山岳遭難救助に大切な地名図

全国的にキノコ採りの遭難が多発しています。

世界有数の豪雪地方のわが村は山菜とキノコがとりわけ豊富な所。そういうこともあって、他県からも多くの方々がおとずれる春のタケノコ採りを主にして山岳遭難がほぼ毎年発生。村の予算には毎年そのための捜索費用も計上されてきました。

その捜索活動に警察や消防とともにあたるのが、消防団を中心にした村の遭難救助隊です。

救助隊については、これまでも、そして先日も少し触れましたが、遭難救助活動の先立ちとして山の地理に詳しい隊員がいわば「道先案内人」になって道のない山での先導にあたります。

遭難救助隊員は、消防団員や元団員のなかでも山に詳しい人々、山菜・キノコ採りプロやプロ級の方々、山に詳しい元消防署員、猟友会員、元猟友会員などで構成されます。

その彼らが「いざ有事」で活動にあたる時、捜索活動をより効果的にすすめるため、山や沢、尾根などの名前を詳しく記した地形図を持ちます。図には、隊員や捜索本部全体がわかりやすいよう、地図上に記されていないこの土地固有の尾根や沢などの呼び名が記されています。この名は土地の狩猟者(マタギ)や山人などによって古くから伝えられてきた地名です。

名だけではなく、一部の必要な案内もこの地形図には記されていて、これらも頼りにしながら行方不明者の捜索救助活動は続けられます。

村の山岳遭難(山菜・きのこ採りが主)は、大きく分けて栗駒山系と焼石岳山系の二つでおきるため、この二つの山系の地名図が用意されているということです。明通沢やほかの胆沢川支流寄りの山系などでも遭難は時々発生しますが、発生頻度が少ないのでそこまでの図はつくっていません。

こちらが遭難救助隊に加わってからは、この地形図をポケットやリュックに収め、時々それらに目を通しながら捜索活動を進めてきました。隊員は主に「焼石山系に詳しい方」と「栗駒山系に詳しい方」の2つに分かれますが、双方そのどちらでも捜索活動に加わらねばならぬことが多く、互いに「詳しくない山」で活動する時には、隊員にとってこの地形図がとても頼りになるのです。