先日ブナの森の渓谷に入り、雪崩の雪塊がこんなに遅くまで残っているのを目にしたのはここ数十年の記憶ではじめてということを記しました。
今年の7月~8月は晴天が多く、これほど夏日、真夏日、猛暑日が続いているのに、河川の流れは比較的豊かで、いつもの夏より安定した流れを保っていました。河川上流域で水の豊かなわが村、わが集落でも、用水路の下流域では時に「水不足」の生ずる年があるのですが、今年はこの日照り続きの割には田んぼの用水確保もほぼ通常どおりで進んでいます。
平野部でも、あまりの暑い夏、雨天不足の天気で栽培のスイカが枯れ、農家の嘆きがニュースになるほどの干天続きなのに県南河川の水がほぼ通常どおりなのはナゼでしょうか。
私は、その大きな要因のひとつに過ぎた冬の豪雪があるととらえています。鳥海山の西側山麓は「万年雪」ともいわれる多くの残雪を遅くまで見せますが、今年はその雪がこのお盆の季節になってもかなりの範囲でいつもより広く観られます。
山地はちがいますが、ほぼ同じ緯度に位置する県南の奥羽の山々もそれは同じで、あの特筆すべき豪雪に襲われた脊梁には大量の残雪が遅くまで観られました。花の百名山・栗駒山や焼石連峰の東側山麓も、新幹線などからながめたらおそらく例年以上に残雪の範囲は多いと思われます。その雪が解けて地下へ大量に蓄えられたので山の地下水は平年以上に豊か、干天の夏にもじわじわと恵みの水が豊富に湧き続け、沢にそして川へと注ぎ続けたと思われます。
通常を越える豪雪の冬には痛めつけられましたが、その雪が、春以降は、日照り続きの県南の夏にまさに「いのちの水」となって人々のくらしと田んぼの稲をささえてくれているというわけです。
文字どおりその水で育つ水稲も、順調に出穂が終わり稲穂はいっせいに頭を下げはじめました。青森や北海道では台風9号崩れの豪雨で被害があり大変でしょうが、県内の河川は適度な雨で流量がやや増えただけにとどまっています。田んぼはまもなく多くの水を必要としなくなりますから、まれにみる暑さの年でも水不足の心配なく穫りいれの秋をむかえることができそうです。