切な衣類に付着すれば黄色く滲むなどの被害も出るため、日常生活上は「最悪の害虫」とさえいわれるほどにやっかいな虫です。種類はちがいますが、果樹やお米の粒にも大きな被害を与えるカメムシもいて、農業にとっても困った存在の虫です。
もちろん、食物連鎖のうえでは害だけでなくなんらかの益役を果たしているかもしれませんが、「困った害虫」、「最大級の悪さをはたらく昆虫」という印象はぬぐいきれません。
そのカメムシの天敵となる存在は何かよくわかりませんが、カエルはカメムシを食べるということを聞いたことがありますし、死んだカメムシなら食べているカラスを見たこともあります。
その程度の認識でいたこのほど、そのカメムシを捕らえているほかの虫がいました。それはクモ。我が家の窓に糸を張っているクモ。その糸にカメムシが絡め取られていて、早速、糸の主のクモがカメムシを食べていたのです。カメムシは死んでしまっていて悪液を発することができなくなったので食べているのかどうかわかりませんが、クモがカメムシを食べるということをこの歳になって初めて目にしました。
人間のほかに、カメムシをもっと大量に駆逐できる強大な天敵があらわれることを願っていますが、なかなか天は人間だけに都合の良いそのようなはからいをしないようです。雪が降り積もるまでも、そして雪が積もれば越冬した家の中でと、秋から春までカメムシとの長く真剣な「格闘」がまた続きます。
これから都内への出張の際は、上着のひだやポケットなどに潜んでいたカメムシが突然出てきて、首都圏の空に舞い飛ぶこともたまにあります。時には、電車の中などでも。