5日に始まった議会も今日が最終日。議会の今後の運営にそなえて昨日はいろんな打ち合わせを行い、その後、所用を果たしながら村内の雪状況をみて回りました。
豪雪対策本部設置の年でしたので雪はまだ150~200㌢近い集落もあります。でも、いったん土肌が出た家屋の周囲や土手斜面、水際、立木の根元は、陽射しが注ぐ度に地温が上がり雪解けはいっきにスピードを早めます。
そんな雪消えの早いところで目につくのは野草の「ヒロッコ(アサツキ)」。栽培もののヒロッコはとっくに市場に出ていておいしくいただいておりますが、天然ものの味と香りもまた格別なもの。村に暮らしていれば、それこそ春一番の天然ヒロッコを一度は味わいたいもの。
写真は、150㌢近くある積雪の下で芽を出していた黄色いヒロッコが、雪を寄せられ陽射しを浴びたのでやや緑色を増した姿です。学校が春休みになる頃の昔の児たちは、スコップをかついで堅雪をわたり畑や原野に出かけ、雪を寄せ、ちょうどこんな状態のヒロッコをいっぱい採るのがつとめでもあり、遊びでもありました。「できるだけ太いヒロッコを」と雪を寄せた時に、のぞみ通りの黄色で太いヒロッコが連なって出ていたときのうれしい瞬間を思い起こせる方は少なくないと思われます。
そんな日の夕餉には、焼いた春カド(にしん)を出汁にしていっしょに煮込まれたヒロッコ鍋(ヒロッコかやぎ?貝焼き)で春一番の味覚を楽しんだものです。昔の山村の童たちにとって、ヒロッコは特別に思い出の深い自然からの贈り物だったのです。
道路沿いなどの湿地に「おやっ、緑が多くある」と立ち止まってのぞけばそれはノゼリ。
こちらも、それまで覆われていた雪がなくなり陽射しを多く受けるにつれ、草丈を急にのばし始めました。ノゼリも旬の春をむかえたのです。
ヒロッコやノゼリのある風景が所々で見られるようになったものの、わが集落の神社鳥居にひかえる唐獅子の背にはまだこんなに深い雪があります。明日は春分の日ですが、豪雪の村では白が支配する世界がまだしばらく続きます。